次に國が稚(おさな)く脂(あぶら)が浮く如く而(に)
久羅下那洲多陀用幣琉(琉の字以上の十字は、音を以ってす。くらげなすただよえる)。
之(この)時、葦牙(あしかび)の如く萌え騰がり而(に)因って之(この)物、
宇摩志阿斯訶備比古遲神
(此の神の名、音を以ってす。うましあしかびひこじのかみ)の神名に成る。
次、天之常立神。(常の訓を登許(とこ)と云う。立の訓を多知(たち)と云う。)
此の二柱神、亦、獨り神(ひとりがみ)而(に)成りて坐り隱れる身也。
上の件(くだん)の五柱神者(は:短語)別天神。(わけあまかみ)
次國稚如浮脂而
イメージが出来にくいので、
「國稚如浮脂而」の意味を漢字から考えます。
「國」:武装した村、くに
「村」の象形と「矛(ほこ)」の象形から、武装した村、
OK辞典
すなわち「くに」を意味する「國」という漢字が成り立ちました。
「稚」:小さい稲
「穂の先が茎の先端に垂れかかる」象形(「稲」の意味)と
OK辞典
「尾の短いずんぐりした小鳥」の象形(「小鳥」の意味)から、
「小さな稲」、「おさない」を意味する「稚」という漢字が成り立ちました。
「如」:神託を得る巫女
「両手をしなやかに重ねひざまずく女性」の象形(「従順な女性」の意味)と
OK辞典
「口」の象形(「神に祈る」の意味)から、
「神に祈って従順になる」を意味する「如」という漢字が成り立ちました。
上記の参照3のサイトの成り立ちの説明には、疑問が出ます。
なぜ、「女」偏だからと言って、「従順な女性」を指すのでしょう?
これは、「大倭豐秋津嶋」の「倭」でも書きましたが、
そもそも、「女」の漢字に「従順」などの意味は、後付けだと思っています。
そこで、他の成り立ちを調べると、Wikiに下記の一文がありました。
一説に、「口(神器)」+音符「女」、で神託を得る巫女(「若」も同源)を意味し、
Wiki
神託に従う(ごとし)の意を生じたとも。
こちらの方が、「女」の漢字を使う理由として適している様に思います。
「浮」:軽いもの
「流れる水」の象形と「乳児を抱きかかえる」象形(「軽い、包む」の意味)から、
OK辞典
「軽いもの」、「うく」を意味する「浮」という漢字が成り立ちました。
「脂」:動物の脂
「切った肉」の象形と「さじの象形と口の象形」
OK辞典
(口にさじで食物を流し込むさまから、「うまい」の意味)から、
肉のうまみを意味し、そこから、「あぶらがのる」、「あぶら」を意味する
「脂」という漢字が成り立ちました。
「而」:ひげ?
「ひげ」の象形から
「ひげ」を意味する「而」という 漢字が成り立ちました。借りて(同じ読みの部分に当て字として 使って)、
OK辞典
「助字」や「なんじ(お前)」の意味も表すようになりました。
上記の成り立ちを基礎に、下記に当時の状況を推察します。
「高天原」が、まだ、完成せず、規模も移住した人数分の場所しか無く、
「遅く実る稲」の様に、完成するまで、まだ、時間を要しそう
高天原の規模が小さく、動物の脂が浮く如くに、
一族毎にバラバラに集落を作って生活していた。
この様に、当時の状況を指しているのではないかと考えています。
もしくは、今まで、考えていた様に、
「國にある畑(水田?)は、脂が浮く様な散々たる状況」とも言えると思います。
または、その両方かも知れません。
ただ、前提条件が、「如=〜の様に」、「而=に」だった場合です。