「ここは、それほど強い敵はいなさそうね。」
「ええ。とりあえず、ここを片付けて別の場所の援軍に行きましょう。」
「あら。こんな所に生きの良い人間がいたのね。」
移動しようと考えていたところへ、力を隠さない魔族が近付いて来た。
「アカネ。将軍クラス見たいよ。」
「そうらしいわね。
でも、みんなが強敵と戦っているのに逃げるわけには行かないわ!」
「ふふ。すぐに後悔する事になるわよ?」
10分後、アカネ達5人は、攻撃を開始するが一進一退の攻防で決めてに困ってしまう。
「やっぱり、そう簡単には勝たせてくれないようね。」
「へぇ〜。思っていたよりもやるじゃない。殺してしまうのはもったいないわね。」
「なに?もう、勝ったつもりでいるわけ?」
「あら。尺に触った?当然の事よ。あたしは、全力の3割程度しか出していないもの。
それで、やっと、互角に戦える程なら、あなた達は打つ手がないのも一緒。違う?」
「く・・悔しいけど、このままでは、確かに打つ手はないわ。」
しかし、アカネ達は武器を構える。
「なるほど。まだ、戦うのね。良いわ。今度は倍の力で絶望を教えてあげるわ。」
「アカネ!気を付けて!どんどん、力が強くなっているわ!」
「わか・・ぐっ!(敵の速い一撃を受けるが、足に力を集中して、
倒れずに砂埃を上げ後退するだけで凌ぐ。)」
「あら。良く、今の一撃を倒れずに凌いだわね。拍手してあげるわ。」
「なんて、速さなの。今のはなんとか反応出来たけど・・・。」
「アカネ大丈夫!?」
「なんとかね!」
「なるほど。このままだと時間がかかりそうね。
ここからは、7割の力を出させて貰うけど、いつまで持つかしら?」
5分後、アカネ達は防戦一方で辛くも凌いでいる状態だ。
ぴき・・・・ぴき・・・・。
「アカネ!装備が持たない!壊れそう!」
「ぐっ!(敵の攻撃を紙一重で躱す)とは言っても、この攻撃を凌いで反撃に出ようにも!」
「あらあら。なかなか、粘るわね。」
ぴき・・・・・・・・・ぱきん。
「とうとう。壊れちゃったか。
それにしても、新品で貰ったのに、30分も持たないなんて。」
「ふふふ。武器も防具も壊れてしまったようね。
降参する?するなら、すぐに楽にしてあげる。」
「そうは行かないわ。私達、冒険者は最悪の状態から勝利する事が出来る。
だから、今の状態でも必ず、あなたを倒して見せる!」
「それは、楽しみね。この絶望的な状況からどうやって、私を倒すの?」
ここで、アカネは別行動していたシェーラに声をかける。
「シェーラ!どれだけ吸取出来た!?」
「今のところ、吸収率は25%で全体の4分の1ってところね。」
「な!?あなた達!何をしたの!」
魔族は、人間に策を実行させないように、行動していたのに、
人間から吸収していたと聞き、冷静さを失う。
「敵にわざわざ教えるなんてするわけ無いでしょ?」
敵の魔力鎧が弱くなって来た頃のタイミングで、古い武器を使って攻撃し、
ダメージを与える事に成功する。
「がはっ!うそ!なんで、ダメージが・・・。くっ。なるほど。
私の魔力を減らしていたと言うわけね。
本当なら使いたくないけど、ここまで私を追い詰めたお礼に全力を見せてあげるわ!」
魔族が、全力を開放すると、アカネ達は成すすべが無く、闘技場の壁にまで飛ばされて、
体を打ち付けられて、地面に倒れて絶望的なピンチに陥る。
「くっ!(必死に立ち上がろうともがく。)
さすがに。はぁ。はぁ。はぁ。万事休すと言ったところみたいね。」
「あら。今さら実力の差を知ったところで、もう遅いわよ。
そう、簡単には殺さないで、苦しみを与えてあげるわ。」
魔族は勝利を確信した為か、ゆっくりとアカネ達に近づいて行く。