最終更新日 2022/06/05

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111話 講習会要望

12月26日(木曜日)

作業をしていると、ドラグさんがやって来た。

「話があるという事でしたが、何ですか?」

「多方面から講習会を、また、開催して欲しいと要望が来ている。

特に、冬休みに入って活動再開したプレイヤーが多い。

とりあえず、自分達で出来ないかを探ったのだが、
場所や教師役の人員に関して、ハードルが高い。

そこで、コーヤなら良い案があると思ったから来た。」

「へぇー。そこまで好評だったんですね。

場所は、う〜ん、王都近郊が良さそうですよね。

5つのエリアから移動しやすいでしょうし。

人員に関しては、講習会の開催発表すれば、前回参加者も、ある程度参加するでしょうから、
問題ないとして、どの程度集まるかということですね。」

「そうだな。

掲示板で、盛り上がっていたようだし、場合によっては10万人も在り得る。

しかし、さすがに、1箇所に10万人となると、色々と問題も起きそうだ。

その時は、期間を増やすなどの対応が必要だろうな。」

「なるほど。分かりました。

僕の方でも、動いてみます。

ある程度、詳細が決まれば、ドラグさんにお伝えしますので、
対応をお願いします。」

「ああ。それはもちろんだ。よろしく頼む。」

こうして、講習会の開催に向けて動き出した。

王宮

王宮に行き、国王様に相談することにした。

「ふむ。講習会か。良い案じゃ。

わしの所に来たという事は、場所の問題じゃな?」

「はい。僕としたら、王都近郊に場所を作ろうかと考えていて、
その許可をいただければと。」

「闘技場から遠くにするのか?」

「そうですね。あまり近すぎても問題が起きそうですし。」

「(少し考えて)そうか。

実はな、大都市の騎士団から、訓練場作って欲しいと要望が来ておって、
特にアイテウス騎士団は、闘技場から一番遠くにあるから、熱望されておる。

とは言え、今年は、魔族の2度の襲撃による復興で、簡単には作れん。

そこでじゃ。

各大都市の騎士団にも、講習会に参加の許可を貰いたい。

講習会で学んだ事を、闘技場内に現在、作っている騎士団の訓練場で練習する。

そうすれば、戦力を上げる事が出来る。どうじゃろうか?」

国王様の顔は真剣そのものだった。

「冒険者の場合、多くがパーティー人数が5〜6人にしています。

そのため、騎士団のような大人数の訓練はしていないので、
どこまで、参考になるかは分かりませんが、それで良ければ、構いません。

あと、基本的に1ヶ月に1度の割合で開催しようと考えています。

ただ、参加者が多い場合、常設しても良いとも思っています。」

「あの、質問良いですか?」

ソアリスさんが質問して来た。

「一般の人達も参加できますか?」

「一般の人達というと?」

「例えば、料理人、建築家など講習会で教える内容に関連のある職業の人達です。

この人達が、講習会で学び、仕事で活かすことで、地域の活性化に繋がると思いまして。」

「なるほど。僕としても、そうなってくれると嬉しいです。

講習会のルールとして、自分の得意な事を、別の人に教えるとなっているので、
そこに、一般人だから、騎士団だからとかはありません。

ただ、開催するのは構わないのですが、管理となると、
僕がずっとするのは無理なので、管理者を決めなければいけないですね。」

「ありがとうございます。

管理者に付いては、私達の方で、なんとかしたいと思います。

会場作りと開催日は、決まっているのですか?」

「開催日は、1月15日を考えていて、
会場の設営は、建築出来る人を募り、1月7日から1週間で完成させるつもりです。

それまでに、調理器具などを手分けして用意します。」

「分かりました。騎士団や一般人の方々には、私達からお知らせしておきます。

何か、問題が起きましたら、お知らせ下さい。」

「ありがとうございます。それでは、僕はこれで失礼します。」

「コーヤよ。少し待ってくれ。わし達から話すことがある。」

国王様から呼び止められた。

「話ですか?」

譲位

「そうじゃ。この話は、明日に公開するんじゃが、コーヤには今話す。

1月2日に、わしはソアリスへ王位を譲渡する事にした。」

衝撃な話だった。

「え!?国王様は、まだ、大丈夫そうだと思っていたんですが。」

「体に関しては、まだ、問題は無い。

今回は、わしの体の事で、譲渡するのではなく、良い時期だと思ったからじゃ。

ソアリスは、魔王討伐の功績で、”剣姫”の称号を手に入れ、
魔族再襲撃時にも、魔国王子と戦っても生き抜いた。

この事は、多くの国民にも支持されておる。

今後も他国や魔族など、我が国が脅かされる場面もあるかと思う。

特に、魔族の王子レアヘルは、必ず、我が国を滅ぼそうとやってくる。

そこで、今のうちから、世代交代をしておけば、問題が起きた時に対処出来ると思ったのだ。

今後の問題として、ソアリスの結婚相手は、2年後を目処に決めるつもりじゃ。」

「この話を聞いた時、ビックリしました。

いつかは来るだろうと考えていましたが・・・。

ただ、私は、まだまだ、国王になるのは早いと思っています。

年齢も、今年で21になったばかり、戦闘では貢献出来ますが、
政治では、まだ、どれが正解なのかと迷ってしまいます。」

ソアリスさんのとまどいの言葉に、国王様が話す。

「ソアリス。正しい答えなど無いのじゃ。

その場その場で、最適と思える選択をする。

その選択の結果、悪い方に転がれば、国王が責任を取る。

だから、国王に必要なのは、状況判断と責任を取って死ぬ覚悟じゃ。」

ソアリスさんは少し考えてから話す。

「分かりました。

今後、国民を悲しませない為にも、懸命に頑張りたいと思います。」

「とは言え、ソアリスだけでは、色々と苦労するだろう。

わしは、相談役をする事にした。

どうしても、選択できない時は、わしを頼るが良い。

それと、エリシアを国王補佐に任命する。

でじゃ。

コーヤよ。頼みがある。

ソアリス、エリシア、ユヅキと子作りをしてもらいたい。」

一瞬、国王様が何を言っているのだろうと思ってしまったが、
ソアリスさんを見ると、顔を赤くして俯いているので、本当なのだとろう。

「はぁ!?いやいや?

数年後には結婚して、子供を作るんですよね?

なんで、その前に、僕と子作りをするんですか!?」

「これには理由があるんじゃ。

コーヤは、魔族、特にあの王子が、我が国を諦めると思うか?」

確かにあの王子は、粘着しそうだしと思った。

「え〜と、あの様子だと、たぶん、復讐して来るかも知れませんね。」

「ああ。たぶん、わしらの世代は無いとしても、数十年後はあるかも知れん。

そして、わしが危惧するのは、コーヤ達が亡くなった後、
コーヤの様に行動出来る者がいなくなる事じゃ。

あの者はコーヤが居なくなった時を狙ってくるかもしれん。

その時の標的は、ソアリスであり、後継者たる子じゃろう。

仮にこの時に、この国が滅ぼされても、コーヤの拠点があれば、再興も出来ると思うが、
そこを他の悪意のある者に奪われては、可能性が潰えてしまう。

しかし、コーヤの血を引いていれば、拠点を使えたり、物作りが出来るかも知れない。

ならば、ソアリス、エリシア、ユヅキにコーヤの子を産んでもらい、
公表せずに育て、生き残れるように訓練する。

これが、最適と考えた。」

なるほどと思った。

確かに、いつまでこのゲーム世界にいるかは分からない。

「ソアリス、エリシア、ユヅキには、既に伝えてあるし、許可も取ってある。」

「あの。コーヤ様。私は嬉しく思っています。

コーヤ様の血筋を残せるのですから。

お願いします(立ち上がって、頭を下げる。)」

僕は色々と断る方法を考えたが、途中で考えるのを諦めた。

「(息を吐く)ソアリスさん。本当に僕で良いんですか?」

「はい!好きな人の子を産めるのは、最高に幸せです。

最初は、尊敬しているだけでしたが、
徐々に、恋心に変わって行きました。

でも、私は王家の人間で、王位継承権一位の人間です。

到底、叶わないだろうと恋心を封印しましたが、
こうして、コーヤ様の子を産む機会にめぐりあえて感謝しかありません!」

「分かりました。ソアリスさん、よろしくお願いします。」

「あとじゃ、エリシアとユヅキにも言葉を貰っている。

ソアリスよ。読んでくれ。」

”はい”と言うと、ソアリスさんは、エリシアさんとユヅキの気持ちを読む。

エリシア

「わたしは、コーヤさんとの子に、自分の予知能力が継承される事を願っています。

そして、今後、仮に国が無くなろうとも、コーヤさんの子が集まれば、
国を再興する事も出来ると思うからです。」

ユヅキ

「わたしは、コーヤさんと色々な物を作ったりして、段々と好きになって行きました。

でも、あの王子は、コーヤさん達が居なくなった後に襲撃するかも知れません。

その時に、コーヤさんとの子が居れば、その子に将来を託し、
わたしは、十二分に戦う事が出来ます。」

これらの言葉で、僕は覚悟を決めた。

この後、エリシアさんとユヅキを交えて、日程を考えていく。

環境が揃った1月初旬に行為におよび、
4月に妊娠したと連絡を貰った。

ちなみに、これらはキャラクターとしてなので、プレイヤーには影響が無い。

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