最終更新日 2022/06/05

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8話 魔石と指名手配犯

冒険者ギルドを出た僕は、魔物が居そうな北の街道近くにあるカーサスの森にやって来た。

カーサスの森

この森は、始まりの街フィンテルから
北のダンジョンの街ライカークへと繋がる街道全域が森となっている。

ライカークはダンジョンが発見され、次第に人が集まり街になったもので、
冒険者が集う事により危険な魔物は狩り尽くされたと言われている。

その為、後に森を縦断する街道が敷かれて、
王都並びに近隣の都市も恩恵を受けて発展した。

「中に入って行くか。強い敵はいないと言う話だったけど、
気配を消しながら、魔物を探すか。」

装備を特典の黒装備に変更し、武器は黒武器の短剣、長剣、弓を装備。

ちなみに、特典の黒装備は山岳地帯をメインにした、
第三エリアまでを想定されているので、始まりの街フィンテル周辺では苦労はしない。

慎重に移動しながら、単体は剣で、複数は弓で戦い魔物を倒していくが、
まだ、解体が出来ないので、とりあえずはソルゲンが持っていた魔法袋(中)に保存。

2時間程で、野犬6匹、ゴブリン10体倒すことに成功したので、街に戻ろうかと思った時に、
奥の方から剣で戦っているような音が聞こえたから行って見た。

行って見ると、冒険者のパーティーと思われる6名が子供4名を庇いながら、
オーク2体とゴブリン6体の混成部隊と戦っている所だった。

「くっ!オークがいるなんて聞いていねえぞ!」

「今、文句を言ってもしょうがないでしょ!最低でも子供達だけは逃さないと!」

「とりあえず、俺が攻撃を防いでいる間に、逃げ方を考えてくれ!」

僕は気配を消し、繁みに隠れながら、様子をうかがう。

「(う〜ん、あれが、オークか。このゲームでは防具を付けるのか。
でも、知能は低そうだし、首を切れば大丈夫そうだな。)」

そんな事を考えていると、回復係と思われる女性が悲鳴を上げた。

「ちょっと!みんな!襲われていた子が瀕死状態になっちゃった!早く治療しないと。」

「ちっ!時間がないって事か。」

「しかし、後ろを向けて逃げたら最後だぞ。どうする?」

前衛で、剣士と思われる男性が、仲間にアイディアを求める。

「こうなったら、仕方ねえ。俺達で4人が子供達を連れて逃げる時間を作る。」

「そうだな。それしかなさそうだ。」

剣士と盾使いは覚悟を決めたようだ。

「ケイルもカンヤも何、言ってるのよ!」

「ファラ。誰かが殿を務めないと全滅だ。俺達2人の犠牲で済むなら喜んでなるさ。
お前が子供達を守って、苦しんでいる子を救って欲しい。時間が無いんだ!」

「くっ!、分かったわ。2人共、絶対に死なないでよね。」

言い残すと、メンバーと子供達を引き連れて去って行った。

男性陣SIDE:

「カンヤ。何分くらい必要だと思う?」

「そうだなぁ。30分粘れれば大丈夫だろう。」

「そうか。じゃあ、早速、始めるとするか!」

戦闘して10分後、霧が発生して来た。

「ケイル!ちょっと待て!霧が出て来た。」

「霧か。この霧がどれだけ続くかだが、いっその事逃げるか?」

「ああ。5分程待って霧が晴れないようなら退却しよう。」

どえやら、この森で霧が出るのは、2人の態度から珍しくないらしい。

「(さっさと片付けて、袋に入れてしまわないと。)」

僕は、最初、人工的に霧を発生させようと考えていたが、
自然発生したので行動に移る事にした。

引き続き、気配を消しながら、オーク達の背後に移動して、
声を出させないように注意しながら、首の動脈を切り、絶命させて魔法袋に収納して行く。

ただ、オークは2体で魔法袋(小)1枚使うので、
ソルゲン達が持っていた魔法袋(小)を数枚使った。

作業が終わった頃に霧が晴れて来た。

「ケイル。構えろ。どこから来るか分からないぞ。」

霧が晴れたが、オーク達の姿が無い。

「な?!オーク達が消えた?どうゆう事だ?!逃げたか?」

「(地面を調べて)いや、地面を見てみろ。血痕が残っている。誰かが倒したんだ。」

「(血痕を見て)確かに。だが、あの、短い時間で倒したのか?
全然、戦っている音は聞こえなかったが。」

「周囲に別働隊がいるかもと警戒して、出来るだけ音を立てずに倒したのだろう。
敵か味方かは分からないが、相当、能力が高そうだ。」

「(武器をしまい)はぁ。なんにせよ。助かったという事か。
危険が無くなったのだから、合流しよう。」

2人はみんなが逃げた方向に走り出した。

女性陣SIDE:

2人が合流する為走り出したその頃、逃亡組はピンチに陥っていた。

「ほう。今日は運が良い。良質な女を4人も手に入れれるとはな。」

オーク達から逃げて来て、街道に出たところを賊に見つかってしまったのだ。

「ファラ。どうする?10人もいるし、簡単には行かないわよ?」

「ええ。今回も分けましょう。リンは瀕死の子と子供達を連れて、フィンテルに逃げて。
あの街には司祭が常駐する神殿があるから、お願いすれば診てくれるわ。」

「そうね。私達も冒険者だもの。弱い子供達を守らないとね。リン時間がないわ。早く!」

「そんな!(賊が近付いて来た。)ごめん。みんな。」

リンは、後ろを振り向かずに、フィンテル方面に子供達と走り去った。

「くくく。殺られる準備は出来たか?」

応戦するも、オーク達から逃げる為に体力も魔力も使ってしまった為に、
少々回復したが賊を退治出来る程ではなかった。

「ははは!少々、手こずったが、なかなかに、美味しそうな女が手に入った。
おい!お前ら!この3人の身体を一緒に好きなだけ楽しむぞ!」

「おお!さすが、ボスだ!」

「ははは!そうだろう!そうだろう!よし!アジトに帰るぞ!」

賊達を尾行しアジトを発見し見ると、
アジトは、作業場と住居が一緒になった平屋だ。

ただ、継ぎ接ぎ部分もあり、放置されていた建物を簡単に補修したようだ。

「(なるほど。必要な物は、魔法袋に入れているのか。まぁ、奪ったのだろうけど。)」

その後も、鑑定を使いながらアジトを調べるが、魔法袋以外に良い物は無かった。

「(調査も終わったし、じゃあ、眠って貰いますか。スリープ)」

冒険者の人達にも眠って貰い、フィンテルに戻り、ヴィオさんに賊のアジトを報告。

「なに?賊のアジトを見つけた?顔を見せて貰えないかな?
(スクリーンショットを見て)これは!ボルゴアじゃないか!」

「え!誰なんですか?」

「ああ。このボルゴア率いる集団は、どこから、情報を得ているのか分からないが、
僕達が、捕まえに行ったら、すでにアジトがもぬけの殻で、なかなか、捕まらなかったんだ。」

ヴィオさんと話し合って、僕が賊達を見張っている間に、合流する事になった。

「では、アジトに戻って見張っておきます。
あとで来た仲間が起こしてしまうかも知れませんから。」

「お願いするよ。教えて貰った場所なら、準備して30分もあれば着くと思うから。」

「では、待っています。」

アジトに行く前に、
セリナさんに状況報告と、子供達の事が気になったので、神殿に移動。

「コーヤさん、無事でなによりです。」

「セリナさん戻りました。近くに指名手配されている賊のアジトがあるので、
そのアジトの見張りでこれから出かけるので、鍵の事はもう少し待って下さい。」

「その事であれば、朝にも言いましたが、
まだ、大丈夫なので問題無いので安心して下さいね。」

「あと、魔物狩りしている時に、オークに襲われた子供達を冒険者の人達が保護して、
フィンテルの神殿に連れて行くと言う話が聞こえたんですが、来ましたか?」

「それって、瀕死の重症を負った子の事ですか?」

「はい。ただ、するべき事が重なって確認していなかったので、分からないのですが。」

「話と一致しますし、その子の事でしょう。あと、1時間遅ければ手遅れだったと思います。
それ程までに、内臓へのダメージが大きかったです。ただ、小さな力でしたが、
少しずつ、回復していました。」

「そうですか。良かったです。えーと、セリナさん?僕の顔に何かついていますか?」

「いえいえ。なんでもないです。」

セリナさんは、終始笑顔で送り出してくれた。

その後、アジトに戻るとまだ、寝ていたので、細かく、アジト周辺にを探索すると
ランダムBOX3個、食用の野草、きのこ類、状態異常回復の野草(毒・痺れ・麻痺)各20枚
を見つけ、採取が終わった頃にヴィオさん達が到着した。

「コーヤ君、ありがとう。補修の箇所を見ると、それなりに時間が経ってそうだし、
最近は、ここをアジトに活動していたという事みたいだね。

過去に森の捜索をした事があるけど、ここまでは確認しなかったな。
大変助かったよ。これからは、他の地域も詳しく調べる必要がありそうだ。」

「団長!手配犯並びに部下計11人、馬車に乗せ終わりました。
あの、女性陣はどうしましょうか?」

「コーヤ君、彼女達はすぐにでも目が覚めそう?」

「疲れの影響もあって、当分は寝ていると思います。

馬車の1つに賊達を、もう1つに彼女達3人を乗せてみてはどうですか?
彼女達は、神殿にお任せすれば問題ないと思いますよ。」

「それしか無いね。」

フィンテルに戻り、騎士団副団長は手配犯達を騎士団詰め所まで連れて行き、
僕とヴィオさんは、神殿に女性陣を送り届けた。

「では、司祭様、後はお願いして良いですか?」

「はい。お任せ下さい。」

「ありがとうございます。コーヤ君もありがとう。
そうそう、後で団員に手配犯達が持っていた所持品を届けさせるよ。」

「いえいえ。普通、そういう物は、騎士団が接収するのでは?
それに、魔法袋と中身も貰いましたし。」

魔法袋は(小)が3枚あり、中身には鍛冶素材が入っていた。

「大丈夫だよ。この事は、ルクウェルとも相談して決めたんだ。

君が、この街に来てから、僕達が知らない間に色々の事が解決している。

しかし、僕達にお礼をするだけのお金も無いし物もない。
残念だが、接収した物を有効活用する事も出来ない。

であれば、コーヤ君に活用して貰えば、みんなが幸せになれると判断したんだ。
だから、遠慮なく貰って欲しい。」

「(ため息)と言う事は、僕に改革の嵐を巻き起こせと?」

「ははは(笑)まぁ、無理にとは言わないさ。僕達が君に勝手に期待しているだけしね。」

そう言って、ヴィオ騎士団長は騎士団詰め所に戻って行った。

「ふふふ。責任重大ですね。」

「笑い話じゃないですよ。
とりあえず、ギルドに行って解体して魔石取り出して来ます。」

僕は、魔石を取り出す為に冒険者ギルドに向った。

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