最終更新日 2022/06/05

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21話 マッピングスキル

8月2日(火曜日)

私達は、ログインする時間を合わせて、
揃うと、フィンテルの冒険者ギルドにやって来た。

「すみません。ちょっと聞きたいんですが。」

「いらっしゃいませ。どんな事を聞きたいんですか?」

「マッピングスキルの取得方法について聞きたいんです。」

「マッピングスキルは、主に自分達で地図を作り上げた人が取得出来ます。」

「他に無いですか?例えば、依頼に付与しているとか?」

「(依頼を調べている)う〜ん、ここにある中で、希望の依頼はないようですね。」

そんな時、係のお姉さんの後ろを、別の職員が通って、足を止めた。

「あら?何か問題でも?」

「あ。先輩。実は、マッピングスキルが付随する依頼を希望しているのですが、
今、調べても無いので、伝えていたところです。」

「なるほど。そう言う事なら、後は私が引き継ぐから、あなたは他の人をお願いね。」

「え?良いんですか?(話を聞いて)先輩。分かりました。よろしくお願いします。」

係の人は、後ろの人に声をかける。

「じゃあ。私に付いて来てくれるかしら?」

先輩と言われた受付のお姉さんが、私達に向けて言うが、
私達は今はそれどころではなかった。

「え?なぜですか?依頼に無いので、
これから、取得する為に話し合いしようと思っているんですが。」

「大丈夫よ。安心して?あなた達が損をする事はないから。」

受付のお姉さんは、にこやかに微笑んでいる。

私達は、少し距離をおき話し合いを始めた。

「どうする?」

「まぁ。当ても無いし、話を聞くだけでも良いんじゃない?」

「うん。私も賛成。」

私達は、話を聞いてみるで意見が一致したので伝えた。

「こっちよ。付いて来て。」

受け付けのお姉さんに付いて個室に入った。

「好きに座ってちょうだい。この部屋にはね。盗聴出来ないアイテムを使っているの。」

「その事と私達とどのような関係が・・・。」

「ごめんなさいね。先程、新しい依頼が入ったのだけど、この分野の依頼は、
当分入らないから、問題が起きないように、この部屋に来て貰ったの。」

「もしかして、その依頼って、マッピングスキルが付いてくるのですが?」

「ええ。しかも、1組限定なの。それでね。

注意事項があって、このスキルは依頼遂行中は仮取得だから、
依頼完了しないと正式に取得出来ないの。良いかしら?」

「はい。途中で放り出すつもりは全く無いですから。」

私の言葉に、他のメンバー4人も大きく頷く。

「良かったわ。あとは、(依頼の紙を見て)大丈夫そうね。内容は、東地区の清掃業務よ。

最初と最後に、担当の人に連絡して、終わったら業務完了証明書を貰って来て、
ギルドに提出してくれれば問題ないわ。何か質問あるかしら?」

コトハが質問をした。

「はい!なんで、東地区だけなんですか?他の地区は大丈夫なんですか?」

「実はね。1週間程前までは、ずっと掲示板に貼ってあったのだけど、誰もしたがらなくね。

困っていたんだけど、新人さんが依頼を受けてくれたのよ。

依頼を受けて2日後に東地区以外は、掃除する程汚くないし、
聞いてみたら自主的に行うようになったと報告を受けたの。

今回は、魔獣討伐の装備品作りなどで、汚れてきたから、また、お願いしたいと言う事ね。
とは言っても、東地区でも清掃班を作って今後は対応する見たい。」

「へぇー。前任の人って、まだ、この街にいるんですが?」

「どうかしらね。最近、ギルドには来ていないようだし、
移動したか、他に仕事が出来て忙しいか。」

「じゃあ。どんな風に掃除したか分かりませんか?」

「それは、東地区の人に聞いた方が早いわ。方法は、問わなかったし報告義務もないからね。」

「そうですか。分かりました。この依頼を受けさせて下さい!」

「ありがとう。よろしく頼むわね。」

東地区

依頼を受けて、東地区に移動し、近くを歩いている人に話しを聞いて見た。

「すみません。ちょっと、話を聞かせて欲しいのですが。」

「あら。可愛らしい。何かしら?」

「私達、東地区の清掃依頼で来たんですけど、
前任の人が、どのようにしていたか知りませんか?」

話しかけた30代と思われる女性は、少し考えて答えてくれた。

「ああ。そう言えば、どこから見ても清掃している様に見えないのに、
何をしているの?って話しかけたら清掃しています。と言っていたお兄さんがいたわ。」

「どんな風に、清掃していたかは・・・。」

「そうね。ごめんなさい。分からないわ。
私と話をしている間もなにかしているようだったけれど。」

通りがかった職人風のお姉さんが、声をかけてくれた。

「どうしたんですか?ここで、何かありました?」

「ちょうど良い所に来てくれたわ。

あなたは、最近、この地区をきれいにしていたお兄さんが、
どのように清掃していたか知らないかしら?」

職人風のお姉さんは、すぐに思い当たったようで教えてくれた。

「ああ。あの人の事ね。多分だけど、風魔法使っていたと思うの。」

「風魔法ですか?」

「そう。高い場所では、風が渦を巻いて木の葉が舞っていたんだけど、
下の方に行くと、全然、風が吹いていなかったからね。まぁ、気のせいかもしれないけど。」

この後も、数人に聞いて見たけど有益な情報は手に入らなかった。

「でも、人を不快にさせない様に風魔法を使うって、どうすれば良いのかなぁ?」

「相当、難易度が高いよね。」

「でもさ。これは魔獣退治にも使えるかもよ?一点集中で攻撃力を上げるとか。」

「なるほど。じゃあ、頑張って見ようか!」

最初、風魔法を操るのが難しくて、大変だったけど、次第に慣れて来て、
清掃依頼が完了する頃には、要領良く出来る様になった。

そのおかげもあって、風魔法のレベルが2から5になった。

「終わったぁぁぁ!これは、きつい!」

「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ。前任者は何者なの。この作業を人に知られないようにするなんて。」

「はぁ、はぁ。本当。でも、了承を貰って、冒険者ギルドで報告すれば、報いられる。」

4時間かけて東地区の清掃依頼をクリアし、マッピングスキルを取得出来た。

ここで、みんなは知らなかったが、コーヤが使ったのは〈魔法(初歩)〉の風魔法であって、
単体の〈風魔法〉ではなかった事だ。

前者は、威力は小さいが操作は簡単、後者は操作は難しいが威力は大きくなっている。

しかし、怪我の功名で、5人は魔法の扱い方を少し理解する事が出来た。

神殿地下ダンジョン

少々休んでから、私達はマッピングの効果を知る為に、ダンジョンの1階までやって来た。

「みんなの発動している?」

「(全員)問題なし!」

「じゃあ。歩いて地図を完成させよう。」

1時間後

「う〜む。ここまでは、今までと同じだね。」

「うん。問題は、隠し要素があるとして、どのように見つけるか。」

「やっぱり。簡単なのはこうやって壁に手を付けて・・・、きゃあ!」

「シルファ!!!」

「痛たたぁ。もう!こんな仕掛けがあるなんて!あれ?戻れない?!」

シルファが壁を押したり、ボタンを探したりするが手がかりがない。

「大丈夫!?」

「大丈夫!!でも、こっちから戻れない。」

「と言う事は、一方通行って事よね?」

「うん。抜けられないマップは作らない筈だから、行ってみよう。」

一方通行を通り、シルファと合流し、マッピングで空白地帯を歩いていると、
魔物が出て来るようになった。

「初回の敵ばかりだから、みんなこの場所には来ていないみたいだね。あ!宝箱発見!」

ミスリが宝箱を発見した。

「ほんとだ!」

「お〜!シエルの推理は正しかったね!で、何が入っているのかな?」

「罠は無いみたいだから開けるね!オープン!」

コトハが罠を確認した後、宝箱を開けると消えてしまった。

「あれ!?宝箱消えちゃった!?」

「えー。わたし、何もしていないよ!」

コトハが焦っているが、私は袋に入る所を見ていた。

「大丈夫。袋見て。」

「おー!レイドボス有効装備品箱と消耗品箱が入っている!」

「うそ!こっちには何も入っていないよ!」

ミュウが自分の袋には入っていないと言う。

「多分、開けた人の袋に入る仕様なんだと思う。」

「って事は、最低でも人数分見つけないと行けないわけだ。」

3時間後

「ふう。次が30階だし、時間も遅いから、今日はここまでにしない?」

「そうだね。宝箱も1人あたり60個近くあるし、良いんじゃない。」

「じゃあ。次の30階が今日ラストね!」

30階をクリアして、ログアウトした。

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