最終更新日 2022/06/05

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7話 鍵

7月29日(金曜日)

次の日、冒険者ギルドのギルドマスターに会い、
昨日、見つけて研磨した鍵束を見せた。

「(鍵を手にとって見ながら)なるほど。確かに、宝石類を付けるには小さすぎるか。」

「はい。他に合いそうな物って無いですか?」

「うーん、この大きさだからなぁ。」

ギルドマスターが悩んでいると、トントンとドアをノックする音がして、
受け付けのシアラさんの後にセリナさんが入って来た。

「セリナ様おはようございます。何かありましたか?」

「いえ。直接的には何も。

ただ、錯覚かも知れませんが、
朝日が冒険者ギルドの建物全体を、包み込むように見えて、
もしかしたら、動きがあるのではないかと思って、来て見ました。

ところで、手に持っている鍵みたいなのはなんですか?」

「これですか?これは、コーヤが東地区で見つけた錆びた鍵を磨いたら、
持ち手の箇所に小さな物を付ける事が出来るのを見つけて、先程、持って来たのです。
セリナ様は、何を付けるか分かりますか?」

セリナさんは、鍵を持って、色々な角度から見ている。

「うーん、そうですね。ここまで、小さな物だと加工するのは厳しいでしょうし。」

そんな時、セリナさんへ飲み物を持って、シアラさんが入って来た。

「セリナ様、飲み物を持って来ました。
ギルマスもコーヤさんも新しいのを持って来ましたので、どうぞ」

「ありがとう。そうだ!シアラ。
受け付けを担当している君なら参考になる話が出るかも知れない!」

「ちょっ!なんですか?ギルマス。いきなり。」

「ごめんごめん。テンションを上げすぎた。

実は、コーヤが見つけたこの鍵の小さな空間に、本来、何があったのか。分からなくてね。
どんな事でも良いから、当てはまりそうな物を知らないか?」

「(鍵を受け取って見る。)確かに、ここまで小さいとデザインなのか、
本来は有ったのか、分からないですね。でも、この大きさなら・・・。

あ!思い出した!魔石ですよ!魔石!新しく生まれた魔物の魔石がこのくらいです。」

「ふむ。なるほど。確かに可能性としては高そうだ。
いやはや、冒険者の取りまとめをしているのに、出てこないとは。」

「ギルマスが出て来ないのは、地位から考えるとしょうがないですよ。
私は、最近、大量に魔石を持ち込んだ人がいたので、思い出しただけですから。」

「さて、シアラによって、鍵にある空間には魔石を取り付ける可能性が出て来た。
で、シアラ、在庫はどうなっている?」

「その大きさの魔石は売却済みです。
なんでも、東地区で大量の魔石を使用した実験をするとかで。」

「そうか。では、自分で手に入れるしかないか。」

「そういう事であれば、僕が行って来ます。
まだ、ゴブリン退治とかの依頼を受けていませんから。」

「(少し考えて)うん。その方が良さそうだ。
しかし、弱いとはいえ突然変異する事もある。慎重にな。」

「あの。コーヤさん。気を付けて行って来て下さい。
まだ、魔物の件は時間がありますから、危険なら逃げて下さいね。」

「もちろんですよ。僕もこの街に来たばかりなのに、死にたくありませんし。行って来ます。」

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