最終更新日 2022/06/05

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71話 リンネ・あくあ編 後編

魔法陣の拘束から脱出する為に、魔族は変身を解いて、本来の姿を現す。

「残念だったね。この姿になった僕は、力の制御が出来ないんだ。
だからこそ、人間の姿で終わらそうとしたんだけどね。自分達で望んだのだから、良いよね?」

「もう、わたし達に希望はないの!?」

〈汝、我を求めよ。〉

「え?あくあ、声が聞こえなかった?」

「うん。直接頭の中に聞こえた。〈汝、我を求めよ〉って」

「(壁に持たれながら立ち上がる)あくあ。私達はここで負けるわけには行かない!

この試練に勝てなくちゃ、みんなとの差が広がる一方。

敵の魔力を打ち消すだけの力が欲しい!!!」

「そうだね。敵を翻弄する力が欲しい!!」

〈我を欲するのならば、我をイメージせよ。さすれば、汝の欲する形になろう。〉

「魔族を倒す為、みんなを守る為に力を貸して!」

「強い敵に立ち向かえる力をちょうだい!」

光が輝き2人を包み込み、輝きが収まると自分の思い描いた装備へと進化した。

「すごい!さっきの装備よりも力が湧いて来るよ!」

「ほんとう!傷も癒やしてくれたみたい。これなら、大丈夫!」

その状況を魔族は見ているが、
自分の優位性が覆ることはないと思って、ゆっくりと2人に近付く。

「ふん。新しい装備になったからと言って、僕を倒せるとでも言うの?」

「あくあはちょっと時間稼ぎお願い。」

「分かった!」

「良いだろう!その希望を僕が砕いてあげるよ!」

余裕を見せる魔族だったが、あくあの攻勢に次第に受け身になり、片膝をつく。

「くっ!本気の僕に片膝をつかせるとはね!こうなったら、最大級の攻撃魔法で、
苦しまずに一瞬で影も形もなくしてあげるよ!(魔力を集める。)」

ところが、魔力を集めようにも集まらない。

「なに?なぜだ!?魔力を一点集中出来ないんだ!?」

「簡単だよ?あくあがあなたと戦っている間、内にある魔力を吸収していたんだから。
今のあなたに残った魔力は全力の1割よ。」

そう。魔族がもう少し、周りの変化を感じていたら、リンネ達の作戦は失敗しただろう。

しかし、魔族は人間は自分には勝てないと思い込んでいたために、
あくあとの戦闘中に、リンネの存在を失念し、リンネは魔族の魔力を吸収する事が出来たのだ。

「おのれ!人間め!ふふふ。しかし!お前達を葬るなら1割で十分だ!
死ねぇぇぇー!(リンネ目がけて走り出す。)」

「どんなに強さを装ったところで、私達を倒すのはもう無理よ。皮肉なものね。

私達を痛めつけた事で、自分が倒されるなんて。さよなら。シャイニング・リング発動」

リンネが、魔法を発動すると、魔族に光の輪が包み込む。

「くっ!なんだ!これは!そうか、分かったぞ!俺の魔力だ!
ならば、吸収して、お前達を葬る事も可能だ!残念だったな!」

「そう思うのなら、吸収して見たら?ねえ?お姉ちゃん?」

「ええ。出来るのならね。」

リンネとあくあは、魔族が魔力を吸収する場面を傍観する。

「くくく(笑)よし!吸収出来ているぞ!がはっ!な・なんだ?どうなっているんだ?」

「何も手を加えていないなんて、ありえないでしょう?
あなたが、そうするだろうと、吸収されたら急所攻撃するように書き換えたのよ。」

「ぐっ、がはっ。そんな!俺が負ける・・な・・ん・・て・・・。」

魔族が力尽きてしまうと、身体は消えて極大サイズの魔石だけが残った。

「はぁぁぁぁ〜!なんとか、勝ったよ!お姉ちゃん!」

「ほんとうにギリギリだったけど、なんとか勝てて良かったわ。
早く、他の人の応援に行かないと・・・。」

喜びあって、次に進もうとする二人にセリナがストップをかける。

「待って下さい!疲労があるでしょうから、少し、休んで下さい!」

「セリナさん。でも・・・。」

「皆さんを信じて下さい。疲労困憊で助けに行っても、共倒れしたのでは意味がありません。」

「お姉ちゃん。セリナさんの言う通りだよ。ここは、少し休憩しよう。」

「ふぅ〜。分かりました。セリナさん。ありがとうございます。みんなを信じて休憩します。」

「そうして下さい。大丈夫。コーヤさんがいるんだから、簡単に負けたりはしませんよ。」

ここに、1つの戦いが終わり、魔族の魔王親衛隊の一角が崩れた。
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