最終更新日 2022/06/05

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90話 1日目 後編

「う〜ん。イオなら、採掘しているだろうし、何か持っていないかな?」

そんな風に、噂をしていると、イオさんから連絡が入る。

魔宝石

「イオさん、何かありました?」

「ええ。面白い鉱石を見つけたわ。」

「鉱石?」

「鑑定すると、魔宝石という新しいカテゴリーが開放されたの。

それで、色々と調べてみると、通常の宝石の上位互換らしいわ。」

「ちなみに、パーツを埋め込む穴は何個ありますか?」

「ちょっと待って。(調査中)え〜と、掘り出したのは、6個ね。

あと、先程、メンバーが宝箱発見して、中に”凝縮された魔宝石”があって、7個だったわ。」

「あの、魔宝石は、どれだけ、採掘しました?」

「そうね。鉱脈だった様で、大き目に掘って来て、今加工しているから、
正しい個数は分からないけど、報告では中程度が200程、小程度が1000程の様ね」

「少し、分けて貰えませんか?」

「別に問題ないわ。何に使うの?」

事情を説明する。

「へぇー。面白いわね。ツルハシとかをカードに収める事は出来るのかしら?」

「嵩張るからですか?」

「そうよ。商人専用の大容量袋はあるんだけど、個人のは中だから。」

「なるほど。一応、装備品の収納は問題なかったので、
パーツを間違わなければ大丈夫ですよ。」

「その言い方だと、問題があったようね。」

「ええ(苦笑)試行錯誤している間に、色々ありました。

僕の情報は渡せますが、パーツの組み合わせが多いので、注意喚起と言ったところです。」

その後、取引内容を詰め、皆にも説明。

「へぇー、そんな素材もあるんだ。でも、元々あったのかな?」

「でも、これって、金属の鉱石にも上位互換があるんでは?」

アカネさん達はメンバー内で話をしている。

「ユヅキ、僕は魔宝石を受け取って来るから、よろしく。」

「え!?コーヤさん、距離もあるし大変なんじゃ。」

「まぁ。実は、転移札の実証実験を含んでいるんだ。」

「あれ?そんな札、作っていましたか?」

「うん。発想は魔王襲来の時にあったんだけど、研究に忙しかったから、
後回しになっていて、今回、パーツの利用方法も分かって来たからね。」

「コーヤ君!転移札ってなに!」

アカネさんが食いついて来た。

「その名の通りだよ。座標登録すれば、その場所に転移する。」

「魔法陣には、”転移”のパーツってあるんですか?」

コノミさんが聞いて来た。

「僕達が自由に使える、基本パーツ・魔法パーツ・魔法陣パーツ全て調べたけど、
類するパーツは存在しなかった。だから、自作したんだ。」

「え!水晶(コーヤ)君、自作したの!」

「うん。そもそも、パーツの自作は禁止されていないからね。

色々なパーツを考えてみたんだけど、良いのが無かったんだ。

で、最近、ふとした瞬間に、良い案が浮かんで来て、作ったら出来たんだ。」

「あ〜、そう言えば、コーヤ君。昼休みの話中もうわの空な感じだったよね。」

アカネさんが、思い出しながら話す。

「(苦笑)まぁ、そんな感じで完成したんだけど、
安心・安全にする為にも実証実験しないとね。」

「じゃぁ!わたしも一緒に行く!」

アカネさんは、メンバーから説得されるも、「行く!」の一点張りだったため、
同行を許可し、注意事項も伝えた。

転移札

「さて、行って来る。(転移札を持ち)目的地はクラン≪翆の泉≫、発動」

転移札を発動させると、数秒後にはクラン≪翆の泉≫の拠点前に着いていた。

「おー!すごい!」

アカネさんが初めての転移で、はしゃいでいると、イオさんが拠点から出て来た。

「アカネ、うるさいわよ。」

「あ。ははは(苦笑)ごめん。」

イオさんの誘導で拠点内に入り、応接室に通される。

「転移札、なかなかに素晴らしいわね。コーヤさん量産しないのですか?」

「今のは、3つのパーツで作っているけど、
魔宝石で強化してからなら問題ないと思いますけどね。」

「その作業、私達に委任して貰えませんか?」

「う〜ん。そんなに皆、買いますかね。」

「ねぇ。コーヤ君。今まで、戦闘の帰りとか疲労の中、帰らなくて良いのはすごい事だよ!」

「コーヤさんは、転移頼りになるのを危惧しているんでしょ?

分からなくはないわ。何かを頼れば、その存在に不具合が出た時に対応出来なくなる。

でも、魔宝石が定期的に確保出来れば、色々と制限を付ける事も可能になるわ。」

「なるほど。だったら、遠距離限定が良いかも。」

「今ので気付いたんだけど、タクシーや飛行機の様に、転移屋みたいな職業を作れば、
目的地が近距離なら高めに、遠距離なら安めに設定のはどう?」

「なるほど。アカネの提案にしては面白いわ。」

「ちょっと!イオ!どういう事!」

「だって、今まで、アカネの提案で良いのは少なかったじゃない?」

「ぐっ・・・。」

イオさんとアカネさんが話をしている横で考えていた。

「でもさ。転移屋という仕事にするなら、冒険者だけでなく、商人、一般人などがいるし、
どうしても、人が多くなって、渋滞する可能性が出てきそうだね。

もし、するんなら、転移門みたいな大人数用も作らないとダメかも。」

イオさんは、僕の話を聞いて、感想を言って来た。

「そうね。同じ方面の人が、一緒に門をくぐるとかしないと効率は悪いわね。

コーヤさん、転移門作れそう?」

「今、アイディアが出て来たし、うまく行けば、
クリスマス頃には、安定版の試験運用出来るかな。」

「そう。その時は、教えて頂戴。」

この後、魔宝石を受け取り、イオさんに転移札10枚とレシピを渡して、僕達は帰還。

帰還後は、他のクランの状況を考慮しつつ作業を行う。

ある程度、一段落すると今度は、鍛冶場地下に採掘に潜った。

これは、イオさんから「拠点でも、通常サーバーと異なっている可能性がある」との、
話を聞いたので、試しに降りてみた。

鍛冶場地下1階

「あれ?通常サーバーでは掘り尽くされていたのに。」

地下に降りてみると、なぜか、岩は復活し、作業通路のみが存在した。

「う〜ん。これは、掘れば良い物が出るんでしょうか?」

ユヅキが鑑定で調べている。

「そうかもね。もしかしたら、地上の拠点部分は、コピーしただけで、
地下の部分は、イベントサーバーの地下なのかも知れない。」

僕達は時間一杯、採掘作業をした。

2階まで掘り進めた結果、
鉄・銅・亜鉛・錫(すず)・チタン・ニッケル・マンガン・宝石が見つかった。

今までは、鉄・銅・宝石は採掘出来ていたが、
どうやら、新しく亜鉛・錫(すず)・チタン・ニッケル・マンガンが追加されたようだ。

面白い物が出来そうだ。

こうして、1日目は平穏無事に終了。

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