11月7日(木曜日)
過去のポイント変換で手に入れた木を、拠点周りに配置して、目隠し効果を出した。
そして、今は、種をランダムで手に入れた時、どうしても分からなかった種を、
拠点本館入口正面にある芝生に植えているところだ。
「よし。とりあえず、様子を見る為にも、ここなら最適だろう。」
たまたま、遊びに来ていたアキホお姉ちゃんが、植えた所を観察していた。
「コウちゃん。大丈夫なの?地下で爆発とかしない?」
「たぶん、大丈夫だと思うけどね。まぁ。どんな種なのか確認する為だから。」
そんな風に、種を植えた場所を話しながら見ていると、1分程で目が出て来た。
「ちょっ!?コウちゃん!いくら、ゲームとは言え早くない!?」
「う〜ん。これは、やばい種だったのかなぁ。(呆れながらも成長を見守る。)」
勢いを落とさずに、どんどんと大きくなり、5分程で10メートル位まで伸びて大樹となった。
「(木を見上げて)これは、大樹だね。」
「(木を見上げて)うん。しかも、敷地の外側ぎりぎりにあるから、
家全体が日に当たらない事もないし、さすがコウちゃんね。絶妙な場所に植えたわね。
木の下に机と椅子置けば、過ごしやすい、素晴らしい場所になりそう。」
「うん。それは、僕も思った。」
ユヅキが、ある事に気付く。
「コーヤさん。なんだか、上の方が光っていますけど。」
「どうしようか。やっぱり、上を確かめないとダメだよなぁ。」
「そりゃあね?コウちゃんの拠点だし。コウちゃんが植えたんだし。」
「しょうがない。行くか。しかも、ハシゴまで設置されているし(呆れ)」
ハシゴを登り切ると、絶景が待ち構えていた。
「2人も登って」
下で待っていた2人に、言葉をかけると登って来た。
「これは。すごい。」
ユヅキは、すごく驚いたようで、言葉も少なめだった。
「はぁ。到着。思っていたよりも高いわね。ふぅ。
(周りを見て)うわぁ。これは、すごいね。実や草なんかも全部生産に使えそうだし、
やっぱり、この景色は素晴らしいの一言ね。」
「気に入って貰えて何よりじゃ」
「(3人)!?」
僕達の前に人が突然現れた。
「びっくりさせた。すまない。(お辞儀)」
「いえいえ。大丈夫です。どなたですか?」
「わしは、農業神の地位を与えられておる者じゃ。あ〜。膝まつかなくていいぞ。」
農業神と聞いて、僕達3人は膝まつこうとするが、ストップがかかった。
「でも、農業神であるあなたは、なぜここに?」
「うむ。簡単に言えば、我ら世界の管理者からのお礼の代表で来た。
上手い事、バランス良く、発展させてくれたおかげで、フィンテルは発展した。」
「僕だけではないですよ。頑張ったみんなのおかげです。」
「ほっほっほつ。その通りじゃ。
地域の人の頑張り、お主の頑張り、これらの内、どれが欠けても今までと同じだったじゃろう。
お主がこの世界に来る以前は、点では発展があった。
しかし、点でしか無かった。
ところが、お主は無自覚ではあったが、それを次々に繋げていった。
それによって、連鎖反応を起こしたという事じゃ。」
「なるほどね。確かにコウちゃんが来る以前は、フィンテルも殺伐としていたから、
いるのは新規か初心者のみ。
コウちゃんが清掃での鍵束を発見以来、
連鎖して繋がって、最後が闘技場での一件だったわけだ。」
「そうじゃ。少し種明かしすると、我らは魔王に勝てるとは誰も思ってもおらんかった。」
「そうでしょうね。僕も、策がいつバレるか、ひやひやしていましたし。」
「そこからだな。大きく変わったのは。フィンテルに住む者全員に経験値が入ったのじゃ。」
「農業神様。そういう事だったんですね。
魔王登場により、フィンテルには国王様や王女様もいたので全滅し、フィンテルは廃墟化。
当然、内紛が起こったかも知れない。
その場合、魔王に負けたと言う経験値は入るが、そこまで多くは無い。
しかし、コウちゃんの策略によって、魔王は滅び、フィンテルの住民や国王様達は、
魔族に勝てる事を知った事により、魔族の再来襲も騎士団は勇敢に戦う事が出来た。
という事なんですね。」
「正解じゃな。もちろん、コーヤの渡した装備のおかげもある。
しかし、それだけじゃなく、騎士団は勝てる事を知っている。
騎士団最大限の力を結集し、冒険者が強敵を倒すまで、死守すれば、
事態は好転すると思えばこそじゃ。
そこで、皆と話し合い、お主であれば、この木を悪用せず、
有益な使い方をしてくれると考えて、託す事にしたのじゃ。」
「農業神様。ありがとうございます。(お辞儀)」
「うむ。コーヤよ。これからも精進するようにな。そなた達2人はコーヤのフォローを頼むぞ。
では、わしはこれでさらばじゃ。達者でな(消える)」
3人は、農業神が帰るまで頭を下げていた。
「ふぅ。それにしても、こんな展開になるなんて。」
「本当ね。私もびっくりしたわ。でも、なかなか体験出来ない経験をさせて貰ったわ。
ありがとう。あと、ここに実っている果物とか食べて大丈夫なのかしらね?」
僕達が話ししていると、ユヅキは一周して戻って来た。
「鑑定しながら、一周しましたけど。どうやら、単品では問題ないようです。」
「単品では問題無いか。混ぜ合わせたら危険な物が出来るかな?」
近くのぶどうを食べて見る。
「うわ!甘!美味しい!」
「本当!リアルだとなかなか食べられないわね。」
「すごく美味しいです!!」
その後、地上に降りた。
「う〜ん。この木ってなんて名前なのか。それに、世界樹劣化版をどこに植えよう。」
「コウちゃん。世界樹を交換したの?」
「劣化版ね。エリクサーの研究しようと思ってね。」
「なるほどね。他の人に見つかると、盗まれる可能性もあるから、裏に植えたら?」
「そうだなぁ。今すぐに必要ないし、そうしようか。」
世界樹劣化版は、裏庭で手入れしやすい場所に植える事にした。