「はぁ。思いかけず、最大勢力となってしまった。」
「ははは(苦笑)本当だね。さすがに、全部貰えるとは思わなかったけど。」
アカネさんも予想外の展開と感じているようだ。
「それで、水晶(コーヤ)君。これから、どうする?」
「う〜ん。せっかく譲って貰ったのに、全部、他の勢力に取られるのは勿体無い。
だから、これから、手分けして、罠の設置、宝箱の回収、空間探査をしようと思う。」
「コーヤ君。空間探査ってなに?」
アカネさんが聞いて来た。
「以前、ライリーさんに会ったでしょ?
そのきっかけが、古代に掘られた道と繋がってしまったんだよ。
もしかしたら、他にも空間があって、そこになにかがあるかも知れない。」
「なるほど。分かったわ。何か見つかると良いね。」
僕達は、手分けして10区画に罠を設置し、
金属・宝箱・空間の3つのセンサーが付いた機械で、
10の土地を隅々まで探し、全て完了したのが2時間後だった。
「(罠表示付きマップを見ながら)うん。きちんと作動しているようだね。」
「これって、ドローンと連携しているの?」
ミリスさんが興味深そうに、罠表示付きマップを見ている。
「そう。リアルタイムに知りたいからね。それに、ひと目で分かるし。
じゃぁ、次にセンサーで何を見つけたのかを報告して貰おうかな。」
僕から順に、報告していき、マップに金属・空間の場所を付与して行く。
最後は、アカネさんだったんだけど、鍵を見つけたと報告があった。
「鍵?」
「そう。これ」
アカネさんから鍵を受け取って、鑑定を使う。
「う〜ん。これって普通の鍵だよね(色々な角度で見る)」
何度か見ていると、文字がある様な痕跡を発見して、
研磨すると、神聖文字が現れた。
「これは。フィンテルの神殿で見た”神聖文字”みたいだ。」
「水晶(コーヤ)君。なんて書いてあるの?」
「うん。”封印”って書いてある。」
「ちょぅっと!また、あの魔獣みたいなのが出て来るのは困るわ!」
ハヅキさんが、少し、狼狽する。
「ハヅキさん。落ち着いて下さい。
僕もその可能性がありそうだから、解析と分析を使っていますので。」
数分後、鍵に関する情報が出て来た。
「ふむふむ。魔獣は関係無いみたい。あー、なるほど。」
「コーヤさん!もったいぶらずに教えて!」
シェーラさんがしびれを切らした。
「ははは(苦笑)ごめん。スキルレベルが上がったから、鍵の歴史を見れる様になったんだ。
それで、読んで行くと、鍵のあった場所は、のどかで穀倉地帯だった。
しかし、時代は戦争へと舵をとり、終戦後に復興する為に、重要な品物を避難させた。
ところが、その品々を受け取りに来る者は訪れず、長い年月が過ぎて行った。
最近、子ども達が土を掘り返した際に、出て来たけど、錆がひどいので、
そのまま放置されていたのを、アカネさんが見つけたと。」
「その時代って、いつの時代?」
シェーラさんが聞いて来た。
「え〜と、アレテユス歴1562年、アルティア神聖王国とありますね。」
「うーん。それっていつの時代?比較対象が無いから分からないわね。」
シェーラさんは考えている。
僕は、袋からライリーさんが、守護していた歴史書を取り出して探してみる。
「ライユール王国が1000年だから、関係のある書物を見れば、時代は分かるかな。
(りん)うん?おー、分析と解析のレベルが両方20に到達して、
何年前の情報も表示出来るらしい。」
「うわっ!高っ!そんなに使っているんですか?」
ミリスさんが少し引いていた。
「うん。まぁ、僕の場合、物作りする為に、情報が必要だし、
アイディアを出す為にも、鑑定・分析・解析は常用出来て便利だから。」
「なるほどねぇ。」
ミリスさんはしきりに感心している。
「それで?アルティア神聖王国はいつの時代の国なんですか?」
ハヅキさんが促して来た。
「分析と解析の情報だと、今から1500年前だとあるね。」
「そんなになんだ。」
この情報に皆、びっくりしていたが、鍵を見つけた場所へ移動した。