最終更新日 2022/06/05

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82話 ユグドラシルと世界樹劣化版

11月7日(木曜日)

過去のポイント変換で手に入れた木を、拠点周りに配置して、目隠し効果を出した。

そして、今は、種をランダムで手に入れた時、どうしても分からなかった種を、
拠点本館入口正面にある芝生に植えているところだ。

「よし。とりあえず、様子を見る為にも、ここなら最適だろう。」

たまたま、遊びに来ていたアキホお姉ちゃんが、植えた所を観察していた。

「コウちゃん。大丈夫なの?地下で爆発とかしない?」

「たぶん、大丈夫だと思うけどね。まぁ。どんな種なのか確認する為だから。」

そんな風に、種を植えた場所を話しながら見ていると、1分程で目が出て来た。

「ちょっ!?コウちゃん!いくら、ゲームとは言え早くない!?」

「う〜ん。これは、やばい種だったのかなぁ。(呆れながらも成長を見守る。)」

勢いを落とさずに、どんどんと大きくなり、5分程で10メートル位まで伸びて大樹となった。

「(木を見上げて)これは、大樹だね。」

「(木を見上げて)うん。しかも、敷地の外側ぎりぎりにあるから、
家全体が日に当たらない事もないし、さすがコウちゃんね。絶妙な場所に植えたわね。

木の下に机と椅子置けば、過ごしやすい、素晴らしい場所になりそう。」

「うん。それは、僕も思った。」

ユヅキが、ある事に気付く。

「コーヤさん。なんだか、上の方が光っていますけど。」

「どうしようか。やっぱり、上を確かめないとダメだよなぁ。」

「そりゃあね?コウちゃんの拠点だし。コウちゃんが植えたんだし。」

「しょうがない。行くか。しかも、ハシゴまで設置されているし(呆れ)」

ハシゴを登り切ると、絶景が待ち構えていた。

「2人も登って」

下で待っていた2人に、言葉をかけると登って来た。

「これは。すごい。」

ユヅキは、すごく驚いたようで、言葉も少なめだった。

「はぁ。到着。思っていたよりも高いわね。ふぅ。

(周りを見て)うわぁ。これは、すごいね。実や草なんかも全部生産に使えそうだし、
やっぱり、この景色は素晴らしいの一言ね。」

「気に入って貰えて何よりじゃ」

「(3人)!?」

僕達の前に人が突然現れた。

「びっくりさせた。すまない。(お辞儀)」

「いえいえ。大丈夫です。どなたですか?」

「わしは、農業神の地位を与えられておる者じゃ。あ〜。膝まつかなくていいぞ。」

農業神と聞いて、僕達3人は膝まつこうとするが、ストップがかかった。

「でも、農業神であるあなたは、なぜここに?」

「うむ。簡単に言えば、我ら世界の管理者からのお礼の代表で来た。
上手い事、バランス良く、発展させてくれたおかげで、フィンテルは発展した。」

「僕だけではないですよ。頑張ったみんなのおかげです。」

「ほっほっほつ。その通りじゃ。

地域の人の頑張り、お主の頑張り、これらの内、どれが欠けても今までと同じだったじゃろう。

お主がこの世界に来る以前は、点では発展があった。

しかし、点でしか無かった。

ところが、お主は無自覚ではあったが、それを次々に繋げていった。

それによって、連鎖反応を起こしたという事じゃ。」

「なるほどね。確かにコウちゃんが来る以前は、フィンテルも殺伐としていたから、
いるのは新規か初心者のみ。

コウちゃんが清掃での鍵束を発見以来、
連鎖して繋がって、最後が闘技場での一件だったわけだ。」

「そうじゃ。少し種明かしすると、我らは魔王に勝てるとは誰も思ってもおらんかった。」

「そうでしょうね。僕も、策がいつバレるか、ひやひやしていましたし。」

「そこからだな。大きく変わったのは。フィンテルに住む者全員に経験値が入ったのじゃ。」

「農業神様。そういう事だったんですね。

魔王登場により、フィンテルには国王様や王女様もいたので全滅し、フィンテルは廃墟化。

当然、内紛が起こったかも知れない。

その場合、魔王に負けたと言う経験値は入るが、そこまで多くは無い。

しかし、コウちゃんの策略によって、魔王は滅び、フィンテルの住民や国王様達は、
魔族に勝てる事を知った事により、魔族の再来襲も騎士団は勇敢に戦う事が出来た。
という事なんですね。」

「正解じゃな。もちろん、コーヤの渡した装備のおかげもある。

しかし、それだけじゃなく、騎士団は勝てる事を知っている。

騎士団最大限の力を結集し、冒険者が強敵を倒すまで、死守すれば、
事態は好転すると思えばこそじゃ。

そこで、皆と話し合い、お主であれば、この木を悪用せず、
有益な使い方をしてくれると考えて、託す事にしたのじゃ。」

「農業神様。ありがとうございます。(お辞儀)」

「うむ。コーヤよ。これからも精進するようにな。そなた達2人はコーヤのフォローを頼むぞ。
では、わしはこれでさらばじゃ。達者でな(消える)」

3人は、農業神が帰るまで頭を下げていた。

「ふぅ。それにしても、こんな展開になるなんて。」

「本当ね。私もびっくりしたわ。でも、なかなか体験出来ない経験をさせて貰ったわ。
ありがとう。あと、ここに実っている果物とか食べて大丈夫なのかしらね?」

僕達が話ししていると、ユヅキは一周して戻って来た。

「鑑定しながら、一周しましたけど。どうやら、単品では問題ないようです。」

「単品では問題無いか。混ぜ合わせたら危険な物が出来るかな?」

近くのぶどうを食べて見る。

「うわ!甘!美味しい!」

「本当!リアルだとなかなか食べられないわね。」

「すごく美味しいです!!」

その後、地上に降りた。

「う〜ん。この木ってなんて名前なのか。それに、世界樹劣化版をどこに植えよう。」

「コウちゃん。世界樹を交換したの?」

「劣化版ね。エリクサーの研究しようと思ってね。」

「なるほどね。他の人に見つかると、盗まれる可能性もあるから、裏に植えたら?」

「そうだなぁ。今すぐに必要ないし、そうしようか。」

世界樹劣化版は、裏庭で手入れしやすい場所に植える事にした。

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