イベント開始から40分後。
「コーヤさん、戻りました。」
偵察に行って貰ったユヅキが戻って来た。
「お疲れ様。どうだった?」
「はい。関係チームを見て来ましたけど、
魔法陣初級応用編パーツは問題無く作動していました。」
「そうか。それは、良かった。当分の戦力増強は出来たからね。」
「コーヤさんは、どれだけ狩りました?」
「僕は、遊撃で闘技場防衛組が大変な敵を、狩っていただけだからね。約300体だね。」
「さすがですね。それで、魔軍も当初の戦力を、プレイヤーの頑張りもあって、
残り3割まで減らす事が出来ました。この後、どうしますか?」
「人間が居たぞ!殺せ!」
コーヤとユヅキが今後の相談をしている時に、小隊と思われる集団が襲い掛かって来た。
しかし、2人との力の差は歴然で、50人程の集団は2分程で倒されてしまった。
「さて、これで最後かな?」
「(辺りを確認して)どうやら、そのようですね。」
「それで、いつまで隠れているつもりですか?(敵が隠れている場所を向く)」
「(隠密スキルを解く)ほぉ〜。いつから気が付いていた?」
「最初から?」
「儂の隠密スキルを感知するとは。なかなかの手練のようじゃな。
それに、先程の50人の集団を苦もなく、簡単に倒してしまうその力。
どうじゃ?儂に仕えんか?待遇は最上級にしてやろう。」
「へぇ〜。人間を家臣にするとは驚きだなぁ。」
「別におかしな事ではあるまい。どの陣営も有能な人材を欲しいからのぅ。」
「なるほど。確かに種族を差別する理由にはならないですね。」
「じゃろ?で?答えを聞こうか。」
「わざわざ、言わなくても分かるでしょ?別に魔族に仕えるのが嫌なわけでなく、
誰かに仕えて面倒な事態になるのが嫌なので、ご遠慮します。」
「そうか。まぁ、最初から分かっておったが。それだけの才能を散らせてしまうのは惜しいが、
仕方あるまい。儂らの強敵になる前に死んでもらおう。」
「ユヅキは、先に闘技場防衛に向かって貰える?」
「えぇ!私の出番は無しですか!?」
「2人も必要ないし、ヴィオさん達も心配だからね。」
「しょうが無いですね。分かりました。先に行っています。(闘技場へと走り去る)」
「耳が遠くなったかのう。2人も必要ないと、聞き捨てならん言葉が聞こえたが?」
「戦えば分かるんじゃないですか?」
「言ったな?小僧!消し屑にしてくれるわ!」
「ホルルガ伯父様。そこまでです。あなたも煽らないで下さい。」
一人の女性が、近付いて来た。
「む!?アリアよ。なぜ、そなたがここに?」
「今、魔界で大変な事態になっているので、連れ戻しに来たのです。
とは言っても、出発時の2割程しか生き残って無さそうですが。」
「なんじゃと!くっ!強行出陣が仇となったか!お前の名を教えて貰おうか。」
「僕ですか?僕はコーヤです。」
「そうか。コーヤよ。全力でのぶつかり合いをしようぞ!」
この会話がされている間に、アリアは残存兵力を纏めて撤退準備に入る。
「ホルルガ伯父様はどうしても聞き入れてくれないのですね。」
「ふん。アリアは何を怖がっている?こやつなどすぐに片付ければ良い。はっはっはっ!」
「コーヤさんでしたか。遠慮入りませんので、よろしくお願いします。
私は、先に弟を回収して帰ります。
では。(一礼して、部下に指示出ししながら、闘技場に歩き出す。)」
「まぁ。良い。コーヤとやら!儂の全力で相手をしてやろう!」
「その必要は無いですよ。もう、決着が付いていますからね。」
「なんだと!」
ホルルガが、一歩前に出た瞬間に、勝敗は決していて、周りに巡らされた罠によって、
ホルルガの身体は切り刻まれて、言葉を発する事も無く消滅した。
その場には、極大よりも大きな魔石が残っただけだった。
その後、周りを見ると、煙を出す建物、怪我人を治療する人はあるが、
戦いは収束したようだったので、罠を回収し、闘技場に向けて走って向かった。