「後ろには逸らさない!たぁぁぁぁー!」
「あくあ!私も少しは戦力になるんだから、無理しないで!」
戦闘開始から30分程が経過し、救護室を狙う魔族が多く、
2人の奮闘ぶりにより、守り抜く事に成功していた。
なにより、飛べる事によって、空中の敵にも対応できるのは大きかった。
そこに、一人の魔族がやって来た。
「へぇ〜。お姉ちゃん達強そうだね。僕と遊んでよ。(笑顔)」
この魔族は、先程の魔族達よりも力が上のようで、威圧が強い。
「くっ!なんて、威圧!」
「あ・・く・・あ・・・。大・・丈・・夫・・・?(威圧が凄すぎて上手く喋れない。)」
あくあは、戦闘経験から威圧には慣れていたが、
リンネは、自身が強敵と戦わなかった為に、威圧に慣れていない。
「くっ!ここは通さない!」
あくあが状況を変えるべく、攻撃するも効かない。
「まずいよ!耐久度だけが減って行くよ!」
攻撃が効かないだけでなく、一度の攻撃で20%減っていく。
「なんだぁ。思っていたよりも大したことが無いんだね。お姉ちゃん達は。」
相手の魔族は、強い敵でないのが残念だという雰囲気を出す。
「わたし達は、倒れるわけに行かないんだから!(瞬動!)」
あくあが瞬動で、後ろに飛び、魔族に攻撃するもバリヤーのような物で遮られて、
本体へは攻撃が届かなかっただけでなく、武器も耐久度が無くなり砕けてしまう。
「そんな。水晶(コーヤ)君から貰った武器がこんな簡単に壊されるなんて。(呆然)」
「お姉ちゃん逃げて!!」
「あくあ。それは無理よ。私の後ろには戦えない人がいるんだから。
少しでも、時間を稼いで見せる!」
リンネは、負けられないと自身を奮い立たせる。
「くくく(笑)戦う事に慣れていないお姉ちゃんじゃ、僕を止める事なんて無理だよ?」
魔族は、余裕があるのか、自分からは攻撃せず、笑顔を絶やさない。
「そんなのは実際にして見ないと分からないわ!
(このままでは、遊ばれて終わりになっちゃう。何とかして、一撃当てれば、
チャンスが生まれるかも知れない。
確か、昔見た漫画で、五芒星の形に媒体を置いて、
一矢報いたシーンがあったから使って見よう。
(欠片を見て)あくあの砕けた武器の欠片を利用すれば・・・。)」
リンネは、過去に見た漫画から戦略を考えて、
砕け散ったあくあの武器の欠片を利用しようと考える。
「(このままだと、お姉ちゃんは5分程でやられちゃう。武器も無い。どうしたら。
でも、お姉ちゃんのあの目は希望を失っていない。何をしようとしてるの?)」
「ふ〜ん。有効な手段でも見つかったのかな?やって見せてよ?」
「え〜!見せてあげるわ!
(杖から槍の形状にし、さらに、先端を開き高出力砲を発射する構えをする。)」
「なあんだ。面白い事をしてくれるのかと思っていたら、
魔王様に使ったやり方を僕に使うのか。
それは、効かないよ?なにより、回りにいる人間まで巻き添えを食うだろうね。」
「知っているわ。でも、現状、あなたを倒す為にはこれしかない。」
「(どういう事?さっきのお姉ちゃんの目だと、こんな自暴自棄になるようには思えない。
もしかして、相手にそう思い込ませようとしているの?)」
「良いよ。お姉ちゃん、撃って見てよ。本当に、僕に効果があるのかをね(にやり)」
「充填完了!行くわ!発射!」
しかし、高出力砲を発射すると、どうした事か、リンネの武器が暴発して吹き飛んでしまう。
「ぐっ!(壁に体をぶつける)」
「くくく、はーっはっはっ(大笑い)これしかないと言っておきながら、
武器が高出力に耐えられずに自滅するとは!」
ところが、リンネの作戦は成功していた。
リンネは武器をわざと暴発するようにして、媒体が置かれるのを隠す為に使ったのだ。
実際、魔族の近くには魔法陣を発動する準備が完了し、呪文を発すれば良い状態になっていた。
「お姉ちゃん!!」
「いや〜!無様だね!これ以上苦しまないように、殺してあげるね。(笑顔)」
「(あと3・・2・・1・・ゼロ・・プリズン!)」
リンネが呪文を発すると、魔族の足元が輝き、魔法陣が形成され、魔族を拘束する。
「な!?ちっ!これを狙っていたのか!」
「お姉ちゃん!!大丈夫!!!」
あくあが駆け寄り、リンネに肩を貸す。
「はぁ。はぁ。はぁ。なんとかね。魔族の魔力を削ってくれれば・・・。」
「お姉ちゃん(般若)良くも僕を騙してくれたね。おかげで、変身が解けちゃったよ。」
「あ・あれが、本当の姿・・・!」
魔法陣の拘束から脱出する為に、魔族は変身を解いて、本来の姿を現す。