最終更新日 2022/06/05

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20話 挫折

8月1日(月曜日)

コーヤとユヅキが、無限袋作ったり、土砂の撤去をしている頃、
レイドボス退治組では、大変な事が起きていた。

時間をレイドイベント開始して2日目の夜まで戻す。

「だぁぁぁ!!(攻撃が弾かれる)くっ!またか!」

「おい!撤退だ!」

「くそっ!」

前線組が撤退して行く。

「ねぇ。シエル(羽衣)。私達はどうする?」

「ミュウ(美羽)。私達も一度撤退しよう。みんなも良い?」

「うん!」

「了解!」

「撤退が決まったんなら、早くしようよ。時間も押しているし。」

私は、麻蔵羽衣(あさくらうい)。

Infinite Alternative world(インフィニティ オルタナティブ ワールド)を、
双子の美羽と共にβ(ベータ)版から遊んでいる。

その後、3人の仲間と知り合い、5人パーティーを組んで、王都と最前線との間にある、
鉱山の街ライムスに活動の拠点を設置している。

一ヶ月程前に、〈天使の光〉と言うクランを設立して活動しているけど、
メンバーは5人しかいない。

昨日から始まったレイドイベントも、みんなで参加する為に、フィンテルに来たけど、
武器の耐久度は激減するし、ダメージもあまり入らないし、士気は下がる一方。

打つ手が無く、行き詰まったまま、泊まっている宿屋に戻って来た。

「はぁぁぁ。今日もあんまり収穫なかったねぇ。」

「本当。全然、ダメージ入らないもんね。本拠地のある場所なら、問題ないのに。」

「ねぇ。明日以降どうする?修理費だけ嵩む一方だし、もう、諦めて家に戻る?」

「わたしもミュウに賛成かな。このままだと、得が無さそうだし。」

ミュウの言葉に、メンバーは、次々と拠点に戻る事に賛成をするが、
私は1つの可能性に賭けていた。

「提案があるんだけど、それが終わってから家に戻ろうよ。」

「シエルの提案って?」

「うん。今まで、もやもやしてて、どうにもスッキリしなかったんだけど、
さっき、糸口が見えたから、試して見てからでも遅くないかなって。」

私がそう言うと、ミュウがのって来た。

「え!?シエル!何か策があるの!?で、内容は!?」

「ミュウ。落ち着いて。

私は、魔獣討伐に参加しているプレイヤーは、
運営の罠に陥っているんじゃないかって思ってる。

だから、初心に帰ってダンジョン探索をすれば、なにか見つかるかも知れない。」

「え〜!でも、調べたけど宝箱なんて無かったよ?」

「シルファ。私も最初はそう思っていた。

でも、最前線組の攻撃でも、体力が全然削られていなかった。

当然、クレームは来ていると思う。

なのに、運営が動く気配がない。と言う事は、
魔獣を倒せるだけの装備品が、ダンジョンに眠っている可能性がある。」

「(少し考えて)なるほどぉ。
全然、気にしていなかったけど、ダンジョンに宝箱が1つも無いという事は、考えてみれば、
ゲーム的にもおかしいね。でも、確か、100階まであるんだよね?マッピングするの?」

「ミスリの疑問はもっとも。多くのゲームで、自らマッピングするのは極わずか。

大体がシステムに組み込まれていて、意識しなくても付与されている。

ダンジョンが100階まであるのに、自分の力でマッピングする人も極わずかだと思う。

そこから、マッピングスキルが存在しない方がおかしい。」

「う〜ん。と言う事は、明日はそのマッピングスキルを探して、見つかれば、
取得してダンジョンを調査するで良い?」

明日の活動方針が決まる寸前、コトハが質問して来た。

「はい!明日の行動については、それで良いんだけど、シエル。質問良い?」

「コトハ何?」

「どうして、そんな事を思いついたのかなぁって。ほら、別に昨日でも良かったよね?」

「わたしも気になる!!シエルどうして?」

ミュウも気になっているみたいだ。

「このイベント、もしかするとクリア出来ないんじゃないか?と、昨日思って。
じゃあ、なんの為にあるのか?って考えたら、ふと、去年のお兄ちゃんの言葉を思い出した。」

「???、お兄ちゃんの何の言葉?」

ミュウは、思い浮かべようとしている。

「ミュウ、去年の夏に宿題教えて貰っている時の事覚えている?」

「うん?なんか言っていたかなぁ。」

「言っていた。私達が数学に悪戦苦闘していて、問題が解けないって言っていた時、
解けない問題は無い。ヒントは必ずある。って言ってくれた。」

「ああ。なるほど。以前に話を聞いた2人の従兄のお兄さんね?

なかなか、良い事言うわね。

今回の事に当てはめると、魔獣にダメージが入らない、
でも、どこかにヒントはあるんだから、それを頼りに頑張れば良いって事よね?」

「コトハ正解。とは言っても、確かめて見ない事には分からないけど。」

「可能性があるならそっちに行こうよ。このまま、リタイアは悔しいしさ。」

こうして、私の提案に賛成して貰い、次の日、冒険者ギルドに急いだ。

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