最終更新日 2022/06/05

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97話 6日目 中編

コーヤSIDE:

「マイヤさん。話は終わりましたか?」

「ああ。すまんな。手持ち40だから、10ずつお互いが賭けて、勝った方が前進できる。
そして、先程まで一騎打ちのみの対決にしようと思っていたが、変更させてくれ。」

「どんな風にですか?」

「10区画ずつ賭けるから、4人vs4人で戦う。
こちらの代表ライグとコーヤとの対戦以外は決まっていない。
残り3人を決めてくれ。こちらでも決める。」

10分後

僕達からは、ミリスさん・ハヅキさん・あくあさん・僕、
相手は重戦士ガイニルさん・弓使いリアーさん・マイヤさん・ライグさんに決定。

「よし。次に対戦相手を決めよう。」

あくあさんvs重戦士ガイニルさん(男)、ミリスさんvs弓使いリアーさん(女)、
ハヅキさんvsマイヤさん(男)、ライグvs僕で各カードが決定した。

一回戦 ミリスさんvs弓使いリアーさん

開始早々に、弓使いのリアーさんは飛ばして、ミリスさんに向けて攻撃する。

ミリスさんは、魔法で弾幕を張る事で対抗。

10分後

「はぁ。はぁ。はぁ。なかなか、やりますね。」

「当然よ。こちらも多くの修羅場を潜り抜けて来ているのだから。」

ミリスさんは、フィンテルダンジョンを往復して鍛えたかいがあって、
呼吸は乱れていないが、相手のリアーさんは少々苦しそうだ。

「ふう(呼吸を落ち着かせる)このまま、打ち合っていても私には勝てそうにありません。
ですので、次の一撃で決めましょう。」

「分かったわ。」

最後の攻撃が始まった。

リアーさんは、アローレインの改良型で、矢の一つ一つに攻撃力を上げる様にしていて、
通常のアローレインよりは、総合力は3倍底上げされている。

対して、ミリスさんは、魔力で弓矢を作成し、同じくアローレインを放つ。

「なっ!!」

双方のアローレインが、ぶつかり合うが、ミリスさんの魔力の使い方が上で、
半分は自分の防御として使い、半分が迎撃する。

迎撃に充てられた魔力の矢は、リアーさんの矢を弾き、
がら空きになったリアーさんの身体に命中する。

「ぐっ!がはっ!」

リアーさんは、なんとか足で踏ん張り、倒れなかったが、
片膝をついて苦しそうだ。

「はぁ。はぁ。はぁ。負けよ。魔力だけで弓矢を作ってしまうなんてすごいわ。」

ミリスさんが、リアーさんに近付いて行く。

「あなたも、既存の技を改良出来るだけすごいわ。
普通の人なら、そこまで考えないでしょうね。

ただ、あなたは、戦闘を知らなすぎるだけ。

フィンテルの神殿地下ダンジョンを往復すれば、自分がいかに無力か分かるわ。」

そう言うと、ミリスさんは、リアーさんにヒールをかける。

「ありがとう。私も以前に行った事あるけど、強いと思った事は無かったわ。」

「それは、初心者向けの50階だったからよ。
70階より下は、臨機応変で乗り切れないとダメなの。
それを身に付ければ、ある程度、強い相手にも引けを取らずに勝てるチャンスもあるわ。」

「なるほど。はぁぁ。本当にそうね。もっと、色々と知らないとダメね。」

二人は話しながら、観覧席へと移動する。

観覧席SIDE:

「魔力の弓矢だと?そんな事が可能なのか?」

マイヤさんは、不思議そうに見ていて、そこにマウシスさんが忠告する。

「マイヤ。現実に出来ているんだ。あれ出されていたら、俺達でも瞬殺だっただろうよ。」

「あはは(苦笑)僕達なんて、足元にも及ばないだろうさ。」

二回戦 あくあさんvs重戦士ガイニルさん(男)

「クランの中でも、強い方のリアーが簡単にやられるとは。
姿で判断するなという事か。」

「よし!やっと、出番だ!さて、どんな風に戦おうかな?」

二回戦が開始された。

一回戦のリアーさんを見ている為か、ガイニルさんは慎重に戦っている。

あくあさんの方も、まだまだ、余力を残した戦いをしている。

5分経過すると、ガイニルさんは本領発揮して来る。

「そろそろ、本気を出させて貰う!」

ガイニルさんはシールドチャージなど、シールド技を多用する。

しかし、あくあさんには効かない。

「その速さでは、わたしには効きませんよ?」

10分経過すると、ガイニルさんの戦略が見えて来た。

同じ速度で同じ技を使い、タイミングを測って、速度を変化させる。

そうすると、相手に隙きが出来るから、絶好の機会となる。

普通の人でなら、引っかかるが、色々な場面を想定して練習している、
僕のクランでは、速さの駆け引きは基本となっている。

さて、あくあさんの最後の一撃に何を選択するのか。

「おうりゃぁぁぁ!(シールドチャージを仕掛ける)」

「あれ?あわわわ。(よろめく)」

しかし、先程までの速さと、少しだけ遅くなっている為、
タイミングがずれて、不安定な状態になるが、幻術魔法で相手に見せているだけ。

「この時を待っていたぜ!重連撃!」

「(にやり)」

あくあさんは、幻術魔法の裏から瞬動を使い、
相手の懐に飛び込むと、手のひらに魔力を流し、掌底を防具に打ち込む。

「なっ!いつの間に!だが、その程度の攻撃では、防具は壊れんぞ!がはっ!(血を吐く)」

ガイニルさんは、血を吐いた後、動かなくなり、死に戻りする事になった。

観覧席SIDE:

「おい、コーヤ。あれは、何だ?」

マウシスさんが、掌底について聞いて来た。

「あくあさんが使ったのは、掌底という技です。

本来は叩く技ですが、魔法などで強化しました。」

「しかし、即死レベルとは。」

エイウルさんやマイヤさんも驚いている。

「皆さんは、ボクシングの顎打ちを知っていますか?」

「詳しくは無いが・・・。」

マイヤさんが答えてくれた。

「あれは、顎に打ち込む事によって、脳に衝撃が行き、身体を動かせなくなるんです。

今回の掌底の強化で、防具で無く、本体へ衝撃を行く様にしました。

瞬動などのスピードが乗ると、知っていても、大打撃になるんです。」

「こええ。なんて技作るんだよ。」

マウシスさんが身震いしている。

「決まっているじゃないですか。

ボスクラスと言えど、衝撃の影響により、動けない時間があるはずです。

そこを突ければ、被害も少ないでしょうし。ただ、実際に試していませんが。」

「なるほどな。さて、半分も取られてしまった。出来れば、一矢報いたい。」

マイヤさんは、そう言って、試合上に歩いて行った。

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