最終更新日 2022/06/05

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79話 魔国王子レアヘル

闘技場内でも、戦いの傷跡が至る所にあり、作業の邪魔にならないように、観客席まで急いだ。

観客席の入り口に行き、上から見ると、舞台でアリアさんと弟が言い争いをし、
近くではソアリスが満身創痍で、辛くも立っていた。

「大丈夫ですか!ソアリスさん!」

「はぁ。はぁ。はぁ。ぐっ!コーヤ様・・・。」

舞台に駆け寄ると、ソアリスさんは、今にも崩れ落ちそうだ。

「おお!コーヤ!良くぞ戻って来た!
お前の装備が無ければ、ソアリスはここまで戦えなかった。」

「役に立ったようで、良かったです。ソアリスさんは休んで下さい。」

「コーヤ様。しかし!」

国王様とソアリスさんと話をしていると、アリアさんの弟が話に割って入って来た。

「おい!お前!お前がコーヤとか言う、姉様が怖がっていると言う奴か!」

「僕は何もしていないさ。

僕達に攻撃するなら、僕の仲間から総攻撃される事を覚悟して欲しいかな。」

「ほう。次期魔王たる俺への侮辱かぁ!きさま!」

「そんなどうでも良い事なんて知らないよ。魔王に誰がなるなんて僕達には関係ない。」

アリアさんが、弟へ帰還を促す。

「レアヘル帰るよ。あなたが連れて来た兵士は、魔界に帰還させた。残すはあなただけ。
コーヤさんは、私が全力を出して、勝率が五分五分よ。あなたが敵う相手では無いわ。」

「なんだって!姉様より強いなんて!人間であり得ない!」

そう言うとレアヘルは一瞬でコーヤに肉薄するが、ミュウの剣が受け止める。

「甘いなぁ♪あなたのお姉さんの言う通りだよね♪
こんな簡単に攻撃を受け止められちゃうんだから。」

「ふざけるなぁ!俺は強いんだぁ!」

レアヘルは、後方に飛び退き、魔法で多くの剣を創り出して周りに展開する。

「これでどうだ!剣よ行け!コーヤを殺せ!」

ところが、コーヤに剣が到達する前に、カイトによって、全て叩き落されてしまう。

「ふっ。なかなか、面白い見世物だったぜ。」

「なっ!見世物だと!」

「レアヘル。これで分かったでしょ?あなたの力がどれだけ劣っているのかを。」

「認めない。認めない!認めない!!認めない!!!」

レアヘルは、まだ、自分の弱さを認められないようだ。

「はぁ。面倒臭いが、これをしないと終わらないか。レアヘルだったか?
君の最大の攻撃を僕が凌げば、君の負け。おとなしく魔界に帰って貰おうか。」

「くくく。言ったな!行くぜ!俺の最大の攻撃を受けやがれ!!!!」

レアヘルは、最大の攻撃をコーヤに向かって放つが、
最大の攻撃を放つ前に、レアヘルの懐に入り込んだコーヤの高速の肘打ちが決まる。

その高速の肘打ちに逆らう事が出来ずに、
闘技場の内壁まで吹き飛ばされて、壁に激突して、気を失ってしまう。

「で、アリアさん。こんな感じで良いですか?」

「ありがとうございます。手を抜いてくれて。では、私達は、帰らせて貰います。」

アリアは、レアヘルを回収すると、転移魔法を使って帰って行った。

ここで、シークレットイベント〈魔族から闘技場を死守せよ!〉が
終了したと言う報せが流れる。

「よっしゃ〜〜〜〜!終わったぁぁぁ!」

周りからは、喜びの声が多く聞こえる。

「コーヤよ。今回もそなたに助けられた。ありがとう。」

「頑張ったのは、ソアリスさんです。そして、運が良かったんです。」

「コーヤ様。ありがとうございました。装備は後でお返しに行きます。」

「いえ。そのまま、ソアリスさんが使って下さい。
僕としては、研究成果の一つでしかないので。」

「ありがとうございます。分かりました。これからも、大切に使わせて頂きます。」

「さて。闘技場の再建もあるが、頑張ってくれた者に報いる為に、近い内に、
王都で式典を行うつもりじゃ。コーヤも来てくれる事を期待している。
皆よ、王都に帰るぞ!」

国王達は、そう宣言をして騎士団に守られながら、王都に戻って行った。

僕も帰ろうとした時に、声をかけられる。

「あ〜。すまんが良いか?」

「はい?何ですか?」

「この剣はお前が作ったのか?」

そこには、ボロボロに砕け散った闘技大会2位の賞品があった。

「そうですよ。研究の過程で出た副産物ですけどね。
それにしても、ボロボロになりましたね。」

「そうなんだ。魔族に奪われてしまってな。何とか出来ないか?(落胆し剣を渡す)」

「う〜ん。(魔法袋の中を確認する)ああ。これなら良いかな。どうぞ(剣を差し出す)」

「これを?良いのか?」

「ええ。魔王家の王子が乗り込んで来たわけですし。太刀打ちは難しかったでしょうしね。
形は少し違いますけど、性能はあまり変わらないと思います。」

「そうか。変えてくれてありがとう!じゃあな(一礼)」

そう言って、喜びながら大会2位のプレイヤーは立ち去って行き、周りを見ると、
ほとんどのプレイヤーは、闘技場を立ち去って行った後だった。

「さて。僕達も拠点に戻るとするか。」

こうして、長く大変な1日は終わりを迎えた。

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