11月5日(火曜日)
「で、光矢はポイント何に使うんだ?」
海人が食べながら聞いて来た。
「昨日、ポイントの確認はしたんだけど、多いから悩んでいるんだよね。」
「結局、何ポイントだったの?」
道下さんが聞いて来た。
「う〜んと。昨日話していた、全体分の8万。倒した魔族は300位だったから、30万弱。
騎士団への装備品の配布で10万。魔王の兄撃破で50万。他諸々合わせて、110万だったよ。」
「ほら、言っただろ?にしても、110万かぁ。格が違うなぁ。」
「本当よね。でも、光矢君のくれた装備がないと瞬殺だったんだけど。」
「うんうん。私と妹にとっては、魔獣イベント行けなかったから、助かったよ。」
普通に話が流れて行くが、不思議な点にみんなが気付く。
「あれ?光矢。さらっと変な事言わなかったか?」
「わたしもすごい違和感あるんだよね。」
「私もだよ。」
3人が違和感の正体を考えている。
「え?別に変な事は言っていないよ?」
「よし。光矢。ポイントの内訳をもう一度、ゆっくり言ってくれ。紙に書く。」
「疑り深いなあ。全体分の8万。倒した魔族は300位だったから、30万弱。
騎士団への装備品の配布で10万。魔王の兄撃破で50万。」
「へ!?魔王の兄?」
「そんな人いた?」
「ちょっと、待て!魔王の兄撃破ってなんだ?」
すごく驚いている。
「50人程度の魔族の集団が襲って来たから、2人で迎撃してると、隠れている人がいたんだ。
その人が、どうも、フィンテルで倒した魔王の兄だったんだ。鑑定で分かったんだけど。」
「50万ポイントも貰えるのだから、相当強かったんだろう?」
「全然。気配駄々漏れしておいて、良く自分に気が付いたなとか言っているし。
何より、近くに張ってある罠に気付かずに、そのまま、僕に攻撃しようと自滅したからね。」
「良くその人、今まで生き延びて来たね。罠を見破れないのに。」
道下さんは呆れている。
「水晶君。何を仕掛けていたの?」
「確か。鋼鉄の線を近場に張り巡らせて置いただけだよ。」
「光矢の事だから、その線に細工しているんだろ?」
「そりゃあ。まぁ。隠密付与したけど、あそこまで反応できないとって感じだね。
その時には魔族は強くてみんな苦戦していたから、余計にそう思ったよ。
そうだ。ポイントの使い道なんだけど。表の中に、世界樹劣化版があったの知ってる?」
「メンバーが欲しがっていたが、50万ポイントだからな。」
「50万ptの世界樹劣化版1個、5000ptの鍛冶生産成功率50%上昇アイテム10個、
3000ptの品種改良確率50%アップを3個、1000ptの土壌環境測定器を10個、
1000ptの高級肥料を10個、3万ptの龍の鱗を10個、2万ptの幸運の宝箱を10個、
1000ptのジビエ肉詰め合わせ(100キロ)を8個、30ptのハーブの種100個、
2000ptの土壌改良剤を5個を頼む事にしたよ。」
「やっぱり、装備品類は無いんだな。(呆れ)」
「まぁ。そっちは、海人達に任せるよ。」
「と言いつつ、光矢君て、ラノベの主人公のあるあるを地で行っているよね。」
道下さんが変な事を話し出す。
「うん。分かる。そういう小説の主人公って、基本、運の値が高く無いと主人公出来ないよね。
水晶君の所に幸運が吸い寄せられているようにも見えるね。」
「ああ。光矢とは長く付き合っているから言うけど、こいつはリアルラック持ちだぞ。
苦しい時もあるが、結局、光矢の身になっているしな。」
「ちょっ!今が幸運って事は、今後、不幸続きって事じゃないか!」
「そこだよね。私から見たら、光矢君の不幸は幸運に見えちゃうんだよ。
(端末が鳴る)はい。なに?え?うん、居るよ?分かった。
光矢君に従姉妹の伊織からお願いがあるんだって。(声を2人にも聞こえるようにする)」
「初めまして。プレイヤーネームはイオリが使われていたから、イオにしているわ。
詳しい話は、今度にして、お願いがあって電話したの。
私自身はシークレットイベントには参加しなかったわ。
ただ、修理依頼や買い替えのお客さんから聞くと、相当に厳しい戦いだったと聞いたの。
それで、公式が編集したダイジェスト動画を見たんだけど、
朱音達の装備だけが、他のプレイヤー達の装備より壊れ具合が少なかった。
今後の事を考えると、もっと、技術力を上げたい。
でも、ヒントになりそうな媒体や、人がいなかった。
朱音に聞いた話だと、あの装備は光矢さんが作ったって聞いたわ。
さすがに技術を教えろとは言わないわ。
でも、ヒントになりそうな事は教えて欲しいの。だめかしら?」
「って事なんだけど。光矢君どう?」
「イオと言うプレイヤーは信用して良いと思うぞ。悪い噂は聞かないからな。
それに、ある程度、情報を流しておけば、お前がしたいスローライフにも近づくぞ?」
「あら。その声はカイトだったかしら?ベータの時はお得意様だったわね。」
「ああ。あの時は、大変助かった。
これからは、あの装備があれば、当分は問題ないだろうけどな。」
「はぁ(ため息)良いわよね。規格外の知り合いを持っている人は。」
「なんか。無敵超人みたく話が広がっているんだけど(苦笑)、伊織さんの話は分かったよ。
僕も、新技術の実験の第一段階は終了したし、来年以降の事考えると、少しずつでも、
全体の技術力を上げて貰いたいと思うしね。
平日は午後8時から10時頃まで、休日は午前10時から午後9時頃まで。
疲れ具合や内容によっても違うけど、だいたい、
その時間に拠点にいると思うから、来てくれれば話すよ。」
「本当!?助かるわ。色々と行き詰まってしまって。
時間のある時にお邪魔するわ。ありがとう。」
通話が切れた。
「私も色々と気になるし、行こうかなぁ。」
「私も。最近、生産も良いかなぁって思っているんだよね。」
道下さんと牧ノ原さんは、来るつもりのようだ。
「おい!ちょっと待て!2人は光矢の拠点の場所知っているのか?」
「え!?まさか。まだ、分かっていなかったんだ。びっくり。」
「はぁ!?そんなに簡単なのか?
メンバーにも話ししたんだが、そこでも教えて貰えなかったんだよ。」
「なるほど。メンバーさんはすぐに分かったのに、陸原くんだけ、分かっていないんだ。」
「あ〜。うん。陸原君。頑張って。」
「いや。牧ノ原。それは、地味に刺さるんだが。」
海人はショックを隠しきれない。
「海人のメンバーも大変だ。
牧ノ原さんは、僕達もいつも生産室を使っているわけじゃないから、
空いていれば、使っても構わないよ。
まぁ。知り合いにしか使わせないけど。」
「本当!?それは助かるよぅ。」