最終更新日 2022/06/05

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77話 クラン〈天使の光〉編 後編

「ああ。そうだな。(ミュウ達を見て)どうだ、お前ら?いかに弱い存在か分かっただろう!?
これで、お前達を葬り去ってやる!(魔法発動準備に入る)」

「ぐっ!これで、終わってしまうの!」

「諦めない!絶対に何か打つ手があるはず!」

〈汝、我を求めよ。〉

「(え!?今の声は?なに? )」

〈我を欲するのならば、我をイメージせよ。さすれば、汝の欲する形になろう。〉

「!?」

シエルは、この言葉により、意味を察してみんなに念話で声をかける。

「(ミュウ!みんな!お兄ちゃんが隠した最終兵器が発動した。
だから、みんなの心を一つにして!今まで話し合って来た専用装備をイメージして!)」

「あら。装備も無くなりはしたけど、闘志は失われていないようね。
良いわ。リルちゃんとの合わせ技で、倒してあげる。」

その時、ミュウ達パーティーは光り輝き出した。

「うっ!なんなの!?この光は!」

「くっ!眩しくて見えない。」

光が収束すると、そこには新装備を装着したミュウ達が立っていた。

「な!?さっきとは違う装備だと?良いだろう!
何度でも叩き潰してやる!(速攻で攻撃を仕掛ける。)」

「(何かがおかしいわ。さっきまで瀕死だったのに、
今では、リルちゃんを赤子同然に圧倒している。

ま・まさか!神魔戦争時代の技術〈進化〉で復活した装備なの!?)」

「なんだ、こいつ等!さっきまでの弱っちい奴らとは全然違う!」

「リルちゃん。当然よ。私の予想が当たっていれば、難敵よ。」

「どういう事だ?」

「神魔戦争時代に開発された技術〈進化〉を使っているかも知れないわ。
そうだとしたら、装備の耐久や性能は桁違いになっているわ。」

「へぇ〜!面白そうじゃねえか!(ガクッと力が抜ける)な・なんだ!?」

「やっと、効き目が出て来たようね。効果が出て良かったわ。」

「本当だねぇ。とは言え、負荷がかかり過ぎたからか、装備は壊れちゃったけど。」

「まぁ。わたし達に運が来ているようだし、このまま、倒しましょ!」

「てめぇら!良い気になるなよ!こんな事で、負ける俺ではない!」

「そうね。どんな方法を使ったのか知らないけど、そう簡単にはやられないわ。」

ここから、ミュウ達パーティーの猛攻が始まり、10分後には完全に形勢が逆転をしていた。

「くっそう!身体が重い!それに、全てにおいて貧弱だったのに、
〈進化〉と言うのは、装備だけでなく身体も進化させるとでも言うのか!」

「リルちゃん。もう、撤退しましょう。このまま、戦っていても死ぬのを待つだけだわ。」

「くっ!あと、少しで倒せたのに!確かに、死んではリベンジは出来ない。
屈辱だが撤退には賛成だ。」

「それじゃあ、帰還を・・・。え!?うそ!」

「どうした?」

「帰還の魔法が使えなくなってるの。」

「なに!?ちっ。仕方ない。
地上経由で脱出しようぜ。俺が殿を務めるから、先に行ってくれ。」

「ごめんなさい。じゃあ、先に行くわね。」

ガシャン!!!

「いや〜。こんなに上手くかかるとは思っても見なかったよね。」

「うん。考案者の自分でもびっくり。」

魔族の2人の周りには、半透明のバリアが形成されていて、
上下左右どこにも移動出来ないようになっている。

ちなみに、魔法を無効化する作用も持っている。

「な!?なんだ!これは!」

「なるほど。私達をこの場所に誘導していたって訳ね。そして、いたぶって殺そうとでも?」

「まさかぁ♪わたし達は、2対2で戦おうと思っているだけだよ♪」

「うん。その方が、お互い後悔しないから。」

「ふふふ。良いのかしら?私達が押されていたのは、5人だったからよ。
2人で勝てるなんて思っているの?」

「実際に戦わないと分からないけどね。勝算が無いのにこんな事はしないよ。」

囲いを開放して、2対2のデスマッチが開始されて5分後。

魔族側が防戦一方になっていた。

「くっ!2人だと勝てるかと思ったけど。リルちゃん、良い作戦無い?」

「俺が持っているわけ無いだろ!」

「これで終わりだよ!行けぇぇぇぇ!(高出力砲が発射される)」

「ふん。いくら俺達が弱っているとは言え、避けられないとでも思っているのか!」

ミュウが放った高出力砲を簡単に魔族2人は避けてしまう。

「うん。当然、避けるのは計算済み。だから、こちらからも発射!」

「な!?いつの間に!くっ!(避ける)」

「まずい!は!くっ!(避ける)」

この後、魔族側は数回避けるが、ある事に気づく。

「くっ!なかなか、あいつらに攻撃出来ねぇ!」

「あ!?リルちゃん!この場所は危険よ!離れましょう!」

気付いた時には遅く、上空には五芒星が展開し、今まで溜め込まれた力を発射した後で、
魔族の2人は一瞬で倒されて、極大サイズの魔石を残して消えた。

「ふぅ〜。勝てたね。」

「うん。」

「ミュウ、シエル。お疲れ様。」

「いや〜!最後のは凄かったね!
2人の誘導に、お姉さんの方はすぐに気づくんじゃないかって、びくびくしていたよ。」

メンバーが、二人にねぎらいの言葉を贈っていると、カスミが異変に気付く。

「ねぇ。みんな!ちょっとおかしいよ!」

魔族の2人が残した魔石の近くに、一人の女性の霊体が佇んでいた。

「あのぉ。どちら様ですか?」

「今回は解放してくれてありがとうございました。(お辞儀をする)

私は、今から200年程前まで存在した小国スクシャで、侍祭をしていましたルリと言います。

魔王率いる魔国に国が滅ぼされた時も、神殿の防衛をしましたが、多勢に無勢で、
すぐに、負けてしまいました。

負けて死んだと思っていたら、なぜか、先程のように依り代にされてしまい、
脱出を試みましたが、叶いませんでした。」

「そうだったんですね。鑑定した時も特別の存在と出ていた意味が分かりました。
それで、ルリさんはこれからどうなるんですか?」

「私にも分かりませんが、たぶん、消滅するんだと思います。
そもそも、私は死んでいますから。
霊体を解放してくれたお礼に、差し上げたい品があるので、紙を用意してくれませんか?」

魔法の袋に入っていた紙をルリに差し出すと、本になって戻って来た。

「(受け取る)これは?」

「その本には、私が神殿にいる時に修得した技術、魔法などを収めました。

あなた達なら、より善き力に変えてくれると思います。

それに、私が消えされば、無になってしまうので、それは、したくありません。」

「ありがとうございます!

私達は、ルリさんがくれた情報を、有益ある物に変えてくれる人を知っています。

なので、その人と共にルリさんの意思を受け継いで行きたいと思います。」

「ええ(笑顔)。

あなた達の装備品から感じる力は、私達の時代にも存在した力だと思います。

だからこそ、あなた達に私の知識を差し上げました。

この世の最後に、良き人達に巡り会えたのは運命なのかも知れません。」

それから、1分くらいでルリは「さよなら」の言葉を遺して、消えてしまった。

「(一同黙祷)」

「はぁ。そっかぁ。ルリさんはずっと戦って来たんだね。」

「うん。ルリさんの意思を無駄にしない為にも、お兄ちゃんにこの本を有効活用して貰う。」

「みんな!まだ、イベントは終わっていないよ!闘技場に行って援護しないと!」

「うん!前に進もう!」

「(一同)おお!」

これによって、魔族側の四天王は消滅し、形勢が一気に人間側へと傾いた。

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