7月29日(金曜日)
次の日、冒険者ギルドのギルドマスターに会い、
昨日、見つけて研磨した鍵束を見せた。
「(鍵を手にとって見ながら)なるほど。確かに、宝石類を付けるには小さすぎるか。」
「はい。他に合いそうな物って無いですか?」
「うーん、この大きさだからなぁ。」
ギルドマスターが悩んでいると、トントンとドアをノックする音がして、
受け付けのシアラさんの後にセリナさんが入って来た。
「セリナ様おはようございます。何かありましたか?」
「いえ。直接的には何も。
ただ、錯覚かも知れませんが、
朝日が冒険者ギルドの建物全体を、包み込むように見えて、
もしかしたら、動きがあるのではないかと思って、来て見ました。
ところで、手に持っている鍵みたいなのはなんですか?」
「これですか?これは、コーヤが東地区で見つけた錆びた鍵を磨いたら、
持ち手の箇所に小さな物を付ける事が出来るのを見つけて、先程、持って来たのです。
セリナ様は、何を付けるか分かりますか?」
セリナさんは、鍵を持って、色々な角度から見ている。
「うーん、そうですね。ここまで、小さな物だと加工するのは厳しいでしょうし。」
そんな時、セリナさんへ飲み物を持って、シアラさんが入って来た。
「セリナ様、飲み物を持って来ました。
ギルマスもコーヤさんも新しいのを持って来ましたので、どうぞ」
「ありがとう。そうだ!シアラ。
受け付けを担当している君なら参考になる話が出るかも知れない!」
「ちょっ!なんですか?ギルマス。いきなり。」
「ごめんごめん。テンションを上げすぎた。
実は、コーヤが見つけたこの鍵の小さな空間に、本来、何があったのか。分からなくてね。
どんな事でも良いから、当てはまりそうな物を知らないか?」
「(鍵を受け取って見る。)確かに、ここまで小さいとデザインなのか、
本来は有ったのか、分からないですね。でも、この大きさなら・・・。
あ!思い出した!魔石ですよ!魔石!新しく生まれた魔物の魔石がこのくらいです。」
「ふむ。なるほど。確かに可能性としては高そうだ。
いやはや、冒険者の取りまとめをしているのに、出てこないとは。」
「ギルマスが出て来ないのは、地位から考えるとしょうがないですよ。
私は、最近、大量に魔石を持ち込んだ人がいたので、思い出しただけですから。」
「さて、シアラによって、鍵にある空間には魔石を取り付ける可能性が出て来た。
で、シアラ、在庫はどうなっている?」
「その大きさの魔石は売却済みです。
なんでも、東地区で大量の魔石を使用した実験をするとかで。」
「そうか。では、自分で手に入れるしかないか。」
「そういう事であれば、僕が行って来ます。
まだ、ゴブリン退治とかの依頼を受けていませんから。」
「(少し考えて)うん。その方が良さそうだ。
しかし、弱いとはいえ突然変異する事もある。慎重にな。」
「あの。コーヤさん。気を付けて行って来て下さい。
まだ、魔物の件は時間がありますから、危険なら逃げて下さいね。」
「もちろんですよ。僕もこの街に来たばかりなのに、死にたくありませんし。行って来ます。」