最終更新日 2022/06/05

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120話 農場建設

2月16日(日曜日)

今日は、農業クランが活動するための農場の範囲を決定し、
土壌調査などをする事になっている。

「おお〜〜!すごい、広いねぇ〜!これなら、色々な作物を栽培できそうね。」

イオさんの知り合いの女性アイナさんが、農場建設予定地を見渡して口にした。

「コーヤさん。話には聞いていたけど、本当にこの平地を自由に使っても良いの?」

「はい。昨年の段階で、僕の拠点周りは、他の人の迷惑にならなければ、
自由に使って良いと前国王様から許可は貰っていますから。」

「そういう事なら、自由に使わせてもらうわ。

12月27日に農業クランのメンバーを募集したんだけど、
現時点で、100名近くの募集があったから、なんとかなりそう。

あとは、土壌なんだけど・・・。」

土壌を鑑定すると、農業関連のWebサイトにある数値より、少し高いけれど、
僕の拠点の土壌を100とすると、ここの土壌は70程なので、
土壌改良が必要そうだ。

「(土を鑑定)う〜ん。良くも悪くも無いって感じね。」

「そうですね。今から土壌改良すれば、4月から馴染むように思いますが。」

「確かにね。ただ、リアル世界にある肥料に類するのがあるかどうか。

それと、肥料自体が無くても、材料があれば良いんだけど、それがどうなるか。

まぁ、1つずつ解決するしか無いわね。」

「アイナさんは、今までどこで農業を?」

「私は、第2エリアで塩を作っていたわ。

農業自体、父の実家がしているんだけど、
子供の頃から、夏休みとかに遊びに行くと、手伝っていたから、
最初は、今までしたことが無いジャンルをしようと思って。

料理も好きだから、色々と考えて塩を作る事にしたの。

でも、思った以上に大変だったわ(苦笑)」

「上手く行ったんですか?」

「ええ。上手く行ったわ。

塩作りを始めて3ヶ月目に販売をスタートさせて、
今では安定供給出来るようになったし、作業もNPCに任せられるようになって、
次に何をしよう?と考えている時に、イオから連絡を貰ったの。」

「なるほど。そうでしたか。では、大まかな枠ぎめをしましょうか?

余った土地は、セレサさんに使って貰いましょう。」

この後、2時間程かけて、植える作物を考えながら、枠を決めていき、
農場の全体像が見えて来た。

「ふぅ(手で汗を拭う)こんなところでしょう。

予め、コーヤさんから貰える、種の種類を聞いていたので、
ネットで調べて形にしましたが、想像を超えていました。」

「そうですね。

僕も、最初はこじんまりでも良いかな?って思っていましたけど、
ほぼ大規模農場ですよね。」

「まぁ、4月からも人数増えるでしょうし、
増えなければ、出来る範囲で活動しますし。」

農場全体を木枠で囲み、作物毎だけでなく、
作物の特性を考慮した区分けをしている。

作物のデメリットで悪影響が無い様に、色々と工夫しているようだ。

さて、帰ろうかと思った時に、ルシアさんとセレサさんが来た。

「お疲れ様です!!」

ルシアさんは、相変わらず元気が良い。

「こんにちは。農場らしくなりましたね。

森から見ている時とは違って、想像以上にこの平地は広いんですね。」

セレサさんは、辺りを見渡しながら感想を話す。

「2人はどうして?」

「わたしは、受験勉強で行き詰まってしまったので息抜きです(苦笑)

(農場を見て)後は、作物を植えればいい状態みたいですね。」

ルシアさんにアイナさんが近づいていく。

「初めまして、私はアイナよ。

大枠は決めたのだけど、土壌が良いとは言えないから、
4月までに、土壌の改良が必要になるわ。」

ルシアさんとアイナさんは、今後の事を話しながら、農場へと歩いていった。

「セレサさんは、どうしたんですか?」

「農場を枠ぎめがある程度終わった所で、こちらに行くのは決めていました。」

「なるほど。農場も後々、拡張するかも知れませんけど、
セレサさん達が使っても良い場所は広いので、問題ないと思いますが。」

「はい。問題ない広さだと思います。」

僕とセレサさんが話をしていると、ルシアさんとアイナさんが戻って来た。

「情報の共有が出来たので、4月の活動が楽しみです♪

あ、コーヤさん。

イオお姉ちゃんから伝言で、リアル世界で忙しいから、
壁の調査をお願いしたいと言っていました。」

「あ〜、それで、最近は見かけないのか。

まだ、時間もあるし、少し調べてみるかな。」

他の3人が興味があると言うので、一緒に調査する事になった。

岩壁調査

カーン、カーン、カーン

ツルハシで壁を壊す音を響かせながら、1km程掘り進めると、
大きな空間が姿を現した。

「(下を見ながら)これは深い。何でこんな大きな空間があるんだ?」

「う〜ん。底が見えないという事は、最低でも20m以上ありそうね。

コーヤさん、どうします?」

アイナさんが下を覗き込みながら、聞いて来た。

「せっかくだし、降りてみましょう。

(エレベーターもどき)これで。」

「コーヤさん。これって、天空の島の時のですか?」

ルシアさんは知っているようだ。

「そう。とりあえず皆乗って下さい。」

皆が乗り、安全を確認しながら降りて行き、5分程で到着した。

「うわぁ。広〜い!ここって採掘場だったんですかね?」

ルシアさんが、広い空間を見ながら、疑問を口にする。

「そうだと思うけど、何で1kmも先なんだろうか。」

「それは、土砂崩れで埋もれたからでは?」

セレサさんが分析する。

「なるほど。

そうなると、先程掘って出て来た宝石類は、
元々は土砂崩れした場所にあったのかも知れませんね。

なにか無いか調べてみましょう。」

手分けして調べると、エレベーターもどきで降りた場所から、
奥に行くと休憩所らしき場所があった。

その場所の一部が崩落し、下へと降りられるようになっていた。

「これは。中に魔物がいそうだから、もしかして、ダンジョンなのかな。」

「その可能性がありますね。

魔物と戦ってみないと分かりませんけど。」

セレサさんも同意した。

「ちなみに、ルシアさんとアイナさんは、戦闘はダメですか?」

「ああ。そうですね。ほとんどダンジョンとか入っていませんから。」

「わたしも、少しは戦えますけど、弱いです。」

「そういう事なら、セレサさんと僕とで戦ってみて、この場所を推測しましよう。

ルシアさんとアイナさんは、ここで待っていて下さい。」

謎のダンジョン

魔物の気配のする場所まで進んでみると、進化したと思われるゴブリンが2体いた。

「セレサさん。1体をお願いします。」

セレサさんが頷いたので、僕は攻撃をした。

今まで通り、瞬動を使わず、高速移動で後ろに回って攻撃すると、反応されて防がれた。

「へぇー。なかなか、反応が良いなぁ。じゃぁこれなら!」

今度は、瞬動を使って、フェイントを混ぜながら攻撃するが、
ダメージは少し入ったが、戦闘に影響のない状態だ。

「う〜ん。これでも付いてくるかぁ。気配を消したら反応するのかな?」

先ほどと同じく、瞬動を使うが、今度は、気配を消して様子を見ると、
今度は反応できていなかった。

そして、気配を消したまま、後ろから頸を攻撃するが、
ダメージが入りにくい感じがした。

「これは、硬いな。武器の耐久力を半分も持っていかれるとは。」

今まで使っていたのは、11月の魔族再襲撃段階の変形武器なので、
このダンジョンと思われる場所で戦うなら、
12月のクラン対抗戦段階の装備でないと無理なようだ。

そこで、最近やっと作る事が出来た”刀”を使う事にした。

「さて、どこまで通じるか。」

僕が動き出すと、ゴブリンも動き出した。

ゴブリンとの最適な距離で、居合の状態で抜刀して攻撃すると、
今度は、頸を落とすことに成功した。

セレサさんの援護をしようと見たら、同じタイミングで倒したようだ。

「セレサさん、お疲れ様です。なかなか、強かったですね。」

「本当です。なかなかダメージが入らなくて苦戦しました。」

「とりあえず、ここの調査は今度にして、上に戻りましよう。」

2体分のゴブリンの血、ゴブリンの皮、ゴブリンの剣を回収し、
ルシアさんとアイナさんと合流し地上に戻り解散した。

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