最終更新日 2022/06/05

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13話 拠点

冒険者ギルドで物件を買える場所を教えて貰い、北区の担当部署に移動して来た。

「お客様、どのような物件を探しているのですか?」

「えーと、僕は生産系をメインにしたいと思っているんです。

それで、そういう事に適した家か土地を探しているんですが、良い所はありませんか?

出来れば、自給自足出来たり、他人に迷惑がかからない場所があれば最適なんですが。」

受け付けのお姉さんは固まってしまったようだ。

「あの!ごめんなさい!そのような都合の良い物件無いてすよね!また、来ます!」

椅子から立ち上がろうとすると、ローブを引っ張られた。

「あの、呆れていてとかではなく、お客様の条件に合う物件が1件あります。」

「え?そうなのですか?」

もう一度、イスに座り直す。

「はい。ただ、多くの問題を抱えた物件なので、なかなか、紹介するのも難しいのです。」

「とりあえず、話だけでも聞かせてもらって良いですか?」

「はい。まず、紹介する物件はフィンテル内に無く、街の北西にある小高い丘にあります。

建物は、最低でも300年前からある建築物と言われている程、古くから存在しています。

200年前に王都一帯を巨大地震が襲った時に、フィンテルも甚大な被害を遭い、
近くの山が土砂崩れを起こして崩落し、建物が損壊しました。

東館が半壊し、真ん中の本館と西館は一部損壊状態となっています。」

水を飲んで一息つく

「この物件は元々、自給自足を目的に作られたようで、畑が5面があったり、
西館には錬金部屋など生産系の部屋、半壊した東館には鍛冶の設備があったりします。

本館ですが、部屋数は20部屋で二階に10部屋あり使用人の部屋だったようです。

一階には来客用に4部屋、主の部屋、風呂(男女別)、トイレ、倉庫、食堂となっています。」

再度、水を飲んで一息つく

「以上が物件の概要です。次に問題点ですが、土砂崩れの撤去、半壊の東館を壊して建て直し、
畑の整備、本館と西館の改修等を購入者がすることになります。」

「なるほど、買ったは良いけど、全ての機能を使おうと思えば、莫大な金額が必要となる。
であれば、他の物件にするか、生産整備を借りたりした方が、全体的に負担が少なくなると。」

「はい。もし、全てを職人に依頼したとすると、
3年程前に、我が方で算出した金額は、白金貨2枚以上になると出ています。」

「おお。確かに、それだと、皆、手が出なさそうですね。
ちなみに、現在の値段はどうなっていますか?」

「なかなか売れないので、執行部が議論をしたところ、
金貨2枚で売る事になったようです。」

「え?金貨2枚ですか?いくら、土砂崩れや建物が損壊しているとはいえ、
もう少し、高くても良いような気がするんですけど?」

「元々の売却は、一般向けでは無く、王族・貴族などが相手でしたが、
この街が徐々に縮小してしまい、建物が街の外になってしまいました。

そうなると、王族・貴族等は外は危ないからと買いません。
そこで、一般開放したのですが、先程話した問題点により買い主が現れず・・・。」

「なるほど。この物件を処分出来るのなら、とことんまで金額を安くしようと?」

「そのようなところです。どうしますか?買っていただく場合、現状での買取になります。
損失等のクレームは受付しません。それらの同意書にサインをしていただく必要があります。」

「うーん。買います!お金もありますし、条件にも合っていますし。」

「お買い上げありがとうございます。

(書類を確認しながら)あ!すみません。もう一点忘れていました。

今まで、我々が管理している土地から魔物が出現したら、
冒険者ギルドまたは騎士団に連絡する為にも監視する必要性があったので、
人を派遣していたんです。その分を管理費として計上させて欲しいのです。」

「なるほど。確かに、街の安全の為にも必要ですね。払いますので会計お願いします。」

「ありがとうございます。売却物件の金貨2枚と管理費の金貨1枚をよろしくお願いします。」

金貨3枚をテーブルに出して、受け付けのお姉さんに渡す。

「確かに、お預かりしました。契約書等があるので、少々、お待ち下さい。」

5分程で必要な書類を持って来た。

その後、必要事項に記入後、ギルドカードを提示し、
水晶玉に手を触れて問題が無かったので、 土地の権利書等を受け取った。

「これで、土地と建物の権利はお客様に移りました。何か、質問等あればお聞きします。」

「建物の再建するのに、職人を紹介してくれる場所はありませんか?」

「それであれば、冒険者ギルドで聞けば教えてくれますよ。」

「ありがとうございます。早速、土地を見に行こうと思います。
色々とありがとうございました。」

「いいえ。こちらこそ、買っていただきありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。(深々と一礼)」

土地と建物を手に入れる事が出来たので、早速土地と建物を見に来たんだけど、
建物までの道を完全に塞ぐ形で土砂や木など色々な物が堆積していた。

「あー、これは骨が折れそうだ。時間かかりそうだし、明日からにするか。」

撤去は明日からにして、神殿に戻った。

女神アーシェシュトラ神殿

「こんにちは。セリナさん。女の子の状態どうですか?」

「ああ。コーヤさん。あの子は先程、目が覚めて、
ご飯を食べたら安心したのか眠ってしまいました。」

「そうですか。状況の聞き取りは明日からですね。
あと、魔獣討伐はどうなっていますか?」

「魔獣討伐の方は芳しく無いですね。

多くの方が、ダンジョン攻略後、魔獣と戦っているようですが、
ダメージが入らないと戻って来る人が口々に、みんなそう言っていました。」

「ダメージが入らないと言う事は、武器が弱いと?」

「そうだと思います。

ただ、前線組と思われる人達が、前線のダンジョンボスを倒した武器が
通じないのはおかしい!って、大声で叫んでいるのを見ると、
武器が弱いからダメージが入らないのは違うように思うんです。」

「なるほど。であれば、ダンジョンには魔獣に効果がある装備品が眠っているかも。」

「う〜ん。本当にその様な物が、ダンジョン内にあるんでしょうか?」

「分からないですね。でも、1つずつ可能性を潰していくのは悪くはないですよ。
可能性の範囲内なのか、それとも実際に存在するのかでは、対応が変わりますから。
最初の階だけでも、確認して来ますね。」

「分かりました。コーヤさん、気を付けて行って来て下さい。」

神殿地下ダンジョン

ダンジョンの中に入って行くと、地下独特の感じがした。

「うん。人の居る気配は無いな。やはり、1階は素通りかな。」

マッピングスキルを使って、1階の地図を完成させて行く。

「うん?やっぱり不自然だよね。ここ。」

歩けそうな場所を全部行ったので、地図を見てみると、なぜか、凹凸のあるデコボコした形で、
明らかに奥に何かありますよ的に、不自然だと感じたので、壁を触って1周する事にした。

そうすると、素通り出来る壁、小さいボタンがある壁などがあり、
宝箱を15個入手する事が出来た。

宝箱には、『レイドボス有効装備品箱』と『消耗品箱』が入っており、
箱を開けると、アイテムが自動的に魔法袋に収納される。

ランダムで別の場所に出現するようだけど、
感覚的には、あらかじめ決められた場所に、ランダムで出現するように思えた。

その後、2階には降りて行かず、神殿に戻って来た。

「あ。コーヤさんどうでしたか?」

「これを見て下さい。」

『レイドボス有効装備品箱』と『消耗品箱』、各15個を見せる。

「これは!ダンジョンで手に入れた宝箱ですか?」

「はい。マッピングされた地図に違和感があったので、探したら見つかりました。」

「何階まで行ったんですか?」

「1階までです。1階だけでもこれだけの数の宝箱が手に入るのに、
ダメージが入らないと言う事は、宝箱の存在を知らないのでしょう。
かと言って、宝箱の存在を公表して甘やかすのは違う気がしますし。」

「ですよね。まぁ、始まったばかりなので、今後に期待しましょう。」

「ええ。最終日までに、魔獣の体力があまり減っていない場合は、
信頼出来そうな冒険者を集めて、討伐しようと思っています。

知り合いがいますので、その人に頼めば協力してくれるはずです。
さて、時間も遅くなったので、僕は帰りますね。明日も忙しくなりそうですし。」

「確かにですね。
でも、コーヤさんは働き過ぎなので、魔獣討伐が終わったら体を休めて下さいね?
今は良いかも知れませんけど、動かなければダメな時に、体が動かなくなりますよ?」

「ははは(苦笑)分かりました。今回の件が終わったらゆっくり休みますよ。
元々、今のように忙しい生活をするつもりは無かったですしね。」

「また。明日。」

神殿から出て、宿屋の自室に入ってログアウトして1日を終えた。

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