11月17日(日曜日)
今日は、いつもよりも早めに、ログインして、
鍛冶場の地下探索をする事になっている。
この日も、魔法陣の研究をしていて、宝石が足りなくなったのだ。
「う〜ん。また、失敗かぁ。次を・・・。あれ?(宝石箱を見る)無い?」
「そう言えば、一番最初に研磨した宝石しか、持っていませんでしたね。」
「さて、どうしようか。」
それで、宝石を探す事になったのだけど、
以前、アカネさんの知り合いのサーシャさんに聞いたけど、
フィンテル近隣では無いようだ。
色々と悩んだ結果、拠点を探索してみた。
建物を復旧させて、一通り見て回ったけど、素材は置かれていなかった。
ただ、本館には、状態保存の魔法がかけられていたので、
賊などに奪われない様に、隠したのではないかと考察した。
調査の結果、施設で日常に使っていたと思われる、素材箱が見つかったが、
そこには、素材が入っていなかった。
もしかしたら、売却時に持って行ったのかも知れない。
最後に、他とは違う反応があった鍛冶場に来ると、
一角に地下へと続く階段が姿を現した。
気配を探ってみると、魔物の気配はしなかった。
「ここって、地上を鍛冶場にして、地下を採掘場にしていたのですね。」
「そうらしいね。下に宝石の原石なんかあると良いんだけど、どうなるか。」
「今から行きますか?」
「いや、今日は止めとこう。時間の余裕がある日曜日にしよう。」
という事で、これから、潜って行く。
「さて、行くか。」
魔法(初歩)のライトを使い、慎重に一歩一歩降りて、やがて、最後の段に着く。
「え〜と。(周りを確認)良し。大丈夫そうだ。」
階段の終着地の前には、戸があったので、ここも慎重に開ける。
開けると、採掘痕があり、広い空間があった。
「うわぁ。すごい広いですね。」
広さとしては、先を見る事が出来ないので、拠点が入るかも知れない。
「でも、ここまで、掘っているのなら、この階は無理かな。」
マップを埋めるのと同時に、鑑定で鉱石等が無いかを調べる。
「うん。やっぱり、掘り尽くされているか。」
地下二階の階段を見つけたので、降りて行く。
しかし、めぼしい物が無く、地下7階まで下った。
「お〜、ここまで下がると、未採掘もあるなぁ。(周りを見渡す)」
この後、一時間程採掘すると、反応が消える。
「ふう。なんとか、小さい宝石は見つかったか。」
「はい。ただ、これからの事を考えると、”中”から”大”辺りが欲しいですね。」
「時間もあるし、もう少し下ってみよう。」
各階、一時間程で反応が無くなり、3時間後には地下10階にまで来ていた。
「とうとう、地下10階か。最終階かな?鑑定。」
鑑定すると、ミスリルや”大”サイズの宝石などが見つかる。
「おぉぉぉ〜!色々とありますね!掘りましょう♪」
休みながら、3時間程、採掘。
「きゃぁぁ!」
「ユヅキ!!」
声の場所に向かい、ポッカリと空いた穴を覗くと、ユヅキが尻もちをついていた。
「いたたた。(腰を擦る)」
「ユヅキ。大丈夫?」
「はい。大丈夫です。それより、この場所は何でしょう?」
どうも、ユヅキが掘っていた岩の裏に空間があったようだ。
歩きながら周りを調べると、採掘で出来た穴側と反対側に通路があった。
「う〜ん。これは、ダンジョン?」
僕達が、場所について考察していると、
採掘で繋がった穴と反対側の通路の方から、大きな力を感じた。
「え!?この力ってドラゴン?(冷や汗)」
「これは。魔王よりも大きいですよ(冷や汗)」
≪あなた方は、誰ですか?≫
ドラゴンかも知れないという事で、
二の足を踏んでいると念話で、女性の声が聞こえて来た。
「(念話に対して)あの!僕達は、違う方向から採掘していたら、
繋がってしまっただけなので、敵意は無いです!」
≪なるほど。確かにあなた方からは、敵意は感じません。
そこで、1つお聞きしたいのですが、今は何年でしょうか?≫
「フォニア歴399年です。」
≪その歴は聞いた事がありませんね。
イルサ暦に存在した、ウルラサ王国のその後について知りませんか?≫
「あなたは、イルサ歴からここにいるんですか?」
≪いいえ。違います。
私は神魔戦争の時、黒龍と戦い、重傷を負ったので、
この場所でキズが癒えるまで、眠る事にしたのです。≫
「なるほど、そうだったのですね。話は分かりました。
現在は、イルサ歴よりも、最低でも500年以上経過していると考えられています。」
≪500年ですか。そんなにも寝ていたのですね。
しかし、なぜ、曖昧なのですか?≫
「それは、古文献が極めて少ない為に、反映出来ていないのです。」
≪そうですか。それであれば、私が寝る前に当時の人達に、
後世に遺す品々を、守護して欲しいと頼まれました。
状態保存の魔法をかけておいたので、少しは役に立つかも知れません。
こちらに来て、確認してくれませんか?≫
この後、ドラゴンの誘導により、寝床に到着し、確認させて貰った。
それによると、ウルラサ王国時代にも存在し、
なおかつ、現在も存続しているライユール王国が基準として使えそうだ。
「ライユール王国を基準に考えれば、正確な年代を知る事が出来そうです。」
≪それならば、そこにある品々は全て差し上げます。
元々、後世の発展に役に立たせるのが目的です。
ですが、1つお願いがあります。あなたからは、世界樹の匂いがします。
連れて行ってくれませんか?≫
「え〜と、その大きさでですか?」
≪あ〜、そうですね。このままだと、色々と問題になりそうです。
なので、人化しますね。≫
そう言うと、ドラゴンが光り輝き、光が収まると、30歳程のお姉さんが立っていた。
「そう言えば、名を伝えるのを忘れていました。
ウルラサ王国では、白龍ライリー・レイナの名を貰いました。」
「それでは、拠点に案内しますね。」
ライリーさんが守っていた品々を無限袋に収めて、
坑道を通って、拠点へと戻って来た。
そして、ライリーさんには、世界樹劣化版を見て貰った。
「これが、先程聞いた、世界樹の劣化版ですね。
良い手入れをしている様で、喜んでいます。」
「分かるんですか?」
「分かるとは言っても、感覚的にですけどね。
それにしても、この地は土地の力が大きく、素晴らしいですね。」
「僕としても、偶然、安く手に入ったので助かりました。」
「ここにいると、すごく落ち着きますね。どうでしょうか?遊びに来ても良いですか?」
「ええ。構いませんよ。ねっ、ユヅキ?」
「はい!(笑顔)」
この出会いにより、過去の遺物を多く入手出来た。
本類:
全て二部複製し、一部は僕が、一部は王宮図書館特別室、原本は無限袋に保管。
機械類:
王宮でテストをして、有効に使えそうだと判断されれば、各地で利用。
アイテム類:
装備品:各街に払い下げ
ポーション系:
数が少ないので、基本、王宮で保管。
ただ、現代に残っていない部類は、研究所設立し研究。
その他:使い方が不明な物は、僕が貰った。(全体の二割)