最終更新日 2022/06/05

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113話 麻蔵家

僕は、イオさんの店を後にして、周りをぶらついて、中央広場にやって来た。

中央広場では、パン屋などの出店があり、多くの人で賑わっていた。

「あ!コーヤさん!明けましておめでとうございます!(お辞儀)」

「明けましておめでとうございます。

え〜と、確か、第三エリアのドラグさんのクランの・・・。」

「あ♪覚えてくれていたんですか♪

わたしは、マキエと言います。

リアルでは、パンにそんなには思い入れが無かったんですが、
コーヤさんが作っていた加工パンが美味しくて、ハマってしまっちゃったんです。

それで、ドラグさんが作った複製機で増やして、色々と試行錯誤して、
今日、出店したんです。

あの!ぜひ、食べてみて下さい!」

そう言うと、作りたての加工パン、この時はハンバーガーもどき(ボア肉)を貰った。

「ありがとう。いただきます(頭を下げる)もぐもぐ・・・。」

僕の感想が気になるのか、固唾を飲んで見守っている。

「美味しいよ。ハンバーグも、歯ごたえがあって、肉汁もきちんと口の中で出るし。

このパンの上に付いているのは、ごまだよね?どこにあったの?」

僕が感想を言うと、ホッとしたように、場の空気も緩和した様に感じられた。

この後、食材について、情報交換をし、帰ろうとすると、後ろから声をかけられた。

麻蔵一家

「あれ?お兄ちゃんも、来ていたんだ。」

後ろを見ると、ミュウちゃんとシエルちゃんだけでなく、他に3人いた。

「もしかして、孝幸叔父さんと香住叔母さんと、出水ちゃん?」

「正解だよ♪お兄ちゃん♪ここで会うのは初めてだよね。」

「でも、なんで一家で?」

「それはな、食卓では良く、この世界の話になるんだが、
俺はしていないから、何の話か全然分からない。

だから、正月休みに家族で色々と見たいと妻に言ったら、
ヘッドギアを買って来てくれたから、お参りは明日にして、家族で来てみたんだ。」

「なるほど。それで、感想としては、どうですか?」

「俺がゲームを遊んでいた時代とは、全然違う事にびっくりだ。

しかも、感覚を維持出来ているのがすごい。」

「それは、良かったです。でも、気を付けて下さいね。

ハマりすぎると、仕事の最中も気になってしまうかも知れませんから。」

「はははは(苦笑)気を付けるよ。」

「ねぇねぇ。お兄ちゃん。

ミュウお姉ちゃん達に聞いたんだけど、すごく、立派な拠点あるんでしょ?

行ってみたいな?」

出水ちゃんにお願いされたし、人もどんどん多くなっているので、
避難的にも、拠点に案内する事にした。

拠点前

「どう?イズミ、すごいでしょう♪」

なぜか、ミュウちゃんがドヤ顔していた。

「もう。ミュウお姉ちゃんの拠点じゃなくて、お兄ちゃんのでしょ。」

「ミュウ。なぜ、ここでドヤ顔するのか理解できない。」

ミュウちゃんが、出水ちゃんとシエルちゃんから、白い目で見られている。

「ねぇ。コーヤくん。この拠点高かったんじゃない?

私も、6月入ってから始めたんだけど、賃貸でも結構な値段だったと思うけど。」

「まぁ、立ち話もなんですから、入りましょう。」

拠点内

「おお〜〜〜〜〜〜〜!」

孝幸叔父さんと香住叔母さんと出水ちゃんの3人は、
拠点の中に入ると、すごくビックリしていた。

「なんか、外と中で、別世界みたい。」

「イスに座って待っていて。飲み物持って来るから。シエルちゃん案内お願いできる?」

「分かった。みんな、こっちに来て。」

10分後

僕が飲み物を持って、〈ユグドラシル〉の下にある、通称〈憩いの場〉に行くと、
話で盛り上がっていて、数種類の飲み物を選んで貰った。

「お兄ちゃん。シエルお姉ちゃんから聞いたけど、木の上が絶景だってほんと?」

「そうだね。

この場所だけで、フィンテルの10m程地面が高いし、
この木は〈ユグドラシル〉と呼んでいるんだけど、上に行けば、更に5m程上だから、
計15m上から見る事になるよ。」

「行ってみたい!!!」

せっかくなので、上に招待した。

〈ユグドラシル〉中層

「おお〜〜〜〜〜〜〜!」

孝幸叔父さんと香住叔母さんと出水ちゃんは、エレベーターもどきで上に登ると、
3人共、拠点の中に入った時と同じく、すごくビックリしていた。

「これは、なかなかの眺めね。夜はきれいそうね。」

香住叔母さんは、景色に興味があるようだ。

「はい。実際にきれいですよ。

それと、地上との高低差があるので、作業をしていても、
地上の喧騒を消してくれますので、集中する事が出来ますよ。」

「なぁ。出水。この景色を写真に取りたいんだが、どうすれば良いんだ?」

孝幸叔父さんは、スクリーンショットの撮影が出来ずに出水ちゃんに聞いていた。

「なるほど。え〜と、ここで範囲指定して、後は、このボタンを・・・。」

「孝幸叔父さん。どうですか?良い写真撮れました?」

「ああ。出水に教えて貰ってなんとかな。

コーヤくん。こんな素晴らしい場所と景色を見せて感謝する。」

「良いですよ。親戚ですし、喜んでくれた方が、運営だって喜ぶでしょうし。」

「それで相談なんだが、今、撮影した写真を待ち受けにしたり、
本当の写真にして、持ち歩くのはダメかな?

ほら、著作権については、本人の知らない所で、問題になっていたりするじゃないか?」

「確かにそうですね。でも、SNSでは、風景写真とかは普通に投稿されていますし、
この場所からの風景は、全然問題ないと思いますよ。

ただ、外を写すなら良いですが、内部は撮影厳禁の魔法が付与されているので、
仮に撮ったとしても、写りませんが。」

「ふむ。それは、企業秘密かい?」

「そうです。いちゃもんを言う人の相手をしても無意味ですから(苦笑)」

「確かになぁ。

俺が勤めている会社にも、そういう人からの電話が来るんだが、
理不尽な事を話す人もいて、一番、人気が無い部署になっている。」

「お父さん!お兄ちゃんに、会社の愚痴を話しても、どうもならないでしょ?」

「おっと、すまない(苦笑)」

「お兄ちゃん。ここにある果物とかは、食べちゃダメなの?」

出水ちゃんは、外の景色を堪能したのか、作物に興味が行っているようだ。

「ううん。全部、食べれるよ。そう言えば、お昼は食べたの?」

「う〜ん。屋台を色々と廻ったりしたけど、こっちに来たのが11時過ぎだったの。

しかも、元旦だから、みんな10時頃まで寝ていたし。」

「そうなんだ。満腹ならどうかな?って思ったけど。

それじゃ、出水ちゃんとミュウちゃん、シエラちゃん。

適当に、食べれそうなのを見繕ってもらえる?」

3人は喜んで、鑑定を使って、食べごろを探している。

僕は、孝幸叔父さんと香住叔母さんを連れて、中央の飲食エリアへ移動した。

20分後

僕達が、話しをしていると、3人は戻って来た。

「ただいま〜♪楽しかった〜♪」

出水ちゃんは上機嫌だ。

「お母さんも、お父さんも一緒に来れば良かったのに。」

「出水が楽しかったのなら、それで良いわ。

私もお父さんも、鑑定がないから、名前も分からないし。」

「あれ?お母さん、取っていないの?」

「うん。本当に時間が空いた時だしね。」

「そろそろ切ろうか?」

3人が選んで来た、果物を出して貰い、洗ってから切って大皿へ盛り付ける。

食べた時の反応が、三者三葉だった。

「美味しい・・・。」

香住叔母さんは一言だった。

孝幸叔父さんは、時が止まったかのように固まっていた。

逆に出水ちゃんは・・・。

「すご〜〜〜〜〜〜い!!!!!!美味しい!!!!」

その後は、普通に雑談をしながら、果物をみんなで食べた。

「それで、これから、みんなはどうするの?」

「う〜ん。どうしようか?」

出水ちゃんが、4人に聞く。

「わたしとシエラは、出水のしたい事に付いて行くよ。

他の事は、三が日終わってからで良いし。ね?シエラ?」

シエラちゃんは、ミュウちゃんの問いかけに頷いていた。

「お母さんと、お父さんは、何かしたい事ある?」

出水ちゃんが、叔母さんと叔父さんに聞く。

「そうねぇ。美味しい物食べたし、景色も堪能したし、私は思い浮かばないかな。」

香住叔母さんは、したい事を聞かれて考えている。

「お父さんは、鍛冶を経験してみたい。

子供の頃、職人の技術を放送する番組があって、TVカメラを置かせてもらい、
ナレーションなども無く、ひたすら、時間一杯、職人の仕事を映しているのを見て、
一度、鍛冶をしてみたいと思ったんだ。

ただ、大人になるに連れて、簡単には出来ないと分かり、諦めていたんだけど、
ここなら、可能なんだろう?」

「うん。可能だよ。

各エリアにある大都市の冒険者ギルドには、レンタル鍛冶場があるから。」

「そうか。それじゃぁ。近くで貸してもらうか。」

「待って。お父さん。ここの鍛冶場を使わせてもらったら?」

ミュウちゃんが提案して来た。

「コーヤくん。そうなのか?もし、良ければ、一度使わせて貰えないだろうか?」

「構わないですよ。移動しましょう。」

鍛冶場へ移動し、基本を教えた。

30分後

「ふうう。コーヤくん。どんな感じだろうか?」

「初めて、これだけ出来れば、合格点です。」

「そうか。それは、良かった。無心で何かに打ち込めるのは、新鮮な気持ちになるな。

どうだろう?たまにで良いので、使わせてもらえないだろうか?」

孝幸叔父さんから、お願いがあった。

「コーヤくん。夫が来る時には、私も一緒に来るから安心して。

私も、ここにある本を読ませて欲しいし。」

香住叔母さんは、本を読みたいみたいだ。

「お兄ちゃん。お母さん達なら、変な事はしないと思うし、大丈夫だと思うよ。」

「うん。大丈夫だとは思っているけどね。

今回はゲスト扱いですけど、次回以降は、登録しておくので、普通に入れます。

ただ、今は僕だけですが、三が日過ぎれば、
共同で使っている8人が戻って来ますので、気を付けて下さい。」

出水ちゃんが挙手した。

「はい!わたしも登録出来るの?」

「うん。この後、3人は登録するから。」

「ありがとう♪」

「ねぇねぇ。せっかくだから、ガチャか、貸衣装着て、写真撮らない?」

シエラちゃんが提案して来た。

「良いね♪良いね♪

お兄ちゃんなら、確かガチャで、お正月の正装衣装があったはずだし、
それがあってそうだね。

まずは、ガチャ屋に行かない?」

この後、3人の登録をして、フィンテルへ向かった。

フィンテル・ガチャ屋

「ここがガチャ屋だよ。そして、向かいには、レンタル衣装屋と写真コーナーがあるよ。」

ミュウちゃんとシエラちゃんの誘導で、中央の噴水広場から西地区寄りにあるガチャ屋に来た。

「説明すると、ガチャなら、12連ガチャが一回無料と言う、運営からのお年玉がある。

貸衣装は、ネット情報を見たら、小物なら1000円位まで。

以降は、容量を多く使う、豪華な衣装であればあるほど、リアルマネーがかかる。」

シエルちゃんが説明してくれた。

「え?でも、レンタルだから、何十万もしないよね?」

「うん。最高払っても、1万5千円位までみたい。」

「う〜ん。そうなると、ガチャがお得に見えるね。」

「たぶん、レンタルはガチャに無い、キャラ物とかを多く置いているから、
自分の好きな衣装を着たいお客を、ターゲットにしていると思う。」

「ああ。なるほど。」

どうやら、ガチャと貸衣装では棲み分けが出来ているようだ。

「お兄ちゃん!!今日の特賞、陰陽師衣装セットだって!」

ミュウちゃんが、教えてくれた。

「特賞かぁ。都合良く当たらないだろうし、気楽に行こうかな。」

「ううん。お兄ちゃんなら、特賞も狙えると思う。」

シエラちゃんが、そんな事を言う。

「だって、確率だって低いだろうし。」

「大丈夫。リアルラック持ちのお兄ちゃんなら。」

なぜか、シエラちゃんは力説する。

列に並び、話をしている間にも、どんどんとガチャを回して行く。

そして、自分の順番が来た。

「お願いします。」

「はい!いらっしゃいませ!

初めてですね。今回の分は無料となっていますので回して下さい。」

ガラガラ、ガラガラ、コロン

「(出て来た玉の色を見て)おー!おめでとうございます!特賞で〜す!(鐘を鳴らす)」

「さすが、お兄ちゃん!」

周りでも、今まで、特賞が出ていなかったのかどよめいた。

「ははは(苦笑)1回目で出るとは・・・。」

「あの。あと、11回回して下さい。」

「あ、はい、すみません。」

11回ガチャを回すと次の物が当たった。

特賞:陰陽師衣装セット1個
1等:神主衣装セット1個
2等:生産道具セット3個(強化MAX、複製不可)
3等:装備品ランクアップの権利1個
4等:肥料各種3個
5等:レンタル衣装代半額券1個
6等:ポーション各種1個
7等:ガチャ1回無料券1個

「いやー、やっぱり、お兄ちゃんの運すごいよね!」

ミュウちゃんは、興奮していた。

「うん。予想通り。しかも、特賞〜7等まで全て当った。

お兄ちゃん、陰陽師か神主の衣装に着替えて、お祭りを楽しもうよ。」

シエラちゃんは、不穏な事を言っている。

「ほら。とりあえず、みんなの結果を見てからね?」

「そうだね。わたしもシエラもまだだし。」

ちなみに、今は香住叔母さんが、ガチャを回している。

20分後

「ふっふっふ♪巫女さんの衣装が当った〜♪」

出水ちゃんは、ガチャの衣装を見た時から、巫女さんの衣装が欲しいと言っていたのだ。

「出水ちゃん、おめでとう。叔父さんと叔母さんは、どうでした?」

「私は元から、貸衣装にしようと思っていたから、
レンタル衣装代半額券を1個を貰えて良かったわ。

他は、6等と7等だったわ。」

「俺は、神主の衣装が当ったよ。良い体験が出来た。」

その後、6人で写真撮影コーナーや、人があまりいない場所なんかで、
色々な写真を撮り、継続時間4時間を超えると言う、お知らせが来た事もあり解散した。

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