最終更新日 2022/06/05

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11話 イベント〜レイドボス〜

7月30日(土曜日)

ログインして早速、神殿に向った。

「おはようございます。」

「コーヤ君。おはよう。全員揃ったね。」

どうやら、僕が最後で待っていたようだ。

「あれ?僕待ちだったんですか?すみません。」

「構わないよ。今後の打ち合わせもしていたからさ。」

「では、コーヤさんも来たので、封印解除します。」

セリナさんが神聖文字に手を触れて、パスワードを言うと、
壁だった箇所は崩れて、扉が姿を現した。

「おお。扉が隠されていたとは。」

皆、驚いている。

「過去には、このような技術を持っていたとは。僕達よりも、当時は進んでいたという事か。」

「それでは、扉を開けますね。」

今度も、セリナさんが、聖魔法を注いだ魔石が付いた鍵で扉を開けた。

がちゃ

「おお〜!これは・・・。すごい・・・。」

「どうやら、状態保存の魔法が部屋全体にかけられているようです。
それにしても、過去に失われた書物やアイテムが、こんな近くにあったなんて。」

「こんなにも遺して置いてくれたとは。ありがたい。
これらの過去の技術を復活させる事が出来れば、フィンテルの街も発展しそうだな。」

そう、部屋を開けると、状態保存の魔法がかかっていたようで、
きれいになっていて、しかも、古代の書物などの重要な品が所狭しと置かれていた。

確かに、これらを有効活用出来れば、今の状態よりも数段発展しそうだ。

司祭ファルカ

そんな事を考えながら、部屋を見ていると、突然、声がした。

《皆さん、この部屋へ良く辿り着いてくれました。》

声が聞こえた方を見ると、いつの間に作動したのか、ホログラム投影されていた。

《私は、イルサ暦598年現在、ウルラサ王国王都の神殿にて
司祭として働くファルカと言います。

皆さんが見ているのは、机の上にある魔石に記録された私です。

机の前に人が来た時に作動するように設定しました。

いきなりで、後世の皆さんにお願いするのは心苦しいですが、
この場所の地下に魔獣を封印しています。

私達も善戦しましたが、倒す事が出来ず、封印するしか手立てがありませんでした。

なので、お願いします。魔獣を倒して下さい。魔獣の名は、3つの首を持つケルベロスです。

お詫びと言うには些細な品かもしれませんが、
私達の時代で使われていたレシピ・スキルの詳細と取得方法等を差し上げます。

あと、魔法袋には、当時使われていた一般的な装備品などが入っています。

また、部屋にある物は、全て差し上げますので、善き事に使っていただければと思います。

最後になりましたが、私が消えた後に、右側の戸の封印が解除されます。

その戸は、地下へと繋がっています。改めて、よろしくお願いします。》

ウルラサ王国は、確か神魔戦争時に存在した国だった筈。

なるほど、神像の台はファルカさんの話が書かれていたわけか。

でも、魔獣は最低でも500年封印されていた事になるけど、
どのようにしたら、500年も封印出来るのだろう?

話が進んで行き、最後にファルカと言う女性司祭は、深々と頭を下げて消えていった。

その数秒後に、右側の戸が光りだし、1分程で光が収まったので、
開けて見てみると真っ暗で、階段が分かる程度でしかなく、目視で確認する事が出来ない。

「うわぁ。これを進んで行くのはなかなか厳しいですね。」

感想としては、漆黒の闇で、近くに強い気配はないけれど、
きちんと装備を整えて望まないと、うまく行くようには思えなかった。

「ああ、確かに。俺は、これから、ギルドに戻り、国中に伝達するから、
一番最初に冒険者が、ここを通るのは明日以降か。」

「うーん、僕達騎士団はどうしようか。騎士団では太刀打ち出来ないだろうし。」

「でしたら、ここへの案内と整理をお願いしたいのですが。良いですか?
混雑したり、問題も起きるでしょうから、取り締まりもお願いします。」

「そうですね。分かりました。じゃあ、僕達騎士団は、期間中の見回り強化、
地下出入り口までの案内と整理を主な仕事にしよう。」

「騎士団長ありがとうございます。私達、神殿は負傷者の治療を行います。
コーヤさんは、期間中、やはり、地下に潜るんですか?」

「僕ですか?一度くらいは魔獣を生で見てみたいとは思いますけど、
前線組が来ると攻撃も出来なさそうなので、タイミングが合えば潜ってみようかと。

あと期間中は、終わっていない清掃活動を主にするつもりです。」

「よし!これで、各自、行動する事が決まったな。
コーヤには緊急依頼を出すかも知れないからな。頼むな!では、行動開始だ!」

「ちょっ!ルクウェルさん緊急依頼ってなんですか!
なに、さらっと重要な事言っているんですか!」

抗議をした時には、ルクウェルさんはもう居なかった。

「まぁまぁ(苦笑)コーヤさん。ギルドマスターもコーヤさんを信頼しているからでしょうし。
それと、騎士団長とコーヤさんは、小部屋の物の移動と掃除を手伝ってくれませんか?」

こうして、僕達は、主役である冒険者のフォローをするべく、行動に移った。

《プレイヤーの皆様へ。これより、レイドイベントを開催します。

期間は、明日から10日間となります。

場所はフィンテルにある女神アーシェシュトラ神殿の最深部で、レイドボスの名はケルベロス。

神殿地下にはダンジョンがあり、魔物から出るレア素材の確率上昇のバフ効果の付与や
宝箱を配置をしていますので、レイドボスでポイントを入手し辛い人でも、
楽しめるようになっています。たくさんのご参加お待ちしています。》

プレイヤー全員にメッセージが送信され、
ログアウトする時間になると続々とフィンテルに集まって来た。

注意事項として、ダンジョン内の魔物は倒すと、9割が魔石を落とし、
1割がレア素材を落とす事が書かれていた。

僕とセリナさんとヴィオさんの3人で隠し部屋から、別の部屋へと中の物を移動し、
ヴィオさんが騎士団詰め所に帰ってからは、品物の整理をしていた。

「コーヤさん、ありがとうございました。まだ、他の人に見せるのはダメですし、
一人では全然、整理が進まなかったでしょうし、助かりました。」

「いえいえ。僕も、有用なレシピをメモさせて貰いましたし、ありがとうございました。
でも、僕に見せても良かったんですか?」

「全然問題ないですよ。今回の件は、コーヤさんが鍵を見つけてくれなかったら、
最悪、神殿を壊して、街に魔獣が出て来たかも知れません。

それに、私達よりかは、コーヤさんの方が有意義に使ってくれそうですから。

最終的には、これらの遺産を公開して街の発展に繋げたいと思っているので、
必要な品がありましたら、コーヤさんは遠慮なく神殿まで見に来て下さい。」

「そういう事であれば、遠慮なく、甘えさせて貰いますね。では、また、明日。」

宿屋に帰ると、明日から始まるイベント参加者で賑わっていた。

初めてのイベントと言う事で、高ぶりを感じながら、部屋に戻りログアウトした。

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