最終更新日 2022/06/05

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4話 初依頼

冒険者ギルドに入り、街の探索途中で、
一緒に完了出来そうな依頼を探したが見つからなかった。

そこで、空いていた受付の人に聞いて見る事にした。

「すみません。これから、この街を探索しようと思っているのですが、
ついでに完了出来る依頼は無いですか?」

受付の女性が、依頼の紙を一枚ずつ確認していく。

「う〜ん、そうですね。街の中の依頼ですと配達・採取・清掃の3つあります。
ただ、報酬は少ないですが。」

「(少し考えて)一応、内容を聞いても良いですか?」

「はい。

配達は、先程、受理された依頼で、
いつも来ている配達人が来ないので、指定の場所までの配達。

次に、ポーションの材料である薬草や毒消し草などの採取。

最後に、清掃ですが、最近、この街も冒険者が多くなり活性化したのは良いんですが、
徐々にゴミとかも目立つようになりました。(苦笑)

今までは有志を募って対応していましたが、なかなか、それも、難しくなって来ましたので、
私達有志で依頼を出しました。」

「なるほど。その採取と清掃は期限はあるんですか?」

「いえ、無いです。採取は常に受け付けてますし、清掃も緊急ではないですから。」

「そういう事であれば、3つの依頼を受けさせて下さい。」

「ありがとうございます。」

3つの依頼を受けて、配達の依頼者の場所まで急いだ。

配達依頼人の木材店

「(カランコロン)いらっしゃいませ。」

「え〜と、配達の依頼を受けたんですが。」

「依頼受けてくれたんですね!ありがとうございます!」

店主は笑顔で近付いて来た。

「はい。それで、届け物と届け先を教えて貰えますか?」

「この商人専用魔法袋を東地区の屑屋に届けて欲しいんです。」

「屑屋ですか。初めて聞くお店ですね。どんな仕事をしているんですか?」

「最近、街で試験的に始めた商売で、
主に廃材から有効活用出来る資材を抽出する作業をしています。

ただ、3ヶ月くらい前に始動したので、
正式にまだ商売として成立するかは確定していないんです。」

「なるほど。確かに端材などには捨てるには勿体無い部分も多々ありますし、
良いと思いますね。でも、配達人は用意していないんですか?」

店主は困った顔をする。

「いえ。通常は、この試みに参加しているお店を1〜2週間で回って回収して、
屑屋で再生するので、報酬は低いのですが、募集して配達人を決めました。

システムは順調に回っていたのですが、先週の回収が来なく、
また、今週も来ないので、困ってしまって、冒険者ギルドにお願いする事にしました。

本当であれぱ、私達が届ければ良いんですが、忙しくてなかなか出来ないんです。」

「そうでしたか。分かりました。では、屑屋の場所を教えて下さい。

僕としては、来たばかりなので、この街の事を知りたかったので助かりました。

今度、木材必要になったら買いに来るので、その時は、よろしくお願いします。(一礼)」

「もちろんです!その時は、値引きさせて貰いますね。(にこ)」

その後、屑屋に無事に配達を完了。

次に、清掃と薬草採取に取り掛かった。

ここ、〈始まりの街フィンテル〉は、
新米冒険者が多く集まる事もあり、技術者見習いが腕を磨く絶好の場所としても有名だ。

主に東は工房、西は商人、北は街の統括者、南は孤児院など貧困層と、
各地区は分けられている。

これらの地区は、ギルドで聞いたら、入り組んでいるらしいので、マッピングが必要そうだ。

とりあえず、今日は昼食を挟みつつ午後6時までの時間を東地区の探索する事に決めた。

「へー、武器・防具・アクセサリーとか種類が豊富だな。」

あとで知ったけど、清掃依頼には「マッピング」スキルが報酬として付いていて、
清掃依頼完了の条件で、パッシブスキルに自動で付与されるようだ。

嬉しい誤算で、歩くだけでマッピングされるのは大いに助かる。

ちなみに、最初の街である、ここフィンテルの地図は、チュートリアル終了後貰えるが、
ダンジョンや他の街などについては、自分で地図を作るか、もしくは他人に依頼するかになる。

そんなわけで、現在は、初歩魔法にある風属性の「ウィンド」の力加減を微調整しつつ、
塵や埃を回収し、大きめなゴミと思われる物は手で回収して集めながら、魔法袋に収納。

最初はコントロールの加減に苦労したが、慣れてくると、ながらで、対応できるようになり、
今では、東地区を散策しながら清掃をしている。

あと、見つけた工房にも話をして、不用品の回収も同時に行う。

薬草採取は、東地区の地上には、ほとんど、無かったけど、
岩壁の上には群生地があり、100枚程採取出来た。

この時、東地区の工房で買った鉄塊(1キロ、小銅貨1枚(10円))を使って、
ドローンを創造スキルで創作し、創作魔法で〈ディスプレイ〉も作製しておく。

せっかくなので、ドローンを飛ばして、始まりの街フィンテルを上空から撮影して録画した。

時間を確認すると午後6時近くになっていた。

「あ!もうこんな時間か。結局終わらなかったか。東地区もう少しだったんだけどなぁ。
しょうがない。今日の分をギルドに報告に行くか。」

冒険者ギルドフィンテル支部

ギルドに入ると、報告が一段落したのか、受け付けは空いていた。

「薬草採取の依頼で、今日、採って来た分を精算したいんですが。」

「薬草採取ですね。冒険者カードと共にお願いします。」

冒険者カードと採取して来た薬草を渡す。

受付の男性は、薬草を確認して感心している。

「へぇー、採取上手なんですね。ここまで、良い状態で採取する人はなかなかいませんよ。」

「そうなんですか?」

「ええ。乱暴に千切ってくる人や保存が雑な人とかが多いので、低料金になってしまうんです。
その為なのか、薬草採取の依頼を受注する人は少ないですね。(苦笑)」

「なるほど。僕の場合、両親が土いじりが好きだった事もあって、教えて貰えたので。」

「どうりで、採取方法と保存状態が良いわけですね。
さて、報酬ですが、通常、薬草の最低基本価格が1枚小銅貨3枚となっています。」

「はい。」

「しかし、コーヤさんが採取した薬草はランク2なので、基本価格は中銅貨1枚になります。
それから、鑑定の結果、ランク2の薬草が80枚、ランク1の薬草が27枚ありました。
合計大銅貨8枚、中銅貨8枚、小銅貨1枚となります。」

「え!?そんなに?」

どうやら、ランク2の薬草が多かったようで、受付の男性は話を続けた。

「はい。先程の金額に採取方法と保存状態を加味して銀貨1枚になります。

そこでお願いなのですが、今後は治癒させる薬草だけでなく、
状態異常を回復させる薬草も採取して欲しいのです。薬草不足なんです。」

「分かりました。どこで見つかるかは知りませんが、見つけたら一緒に採取しておきます。」

「ありがとうございます。では、こちらが報酬となります。」

銀貨1枚を受け取って袋にしまい、ギルドを出て宿屋を目指す。

「時間も時間だし、宿屋に行ってログアウトするか。でも、その前に・・・。」

襲撃者達

付き纏う十数人を無視すると、明日以降面倒になりそうだったので、
人気のない場所で叩く為に、気配を消して隠れる。

それを見ていた謎の集団の見張りは、急いで報告する。

「ソルゲン様!!!相手が突然姿を消しました。」

「なんだと!?良く探せ!逃げ足は速いようだが、俺から逃げられると思うなよ。(にやり)」

相手に誘導されている事を分からせないように、時々、姿を現しては、
また気配を消してを繰り返して、東地区の岩壁近くにある広場に到着した。

「ほう?とうとう、逃げられなくなったか?
どうだ?今なら、身ぐるみ置いていけば許してやるぞ。」

その男は、そう言うと、ニヤリと笑った。

「そう思う?

別にギルド近くで迎え撃っても良かったんだけど、
障害物があったから負けたなんて言われても嫌だからね。

せっかくだから、広い場所で言い訳出来ないようにと思ったんだ。」

「なんだ?俺たちに勝つつもりか?ははは!逆に負けても言い訳にするなよ?お前たち行け!」

ボスと思われる男が指示を出すと、
回りに潜伏していた人も合わせて30人程が一斉に攻撃して来た。

「くくく!こんなに人数が多いとは思わなかっただろう!しかし、もう遅い!
お前たち!殺しても構わん!徹底的にブチのめせ!」

「(さて、気配を消して隠れている人が、どんな人か分からないから、
出来るだけ力を最小限にするのは良いとして、どのように偶然勝ったと思わせようかなぁ。)」

思考している間も攻撃して来るがコーヤには当たらない。

敵側には、ただ立っているように見えるが、コーヤは高速移動を駆使しているからだ。

しかも、高速移動の間に敵の装備品の連結金具に少しずつ傷を付けていく。

「おい、お前ら!そんなガキにいつまで時間かけているんだ!」

「ソ・ソルゲン・・・、こいつは化け物だ。」

疲労が蓄積し、そう言い残すと倒れ、その後には、次々と倒れていく。

「な・なんだ!これは!お前!何をしやがった!」

「まさかぁ。あなたも見ていたでしょ?僕は何もせずに只々、立っていただけですよ?」

「ちっ!得体の知れない術を使いやがって!まぁ、良いさ。良い事を考えついた。
明日には、俺たちに歯向かった事を後悔させてやるからな。」

「あれ?あなたが次の対戦相手ではないんですか?」

「ふん!お前を倒す為の道具が足りねぇからな。残念だが今日は退却だ。くくく(にやり)」

ボスの後に仲間が、互いに庇い合いながらふらふらと撤退して行った。

その時に、皮の鎧が落ちたりするが、気にせず行ってしまった。

「ふぅ。なんとか、上手く言ったみたいだ。
(人が隠れている方を向き)で?隠れているあなたを敵認定して良いんですか?」

騎士団フィンテル支部団長ヴィオ

岩壁の近くにある木々から、見た目20歳くらいと思われる青年が姿を現した。

それなりに鍛えているのか、
中肉中背タイプで、剣を腰に帯びてはいるが、防具は付けていない。

見つかったからか、軽い足取りで近付いて来た。

「これは驚いた。僕の存在に気が付いていたとはね。ショックだよ。
これでも気配を消すのは上手い方なんだけど。いつから、気が付いていた?」

「最初からです。
誘導の最中に誰か分からない気配が着かず離れずなので、放置でも良いかと。」

相手の人は、少し考えていたが、僕の方を向く。

「う〜ん。もっと練習しないとなぁ。
あー、そうそう!僕はこの街の騎士団の団長をしているヴィオだ。よろしく!」

「騎士団長だったんですか。僕はコーヤと言います。よろしくお願いします。(一礼)」

「いやー、ちょうど夕食を摂って詰め所に戻ろうとしたら、
怪しい奴らが東地区に移動しているのが見えたから、偵察しておこうと思ってね。
それにしても、あれだけの人数をどうやって切り抜けたんだい?」

「あれは、残像が残る様に高速移動をしつつ、相手の装備品の連結金具に少しずつダメージを
与えておいたんです。広場に落ちている装備品を見て貰えば分かりますよ。」

「コーヤ君。どうだい?騎士・・」

「入りません。」

ヴィオさんが何かを言い出すタイミングで、質問を予想して先回りして答える。

「う〜ん、即答か(苦笑)まぁ、しょうが無い。
ちなみに君も多くの冒険者の様に、前線に行くのかい?」

「いいえ。行くつもりはないですね。
主に生産関連に興味があるので、ゆったりとそれらをしていく予定なので。」

「へぇー。珍しいね。あれだけ、戦闘が出来るのに。
僕の知っている冒険者は戦う事が大好きな人が多かったから、君の様な人は新鮮だ。」

「確かに変わり者かも知れません。
あの、聞きたいのですが、広場に落ちている装備品、回収しても良いですか?」

「(広場を見て)あー、うん。他の人に悪用されるよりはコーヤ君が持っていた方が安全だね。
お願い出来る?」

広場をきれいにして、ヴィオ騎士団長と別れて宿屋に向った。

部屋を確保して宿屋の食堂で遅い夕食を摂ったんだけど、
味が微妙で物足りなさしか感じなかった。

明日以降、料理をなんとかしようと考えた後、部屋で今日の清掃で手に入れた物の確認。

「おー!意外と良い物が♪」

鉄500g、黒鉄50g、水晶の欠片5個、10本の鍵束、初級回復薬のカラ容器3個、
ルビーのイヤリング(片方)、サファイアの壊れたネックレス、小銅貨5枚、
王家の紋章があるエメラルドの指輪、ランダムBOX2個、木の欠片50個、鉄の欠片70個

以上が魔法の袋に入れて仕分けした物で、
プラスして、東地区の工房で不用品回収したので、1日で大きな収穫があった。

ただ、面倒事に巻き込まれそうな品もあって、どうしようか処分方法に悩む。

明日、ギルドで相談する事にしよう。

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