「ああ。そうだな。(ミュウ達を見て)どうだ、お前ら?いかに弱い存在か分かっただろう!?
これで、お前達を葬り去ってやる!(魔法発動準備に入る)」
「ぐっ!これで、終わってしまうの!」
「諦めない!絶対に何か打つ手があるはず!」
〈汝、我を求めよ。〉
「(え!?今の声は?なに? )」
〈我を欲するのならば、我をイメージせよ。さすれば、汝の欲する形になろう。〉
「!?」
シエルは、この言葉により、意味を察してみんなに念話で声をかける。
「(ミュウ!みんな!お兄ちゃんが隠した最終兵器が発動した。
だから、みんなの心を一つにして!今まで話し合って来た専用装備をイメージして!)」
「あら。装備も無くなりはしたけど、闘志は失われていないようね。
良いわ。リルちゃんとの合わせ技で、倒してあげる。」
その時、ミュウ達パーティーは光り輝き出した。
「うっ!なんなの!?この光は!」
「くっ!眩しくて見えない。」
光が収束すると、そこには新装備を装着したミュウ達が立っていた。
「な!?さっきとは違う装備だと?良いだろう!
何度でも叩き潰してやる!(速攻で攻撃を仕掛ける。)」
「(何かがおかしいわ。さっきまで瀕死だったのに、
今では、リルちゃんを赤子同然に圧倒している。
ま・まさか!神魔戦争時代の技術〈進化〉で復活した装備なの!?)」
「なんだ、こいつ等!さっきまでの弱っちい奴らとは全然違う!」
「リルちゃん。当然よ。私の予想が当たっていれば、難敵よ。」
「どういう事だ?」
「神魔戦争時代に開発された技術〈進化〉を使っているかも知れないわ。
そうだとしたら、装備の耐久や性能は桁違いになっているわ。」
「へぇ〜!面白そうじゃねえか!(ガクッと力が抜ける)な・なんだ!?」
「やっと、効き目が出て来たようね。効果が出て良かったわ。」
「本当だねぇ。とは言え、負荷がかかり過ぎたからか、装備は壊れちゃったけど。」
「まぁ。わたし達に運が来ているようだし、このまま、倒しましょ!」
「てめぇら!良い気になるなよ!こんな事で、負ける俺ではない!」
「そうね。どんな方法を使ったのか知らないけど、そう簡単にはやられないわ。」
ここから、ミュウ達パーティーの猛攻が始まり、10分後には完全に形勢が逆転をしていた。
「くっそう!身体が重い!それに、全てにおいて貧弱だったのに、
〈進化〉と言うのは、装備だけでなく身体も進化させるとでも言うのか!」
「リルちゃん。もう、撤退しましょう。このまま、戦っていても死ぬのを待つだけだわ。」
「くっ!あと、少しで倒せたのに!確かに、死んではリベンジは出来ない。
屈辱だが撤退には賛成だ。」
「それじゃあ、帰還を・・・。え!?うそ!」
「どうした?」
「帰還の魔法が使えなくなってるの。」
「なに!?ちっ。仕方ない。
地上経由で脱出しようぜ。俺が殿を務めるから、先に行ってくれ。」
「ごめんなさい。じゃあ、先に行くわね。」
ガシャン!!!
「いや〜。こんなに上手くかかるとは思っても見なかったよね。」
「うん。考案者の自分でもびっくり。」
魔族の2人の周りには、半透明のバリアが形成されていて、
上下左右どこにも移動出来ないようになっている。
ちなみに、魔法を無効化する作用も持っている。
「な!?なんだ!これは!」
「なるほど。私達をこの場所に誘導していたって訳ね。そして、いたぶって殺そうとでも?」
「まさかぁ♪わたし達は、2対2で戦おうと思っているだけだよ♪」
「うん。その方が、お互い後悔しないから。」
「ふふふ。良いのかしら?私達が押されていたのは、5人だったからよ。
2人で勝てるなんて思っているの?」
「実際に戦わないと分からないけどね。勝算が無いのにこんな事はしないよ。」
囲いを開放して、2対2のデスマッチが開始されて5分後。
魔族側が防戦一方になっていた。
「くっ!2人だと勝てるかと思ったけど。リルちゃん、良い作戦無い?」
「俺が持っているわけ無いだろ!」
「これで終わりだよ!行けぇぇぇぇ!(高出力砲が発射される)」
「ふん。いくら俺達が弱っているとは言え、避けられないとでも思っているのか!」
ミュウが放った高出力砲を簡単に魔族2人は避けてしまう。
「うん。当然、避けるのは計算済み。だから、こちらからも発射!」
「な!?いつの間に!くっ!(避ける)」
「まずい!は!くっ!(避ける)」
この後、魔族側は数回避けるが、ある事に気づく。
「くっ!なかなか、あいつらに攻撃出来ねぇ!」
「あ!?リルちゃん!この場所は危険よ!離れましょう!」
気付いた時には遅く、上空には五芒星が展開し、今まで溜め込まれた力を発射した後で、
魔族の2人は一瞬で倒されて、極大サイズの魔石を残して消えた。
「ふぅ〜。勝てたね。」
「うん。」
「ミュウ、シエル。お疲れ様。」
「いや〜!最後のは凄かったね!
2人の誘導に、お姉さんの方はすぐに気づくんじゃないかって、びくびくしていたよ。」
メンバーが、二人にねぎらいの言葉を贈っていると、カスミが異変に気付く。
「ねぇ。みんな!ちょっとおかしいよ!」
魔族の2人が残した魔石の近くに、一人の女性の霊体が佇んでいた。
「あのぉ。どちら様ですか?」
「今回は解放してくれてありがとうございました。(お辞儀をする)
私は、今から200年程前まで存在した小国スクシャで、侍祭をしていましたルリと言います。
魔王率いる魔国に国が滅ぼされた時も、神殿の防衛をしましたが、多勢に無勢で、
すぐに、負けてしまいました。
負けて死んだと思っていたら、なぜか、先程のように依り代にされてしまい、
脱出を試みましたが、叶いませんでした。」
「そうだったんですね。鑑定した時も特別の存在と出ていた意味が分かりました。
それで、ルリさんはこれからどうなるんですか?」
「私にも分かりませんが、たぶん、消滅するんだと思います。
そもそも、私は死んでいますから。
霊体を解放してくれたお礼に、差し上げたい品があるので、紙を用意してくれませんか?」
魔法の袋に入っていた紙をルリに差し出すと、本になって戻って来た。
「(受け取る)これは?」
「その本には、私が神殿にいる時に修得した技術、魔法などを収めました。
あなた達なら、より善き力に変えてくれると思います。
それに、私が消えされば、無になってしまうので、それは、したくありません。」
「ありがとうございます!
私達は、ルリさんがくれた情報を、有益ある物に変えてくれる人を知っています。
なので、その人と共にルリさんの意思を受け継いで行きたいと思います。」
「ええ(笑顔)。
あなた達の装備品から感じる力は、私達の時代にも存在した力だと思います。
だからこそ、あなた達に私の知識を差し上げました。
この世の最後に、良き人達に巡り会えたのは運命なのかも知れません。」
それから、1分くらいでルリは「さよなら」の言葉を遺して、消えてしまった。
「(一同黙祷)」
「はぁ。そっかぁ。ルリさんはずっと戦って来たんだね。」
「うん。ルリさんの意思を無駄にしない為にも、お兄ちゃんにこの本を有効活用して貰う。」
「みんな!まだ、イベントは終わっていないよ!闘技場に行って援護しないと!」
「うん!前に進もう!」
「(一同)おお!」
これによって、魔族側の四天王は消滅し、形勢が一気に人間側へと傾いた。