最終更新日 2022/06/05

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89話 1日目 前編

午前10時に、自動でイベントサーバーへと移動し、
運営の人が開会宣言を始め、5分後に開始を告げる。

5分後、イベントが開始された。

僕は、すぐさま、ドローンを10台飛ばし、マップ作りを急ぐ。

その間、拠点から見ていると、やはり、第一エリアで活動している人は、
フィンテルを落とそうとしている。

「ねぇねぇ、コーヤ君。第一エリアに、100人近くのクランあったかな?」

アカネさんが疑問を口にすると、ミリスさんが答えてくれた。

「アカネ。あれは、掲示板で募集していた、〈イベント楽しみ隊〉だと思うわ。」

「ミリス。何それ?」

「今回のイベントで、どんなクランが参加するのか、気になったから調べたの。

そうしたら、少数クランやソロなど、イベントを楽しみたいけど、
すぐに敗退するのが目に見えていて、迷っていた人達にイベント限定のクランを作りませんか?
って、募集していたのよ。

確かに、初期から遊んでいる人や、途中でもコーヤさんの様に運が良い人とかは、
自分なりの遊び方が出来ているけど、それ以外は中途半端になりがちだから、
イベント限定というのも、面白いと思うわね。」

「なるほどねぇ。じゃぁ、あの集団は、フィンテル保持が次の目標かな?」

「どうでしょうね。意外と、攻めて来るかもね。」

「ちょっ!ミリス!フラグは止めてよ!」

「アカネ。ごめんごめん。(苦笑)」

「いや。ミリスさんが言った通り、攻めてくるかも知れないよ。」

僕は拠点のユグドラシルから見ていると、フィンテルを攻めている集団は、
この周辺で活動するほとんどの人の様に思えたからだ。

「もし、敵対する集団が無いと知っていれば、
全員で攻略した方が、一人分の負担が少なくて済むしね。」

こうして、話をしている間に、
どうやら、防衛部隊を倒して「核」を手に入れた様で、賑わっている。

「さて、念の為、準備しておくか。」

しかし、皆の期待は外れて、拠点まで攻めて来る気配はない。

「う〜ん。これは、ポイント稼ぎやすい村とかに行ったようだ。」

「じゃぁ。どうしようか?こちらから攻め込んでみる?」

「アカネ。1つのエリアは40に分割しているのよ?

他の地域がどうなっているか分からないし、とりあえず、静観が良いわ。」

攻守の指輪

「僕も、シェーラさんの意見に賛成かな。1日目は探り合いになると思うしね。

ドローンに見張って貰うよ。それよりも、皆の感想を聞きたい物があるんだ。」

僕は、ライリーさんに出会った時に感じた、危機感を打破する為に、
指輪の製作に力を入れていた。

「なに?そう言えば、コーヤ君。最近、色々と本を読んだり、試行錯誤していたよね?」

「うん。大まかなイメージは固まったんだけど、適した素材が無くて探していたんだ。

結局、見つからなかったけど、試作品としては良いかなって。(指輪を見せる)」

「コーヤさん。それは指輪?デザインは無いんですか?」

ハヅキさんが、指輪を持って見ながら感想を言う。

「ははは(苦笑)デザインにはあまり、興味が無いんだ。
まぁ、正規品の時は誰かに任せるよ。」

「コーヤ君。指輪の効果は?」

「そこは、実演した方が理解できると思う。(指輪を装着して)ユヅキ、僕に技を放って」

「え!?コーヤさん!どう言う事ですか!?」

ユヅキは狼狽していた。

「簡単だよ。この指輪は、攻撃と防御の特性があるんだ。

だから、誰かに、攻撃をしてくれないと無理なんだ。」

「なるほど。今の話で指輪の効果がなんとなく分かったわ。」

ミリスさんは、イメージ出来たみたいだ。

「わ・わかりました!行きます!!」

ユヅキが技を放ち、コーヤに接近するとバリアが展開される。

「(攻撃に手を伸ばし)吸収」

僕が吸収を発動させると、ユヅキの技が指輪に吸収されてしまう。

「(全員)これは!?」

「もう一つあるんだ。カード具現化!(カードが現れる)」

僕が技をカード化すると、どよめく。

「すごい!水晶(コーヤ)君、こんな事も出来るなんて!それで、この発想はなんで?」

リンネさんが聞いて来た。

「ライリーさんには、会ったよね?1人でも、龍族が存在しているのなら、
今後、他の龍が活動するかも知れない。

実際に、アカネさん達が持っていた”鱗”、
そして、アクセリアまでの道中で龍族らしき飛行物体が目撃されている。

でも、現実問題、今の装備で、戦えるかというと厳しいと思う。」

アカネさんが話を引き継ぐ。

「確かにね。魔族にもなんとか勝てたのに、龍族が出て来たらきついよね。

それで、対抗手段を急いだんだ。まぁ、相手の攻撃を利用するのは定番だよね。」

「コーヤさんは、試作品と言いましたけど、何が足りないんですか?」

ユヅキが聞いて来る。

「この指輪には、3つのパーツを付与しているんだ。

でも、これだと、余りが1つになってしまう。」

「そういう事ね。〈吸収〉と〈カード化〉が固定になるから、
他のパーツの選択が厳しくなるわけね。」

シェーラさんが問題点に気が付いた様だ。

「そう。以前に入手した、大きな魔石や大きな宝石で、穴が5個だったけど、
指輪サイズに加工すると、3個に減ってしまったんだ。」

「う〜ん。イオなら、採掘しているだろうし、何か持っていないかな?」

そんな風に、噂をしていると、イオさんから連絡が入る。

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