1月2日(木曜日)
今日は、王宮で戴冠式が行われる。
僕とユヅキは、特別枠で招待された為、現在は、謁見の間の後方で見ている。
この場面は、多くの場所にディスプレイを配置し、
謁見の間にあるドローンから、現在、生放送をしている。
儀式は、約30分となっていると聞いた。
過去の戴冠式では、形式的な事が多く、一日中かかったようだが、
現国王様が、不要な部分を省いた結果、30分にまで縮小出来たみたいだ。
儀式は、前半の形式的な儀式を終わり、
後半の国王様から、ソアリスさんへの継承に入っていった。
「ソアリスよ。この冠を被せれば、そこで継承された事になる。
今後は、自分の時間はおろか、場合によっては、不眠不休があるやもしれん。
覚悟は出来たか。」
「もちろんです!
戴冠を引き受けた時には、それらは覚悟できています。」
「うむ。良い目じゃ。」
そうして、国王様は、ソアリスさんの頭に冠を置く。
「皆の者!国王の座は、今をもって、王位継承1位のソアリスへと移行した!
今後も難問が待ち構えているじゃろう。
それを、ソアリスと一緒に乗り越えてくれ!」
この言葉で、王宮で働く、政務官達は、一斉に立ち上がり、恭順の姿勢を取る。
「うむ。期待しておるぞ。次に新国王からの挨拶じゃ。」
ソアリスさんは、国民へも話す為に、国王の座の階段近くに、
演説用の台が設置され、そこへ移動した。
「(深呼吸)政務官達、並びに、謁見の間への参加者、
そして、国民の皆さん、新たに国王へ就任したソアリスです(深々と頭を下げる)
父である前国王は、私の相談役となり、
新しく国王補佐を設け、私の従姉妹であるエリシアを就任させます。
エリシアさんは、演説用の台の横で、深々と頭を下げる。
先程、国王の地位を継承しましたが、まだまだ、政(まつりごと)に関しては、初心者で、
日々、この国をそして、国民の生活を良くして行くにはどうするか?を考えています。
そこで、王宮の方達に話を聞き、今後の国政に参考に出来る事が無いかと思いましたが、
残念ながら、新しい事を取り入れたい、私としては、想像の枠を出ませんでした。
しかし、ある人物に聞いた話は、役立つと思い、すぐにではありませんが、
近い内に導入したいと思います。
その方法とは、国民の皆さんにも、国政に参加していただく事です。
なにより、流通や他の地域の情報に精通しているのは、国民の皆さんと思っています。
最終的に、決めるのは私ですが、その判断材料を出していただきたいと思います。
この点が、私にとっての大改革です。
他には、昨年の7月に、 フィンテルにあります、
女神アーシェシュトラ神殿より見つかりました、古代の遺物を公開します。
私達、王宮の者だけでは、研究できていません。
なので、公開し、多くの人に研究して貰えれば、国の発展にも役立つはずです。
これらの詳細については、準備が出来次第、連絡します。
今後、お叱りを受ける様な事態になるかも知れませんが、
どうぞ、よろしくお願いします(深々と頭を下げる)」
話が終わり、再び、ソアリスさんとエリシアさんは、深々と頭を下げる。
これにて、戴冠式は終了した。