最終更新日 2022/06/05

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93話 2日目 後編

午前11時半

「ここよ」

アカネさんに案内してもらって、鍵のあった場所に来た。

情報にあった様に、鍵に付与された魔法を発動させると、
目的地までの道順が現れたので、そのまま進む。

進んで行くと、1つの納屋があり、ここが目的地の様だ。

「う〜ん。ここに何かが置いてあるようには、見えないんだけどなぁ。」

アカネさんは、納屋と思われる建物の周りを探っている。

「とりあえず、入ってみよう。」

ドアノブには、鍵穴が無いので、ここで使うわけではないらしい。

戸を開くと、中は4畳半程のスペースはあるが、物は置かれていない。

「これってあからさま過ぎない?」

コノミさんは、怪しんでいる。

ただ、中に入らなければ、何事も進展しないので、入ってみる事にした。

ところが、納屋の中心に来ると、突然転移させられてしまった。

「え!?ちょっと!水晶(コーヤ)君!?」

?????

転移した場所は、石造りの部屋で、一箇所に戸があり、鍵がかかっていた。

この場所で、鍵を使うのだろう。

「え!!(周りを見渡して)ここどこ!?」

色々と考えていると、アカネさんが転移して来た。

「大丈夫だよ。ここには罠は無いから。あと、古代神殿跡の内部らしい。」

「罠は無くて良かったけど、古代神殿跡って、それらしいの見た事無いけど」

アカネさんは思い出そうとしている。

「どうやら、長い年月で埋もれてしまったらしいから、
地下100メートル以上掘らないとダメらしい。

皆も呼んで来てくれる?」

アカネさんは、一度戻り、皆を連れて来た。

「さて、鍵を開けて中に入るよ?」

みんな、無言で頷いている。

かちっ、きーーー

中に入ると、状態保存の魔法がかかっているようで、きれいだった。

「へぇー!すご〜〜〜〜い!こんなの初めて!」

コノミさんがはしゃいでいるので、アカネさんに聞いてみた。

「こういうのは初めて?」

「うん。状態保存の魔法がかかった部屋を見つけた事無いよ。」

「そのわりには、落ち着いているように見えるけど?」

「ああ(苦笑)コノミがはしゃいでいるから、なんか、冷静になっちゃって。」

「なるほどね。確かにそういうのあるよね。」

部屋の大きさは、4畳程度で、真ん中に机が置かれている。

机の上に紙が1枚あり、全ては引き出しにある袋に収めていると書かれていた。

「コーヤ君。以前、フィンテルの神殿で隠し部屋を発見した時の話聞いたけど、
その時とは、全然違うね。罠って事は?」

「う〜ん。確かにアカネさんの言う事も分かるけど。色々と調べてみよう。」

この後、他の通路や隠しが無いかどうか調べても無かった。

「う〜ん、水晶(コーヤ)君。これだけ調べても何も出ないんだし、
とりあえず、袋を回収して中身を確認してから、また、来ても良いんじゃないかな?」

リンネさんの意見にみんなも賛成したので、拠点に戻って来た。

拠点

「さて、何が出るか」

袋を鑑定すると、びっくりした事に”無限袋”と表示された。

「1500年前には、無限袋は普通に存在したのかしら?」

ミリスさんが感想を話す。

「どうだろう。王族が関係しているからじゃないかな。罠も無いし、開封。」

袋の中には、10万点以上の品々が入っていた。

中でも、書物類が一番多く、レシピから一般の雑誌までが入っていた。

「これって、重要な品だけでなく、一般の人達の品も入っているようね。」

シェーラさんが、書物の1つを手にとって、ぱらぱら見ながら話す。

「その様ね。リンネ。これなんて、デザインの参考に出来そうじゃない?」

「どれどれ?あ〜、確かに。」

アカネさんとリンネさんがデザインについて話ししている。

「あれ?今まで、さん付けだったじゃなかった?」

「え?ああ。このイベントの告知来た時に、将来、自分でも何か作りたいなぁと思ってね。
生産に関しては、レベルも低いし、分からない事だらけだから、リンネに相談したの。」

リンネさんが、アカネさんの話を引き継ぐ。

「その後も色々と話をして、そうしたら、知らない間に呼び捨てになっていたかな。」

「なるほどね。そうそう、みんな、ちょっと注目して。」

僕は、袋の中を一通り確認していると、袋を受け取った人へと書かれた紙が出て来た。

その紙には以下の様に書かれていた。

袋を受け取った方へ


私は、アルティア神聖王国軍団長であり、王家に養子に入ったウルリルと言います。

現在、我が国に、大陸統一を掲げる ルドラス帝国と戦闘をして、早1年になります。

最近では徐々に押され始め、王国滅亡寸前のところまで来ています。

その時、特殊能力の”予知夢”により、後世に魔獣に蹂躙される人々、
現在の10分の1程にまで下がった技術力など、色々な場面を見ました。

帝国により、我が国の書物などが灰になるのなら、後世に遺すべく、娘エリシアに、
王宮にある書類・書物・過去の遺物など後世の助けになる品を無限袋に入れ、
各都市にも立ち寄り、王宮と同じ様に、詰め込んで行く様に命令しました。

袋を開けて、この手紙を読んでいると言う事は、娘は私の命令を完遂出来たのでしょう。

袋にある品々を、発展に使っていただけるようお願いして、終わりにします。

アレテユス歴1562年7月23日  ウルリルより。

「コーヤさん。娘のエリシアって、エリシアさんの先祖でしょうか?」

ユヅキが聞いて来た。

「どうだろうね。可能性はありそうだけど、詳しく調査しないと分からないだろうね。」

手紙を袋に戻して、問題事を話す。

「それで、さっき、本を読んでいたでしょう?文字分かった?」

みんなに聞くが、誰も頷かなかった。

「そう言えば、ぱらぱらしか見ていないけど、文字は分からなかったわ。」

シェーラさんが最初に話し出す。

「あ、それ、わたしも疑問に思っていた。今までのは、普通に読めたんだけど。」

他の人に聞いても同じ答えだった。

「という事は、別言語だから読めないんだろうね。
リアルでも、完全な解読出来ていないのが多いようだし。」

「なるほど。水晶(コーヤ)君。魔法で解読って無いの?」

「どうだったかな。」

色々と調べて見ると、”解読”スキルがあった。

「コーヤ君。それって、取得したら別言語読める様になるの?」

「いや。どうも、詳細を読む限りだと、ハードル高くて、
前提条件が鑑定30・分析20・解析20以上でないと取得出来ないって。

それで、質問の答えだけど、パズルの様に完成したら、
その部分が反映されると言った方法だから、すぐに読めるようにはならないね。」

「そっかぁ。それは残念。」

「アカネ!驚かないの!?前提条件に!?」

アカネさんががっかりしているのとは対象的に、
ミリスさんは前提条件の高さにびっくりしていた。

この後は、皆、自由に過ごした。

ただ、二日目・三日目・四日目と他の勢力が攻めて来る気配が無く、
のんびり過ごす事が出来た。

そのおかげで、解読に時間を多く使う事が出来て、
古代語の解読を50%まで進める事が出来た。

しかし、のんびり出来たのは、四日目終了時までで、
五日目になると、各エリアで動きが出て来る。

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