9月26日(月曜日)
今日はフィンテルの発展告知の後のお披露目の日。
「お〜〜!コーヤさん!すごいです!」
「ホントだね。ここまで変化するんだ。」
僕達は、北門から入ったが、入ってすぐに、大きく発展した姿を見た。
そして、発展したフィンテルを眺めていると、ヴィオさんが、僕達に声をかけた。
「や〜。コーヤ君とユヅキちゃん。どうだい?すごいだろ?
国王様が、色々なアイディアを募集してね。
フィンテルで実験的に採用して、大きく変わったんだ。
これも、コーヤ君が教えてくれた事だよ。」
「僕が?、別に自分で出来る事をしただけですよ?」
ヴィオさんは終始、ニコニコ顔だ。
「そこだよ。コーヤ君だけで、それだけの事を出来るなら、
他の考えを持っている人だっているだろう?
他の人にどれだけのアイディアがあるのか、募集して見たら、
嬉しい事に、有意義な物が多かったんだ。
そこから、フィンテルで実現出来たのを、1つの形として、
今後、国中に広めようと言う話になったんだ。
それだけ、コーヤ君は僕達が考えていた事を良い意味で壊してくれたんだ。ありがとう。」
ヴィオさんは、そう言うと、深々とお辞儀をした。
「ヴィオさん達の意識改革の手助けを出来たなら、僕としても嬉しいです。」
「あとね。騎士団でも、余裕が少し出たから、自分達の装備は自分達で作ろうと考えて、
鍛冶職人を募集したら、コーヤ君程ではないけど、有能な人材が来てくれたよ。」
「へぇ〜。それは、良かったですね。ひと安心ですね。」
「本当だよ。それじゃあ。僕は見廻りがあるから、ここで失礼するよ。」
ヴィオさんは、見回りに戻って行った。
「僕達も色々と周ってみようか。」
「そうですね。自分の生まれた土地なのに、違う様に感じるのは不思議ですね。」
周って分かった事は、鍛冶技術を筆頭に生産関連の技術が、発展以前から3割程上昇していた。
例えば、鉄素材しか扱っていなかった鍛冶職人が、
最高鋼製品まで作る事が可能になっていた。
他にも、建築技術は、平屋建築から2階建て建築が可能になった。
あと、料理も、今まで原始的な「焼く」や「煮る」位しか出来なかったのが、
炒めるなどの調理法が、可能になった事で、
料理のバリエーションが増えて、飲食店は大盛況だった。
9月27日(火曜日)
王宮から呼び出しを受けた。
「それで、僕に用というのは?」
「コーヤも聞いているかも知れんが、王都近くに常設の闘技場を建設中なんじゃ。」
「戦える者の育成の為ですよね?ちなみに僕は出ませんよ?」
僕は、念の為、国王様に釘を刺しておく。
「それは、知っとる。
出場の事ではなく、闘技大会で出す優勝者への品とかを作って欲しいのじゃ。」
国王様は、僕が出場しないのは分かっていた様だ。
「他の人ではダメなんですか?」
「いや。問題はない。しかし、闘技場を作り、闘技大会まで開くのに、
賞品に魅力が無くては人が集らんと思ったのじゃ。」
「僕の作品で人が集まりますかね。」
「当然じゃ。試作品なのに、あれだけの武器を作るのだからな。」
「私も実際に使って見て素晴らしいと感じました。
なにより、相手の心理を読んだ上で作られたのには、すごく、驚きました。
なので、優勝者への賞品をコーヤ様が作られれば、私達も誇らしいです。」
ソアリスさんはしきりに感心している。
「ちなみに、闘技大会の日にちは決まっているんですか?」
「大まかには決まっておる。
予定では、10月末日までに完成し、11月の初旬に大会をする。」
「なるほど。募集はどうなんですか?」
「募集は大会当日まで受け付ける予定だったんですが、
現時点で200人以上の応募があるので、急遽、予選を行う事が決定しました。
場所は、闘技場の近くに特設会場を設置して対応します。」
「分かりました。アイディアはありますし、
変形武器も完成の目処が立ちましたし、10月中に持って来ますよ。」
「お〜〜!そうかそうか!それは、助かる。頼むぞ!」
僕達は、魔法陣を使った最高傑作の変形武器を完成させた。
今までの店売り武器の耐久度は高くて1000程、
自分が作った武器の耐久力が10000。
ダンジョン産の武器の耐久力は15000、
魔力を金属に流し込む方法で30000まで耐久力を上げれる様になった。
貰った鱗の粉末を混ぜ、魔法陣の〈強化〉を付与し、パーツをレベルアップさせる事により、
耐久度を50000まで押し上げる事が出来た。
武器一つ一つに細工を施し、切り札も装着して、
攻撃力と防御力を兼ね備えた武器になった。
切り札は、魔王の体力を削ったように、相手の体力を削り、その力を流用して、
相手に高出力攻撃としてぶつけるもの。
次に、武器と防具一体型の製作に移り、武器は変形武器で決定で、
防具は軽装備型と重装備型を2種類作った。
武器のみバージョンでは、〈吸収〉を使ったが、一体型バージョンでは、
〈吸収〉の他に、〈進化〉も付与し、絶望的な相手でも行動を起こせる様にしている。
ちなみに〈進化〉は、付与された装備を一度自壊させて、再構成させるパーツだ。
進化と名が付く通り、攻撃力は一気に跳ね上がる。
しかし、常時使える訳でなく、心の底からの闘争心を奮い立たせる条件が必要となる。
上記の他にも、劣化版転移羽、吸収札などの製作に入った。