拠点に帰って来ると、カイトとアカネさんが、
芝生の上で、 難しい顔をしながら、悩んでいた。
「なにしてんの?」
「(起き上がり)おお。帰って来たか。あけましておめでとう。」
「(起き上がり)あ。コーヤ君。あけましておめでとう!」
「カイトとアカネさん。あけましておめでとう。今年もよろしく。それで?」
「天空の島の事でな。」
「ああ。行く方法が無いと?」
「そうなんだよ!アイディアが出なくて・・・。
でね。何か良いアイディアない?あと、上昇で行くのは出来る?」
「俺は、魔法のほうきや魔法の絨毯を作れないか聞きに来た。」
なるほど、2人は一応、色々と考えているようだ。
「カイトへの答えとしては、出来るけど素材次第かな。
最低でもパーツをはめ込む穴が3つ以上の素材だね。
魔法のほうきなら、普通の木でも大丈夫だと思うけど、
耐久力を考慮すると、魔法に親和性のある木が欲しいかな。
パーツ穴は、同じく3つ以上。
次の魔法の絨毯は、素材自体は、どんな絨毯に乗りたいかによって変わるね。
乗り心地を優先するなら、良く考えて決めて。
あとは、素材を持って来てくれたら、僕が付与したり加工するから。」
「ああ。助かる。
最近、生産系の練習をした方が良いんじゃないか?と話していたんだ。
コーヤほどで無いにしても、色々な使い方が出来そうだしな。
まぁ。とは言っても、3人の大学受験終わってからだな。」
アカネさんが反応する。
「え!?1歳しか違わないんだと思っていたよ。」
「まぁ。そこは、人それぞれの感覚だからな。
ちなみに、シルフェが大学2年生、ライア・ユニ・オリエが高校3年生だ。」
「へぇー。シルフェさん、大学2年生だったんだ。」
「アカネさん。質問の答えを話すけど良い?」
「ああ。うん。お願い。」
「上昇のみなら、初級の基礎だから、島の高さまでは上昇するのは無理だと思う。
特に、空には風があるから、上に行くに連れて、不安定になると思うよ。
あと問題点としては、寒さ対策、スピード、コントロールがあるかな。
それらを、きちんと出来れば、エレベーターもどきが出来ると思うよ。」
「なるほど。って、もしかして、自分で作れって事?」
「うん。これは、付与を習得する良いチャンスと思って。」
「でも、さっきの話を聞くと難しそうなんだけど?」
「そうでもないよ。初級に載っているパーツで動くと思うよ。
それにね。今後、会社などで働けば、上司から、こんな事がしたいと言われた時、
今の内から、練習しておけば、頭の中にパーツを思い浮かべる事が出来る。」
「う〜ん。確かに、思考の高速化は、すぐに出来ないから、今なら時間があるか。
コーヤ君は、どれだけの期間で出来たの?」
「今考えれば、転機は昨年9月のイベント、防衛戦だったかな。
あの時は、生産系の技術力向上を目指していて、
イベント前日の夜に、色々なアイテムを思い付いたんだ。
それで、2人で徹夜してまで、作り上げたんだけど、あの時以降、なんとなく、
作りたい物に付与するパーツを思い浮かべる事が出来るようになったのは。」
あの時は、全てが新しかったから”わくわく”して、すごく満足出来た。
ふと、今はどうだろう?と思う。
新しい事と言えば、新素材があるけど、以前ほどの”わくわく”は無いかも。
そのうち、新しい”わくわく”を見つけられれば良いな。
「そうだね!新世紀にもなった事だし、挑戦してみるよ。」
「うん。がんばって。」
「ちなみに、コーヤはどうやって行くんだ?」
「僕?僕は空を歩いて行くよ?」
「いやいや。コーヤ君でも、空を歩くなんて無理でしょ?」
「ふむ。そこまでの自信という事は、何か見つけたのか?」
「なんだ。カイトには、分かっちゃったか。」
「え!?コーヤ君、新しい発見があったの!?」
「うん。
でも、9月の防衛戦の時も、初級編に”虚無の足場を作る”パーツがあって、
それを装備の靴に付与して、拠点から城壁まで、一気に飛んだんだ。
で、今回、新素材を、次々に合成して行くと、
”レビア”という浮遊能力がある素材へと進化したんだ。」
「え。でも、私達が現実世界で忙しくなる前には無かったよね?」
「無かったね。目につく所は、随時、掃除しているし、一人暮らしだから、
思ったほど、汚れていなかったから、時間が空いたから、
その時間で、前々から興味のあった、最終的にどの様になるのか?を試した。
そうしたら、”レビア”という素材に進化したんだ。
ちなみに、今、靴底には”レビア”を貼り付けているよ。」
「コーヤ君、実演して貰って良い?」
実演してみた。
「コーヤ。これは、俺達でも使えるのか?」
「そう言うだろうと思って、複数個作っておいたよ。靴の裏を出して。」
2人の靴に、”レビア”板を貼り付けて行き、一緒に使い方も教えた。
「おお!コツはいりそうだが、俺でも大丈夫そうだ。」
「ほんとう!すごい面白い!」
2人は、大満足して降りて来た。
その後は、雑談したりして、解散した。