最終更新日 2022/06/05

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100話 最終日 後編

午後12時半頃

午前中に第三エリアを統一し、残すは第四・第五エリアを残すのみとなった。

しかし、相手は動く気配が無く、話し合った結果、動いた時に対応する事にして、
今まで通り、講習会を続けて行く事で一致した。

第四エリアSIDE:

「しおんせんぱ〜〜〜い。いつまで、動かないんですか?」

「脳筋二人で戦っているんだから、しょうがないじゃない。私だって暇なのよ。」

しおんは、ソファーに座りながら本を読んでいたが、ほとんど頭には入っていなかった。

「それなら、講習会に行きましょうよ!」

「何よ。講習会って。」

「さっき、野良クランで活動していた友達から連絡来て、
なんでも、第一・第二・第三エリアの人達が集まって、
スキルの扱い方や、戦闘時の連携、あと、瞬動とか色々な事を教えてくれるんですって!」

「はぁぁ!なによそれ!あっちは、そんな面白い事していたの!?」

「そうらしいですよ。で、友達から、一緒にどう?って誘われたので、先輩もどうかなって。」

「教えてくれてありがとう。普通なら、副代表として動くべきでないと判断するんだけど。
もう、あの脳筋には、うんざりしていたのよ。新しいクランを立ち上げるわ。

それで、まだ、残ってくれている人に、伝えてくれない?

その講習会に参加するか、それとも、自由に動くかをね。」

「了解です!あたしも先輩のクランに参加しますね(にこっ)」

後輩が皆に伝えに、出かけるとしおんは、第五エリアの副代表に連絡した。

「あ。メイリー、今、暇?実はね・・・。」

事情を説明

「それ、本当?」

「ええ。そもそも、最終日に罠仕掛けても意味ないでしょ?」

「それもそうね。分かったわ。こちらでも、話をして自由行動にするわ。」

「それじゃぁ。あとで合流しましょ。」

「了解よ」

セレネSIDE:

私は、ちょうど1つの講習が終わり、次にどうしようかと悩んでいると、
大きな集団が、こちらに向けて歩いて来た。

その中に、見知った顔があったので、近づいてみた。

「あら、しおんさんにメイリーさん。あなた達も参加しに来たの?」

「あ、セレネ、ちょうど良かったわ。仲介してくれない?」

「え?別に、代表に会いたいと言えば、普通に会えますよ?」

「いや。だって。私達、実質的には敵よ?」

「う〜〜〜ん、コーヤさんは気にしないはずですけど。
分かりました。呼んで来るので待っていて下さい」

コーヤSIDE:

僕の前には、数千人の集団がいて、参加したいらしい。

「なるほど。皆さんの参加は問題無いですので、色々と勉強して下さい。

ただ、男性が二人で戦っているんですよね?放置して良いんですか?」

しおんさんが代表して答えてくれた。

「受け入れてくれてありがとう。

二人は顔を合わせると、必ず戦っている脳筋なんです。

一応、報告しているし、食料も置いて来ました。

なので、後は自分達の事をするだけなので、
コーヤさんが気にする事では無いので、安心して下さい。」

後ろを見ると、同じクランの人が「うんうん」と頷いている。

これにより、僕達の講習会の参加人数が、5万人を越える事となった。

午後5時半

二人はまだ戦っていた。

「はぁ。はぁ。はぁ。そろそろ、日が暮れそうだ。今回も引き分けにしようぜ。」

「はぁ。はぁ。はぁ。ああ、そうだな。結局、今回も決着がつかなかったか。
それより、異様に静かだと思わないか?」

「そう言えば、そうだな。人の気配がしないな。」

二人は戦場を片付け、クランの拠点に戻るも、誰もいない。

「(クラン前で合流)おい!ルドラト!探しても誰もいないぞ!」

「ウアスラ。俺の方も同じだ。ただ、書き置きがあった。お前の方にはあるか?」

「調べてみる!」

ウアスラは、急いで拠点に戻り、テーブルにある書き置きを見つけて、
合流場所に戻って来る。

「(書き置きを見て)おい。どういう事だよ。俺達を置いて行くなんて。」

「ウアスラ。皆がいる場所へ行こう。完全に日が落ちれば迷子になるぞ。」

「ああ。そうだな。」

二人は合流するべく、移動を開始する。

午後6時半

ルドラト・ウアスラSIDE:

「ぜぇ。ぜぇ。やっと、見つけた。」

「ぜぇ。ぜぇ。。第三エリアとしか書かれていないからな。」

メイリーSIDE:

その時、休憩していると、脳筋二人の姿が目に入ったので、近づいて行った。

「あら、やっと、戦いを止めたのね。」

「おい!メイリー!なんで、言ってくれなかったんだ!」

「はぁ(ため息)あのね。ルドラト。休憩している時を見つけて、ちゃんと伝えたわよ?
でもね。全く、話を聞いていないし、空返事だし、それで放置したの。

しおんも同じ事をしたと言っていたわ。」

「ぐっ・・・。」

「まぁ。二人が戦って、わたし達が暇だったからこそ、講習会に参加できて、
色々なスキルや類する事を学べたのだから、そこについては、感謝するべき点ね。」

「いつ頃からだ。」

「そうね。12時半くらいかしら。だから、6時間いるわね。」

「ここでは、何が学べるんだ?」

ウアスラが聞いて来た。

「一番の目玉が、瞬動と縮地ね。多くの人が一度は成功してるけど、安定はしていないわ。」

「なっ!?瞬動と縮地だと!?」

二人は、驚愕の余り、言葉が出ない。

「ええ、そうよ。わたしも瞬動が成功したから、縮地にチャレンジしたの。
なんとか。一回は成功できたんだけど、なかなか、戦闘で使うのはまだ無理ね。」

その時、夕食が完成したというアナウンスが流れる。

そして、お風呂上がりのしおんがメイリーからの連絡でやって来た。

「メイリーもお風呂入ったら?気持ち良いよ。」

「うん。本当はこの二人を見なければ、そうするつもりだったんだけどね。」

「なんだよ!それじゃぁ。俺達は邪魔者みたいじゃないか!」

しおんが呆れたように、二人を諭す。

「残念だけど、私達からしたら、あなた達は邪魔者なの。

良い?クラン創設時は良かったけど、だんだんと自由奔放となって、
クランメンバーの事を考えない行動をする。

それに、あなた達二人は、私達の迷惑を考えずに戦い始める。

このイベントも、代表同士の一騎打ちではなくて、メンバー全員含めて、
戦っていれば、どちらかのクランが、2つのエリアを占拠して、
コーヤさんのクランと対抗出来たかも知れないのよ?

他にも、メンバーの説得やフォローは私に全て丸投げ。

コーヤさんに出会わなければ、今の状態でも構わないと思っていたんだけど、
講習会に参加して、多くの人と交流すると、違う事にチャレンジしたい!と思って来たの。

だから、申し訳ないけど、私を慕ってくれる人を引き連れて、新しいクランを作る事にしたわ。

イベント中はシステム上の理由で出来ないけど、明日にでも実行するつもりよ。」

わたしも頷いて、話を引き継ぐ。

「わたしもね。しおんと同じ気持ちよ。」

二人は愕然となって、崩れ落ちて、泣きついて来る。

「メイリーすまなかった!(土下座して頭を下げる)
今後は勝手な行動はしないから、捨てないでくれ!」

「ちょっと!何を言うのよ!(少し、引いている。)」

「しおんもすまなかった!だから、クランにいさせてくれ!」

近くにいた人達が、何事か?と思って、食べ物を持って集まって来る。

「もう!人が集まって来たじゃない!

わたし達の気持ちは変わらないけど、今後の事は明日話しましょう。」

コーヤSIDE:

会場の一角で、人が集まっていたので、見に行くと、なにやら、修羅場だった。

「えーと、これって、男女の修羅場?」

しおんさんが、急いで訂正に入る。

「ち、違います!」

しおんさんとメイリーさんの口から、経緯を聞く。

「なるほどね。それじゃぁ。対応は二人に任せるね。

あと、そちらの男性二人も、食事の時間ですし、
午後8時からキャンプファイヤーをする事になっていますので、楽しんでいって下さい。」

男性の1人が聞いて来た。

「俺達も参加して良いのか?」

「ええ。これから、戦うのは面倒ですし、イベントは楽しんでこそです。(笑顔)」

「そうか。ありがとう。(深々と頭を下げる)」

午後8時

キャンプの目玉は、最終日のキャンプファイヤーだと思うので、
数人で準備をして、これから、着火をする。

「それでは、着火します。(魔法で着火する)」

数分後には、空にまで届きそうな、火の勢いとなる。

火の周りで、踊りをしたりと皆、個人個人で楽しんでいるようだ。

この時、運営の人が現れる。

「こんばんわ。運営の者です。確認事項がありましたので来ましたが、よろしいですか?」

「はい。構わないですよ。エリア統一の件ですよね?」

「ええ。現時点でコーヤさんのクランが、3つのエリアを獲得していますので、
これからの時間で統一出来る権利は、あなたのクランのみです。」

「僕としては、陣取り合戦は終了しているので、これから、統一する気はありません。

なので、現在の獲得で確定で問題ないです。」

「ふむ。そうですか。他の2つのエリアの人の意見も聞きたいので呼んでいただけますか?」

僕は、しおんさんとメイリーさんを呼んだ。

「(事情説明)という事で、コーヤさんは現状で確定と言っています。

お二人の意見を聞かせて下さい。」

メイリーさんが話を切り出す。

「ああ(ぽん)そう言えば、”核”の事を忘れていました。今から、取って来ますか?」

しおんさんも忘れていた様だ。

「そうですよね。脳筋二人だけのエリアじゃないので、
クランで多数決とれば、賛成されると思いますよ。」

「いや。別に良いよ。今更、面倒だし。
それに、今のままであれば、ポイントも多く入るでしょ?」

しおんさんが申し訳無さそうに話して来た。

「確かに、ポイントは考えていたよりは入ると思います。

でも、講習会のおかげで、たくさんの事が学べました。

だから,私個人的には、コーヤさんに統一して欲しいと思っているんですが。」

メイリーさんが引き継いだ。

「本当にそうだと思います。

スキルの習得もそうですけど、考え方についてが一番の財産になりました。

参加した皆さん、コーヤさんにこそ、統一の資格があると思っているはずです。」

「う〜〜ん。じゃぁ。今回のイベントは現状で終了としよう。

その代わりに、今後、フィンテル以外の地域にある噂話や目撃情報、
後は珍しいアイテムに、デザインの参考になりそうな装備などがあれば、
是非、教えて欲しいんだけど、どうかな?」

しおんさんは何かを考えている。

「え〜と、噂話や目撃情報は分かります。でも、珍しいアイテムとは何ですか?」

「運営さんがいる場所で言うのは、問題がありそうだけど、
以前、なんて事無い羽に偽装された常用アイテムを、冒険者から譲って貰ったんです。

1つあるという事は、他にも存在している可能性が高いと思っています。」

メイリーさんが神妙な顔つきになり、尋ねて来た。

「なるほど。確かにその様な品が、どこかにあれば、借りは返せそうです。

分かりました。今回はご厚意に甘えさせて貰います(お辞儀)」

しおんさんも了承した。

「という事で、運営さん。全員一致で現状で終了となりました。

ただ、食事だったり、色々な場面で少しはポイント稼げると思うので、
イベント終了までお願いします(お辞儀)」

「分かりました。皆さんが了承しているのならば、我々からは何もありません。

それでは、残り少ない時間をお楽しみ下さい。

あと、ハンバーガー美味しかったです。

現実世界でもなかなか味わえないと思いました。

それでは。(消える)」

この後、最後の大はしゃぎをして、皆、満足してイベントが終了を迎えた。

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