戦闘が始まる30分前に突然、イベントの通知が来る。
《お知らせします。これより、シークレットイベントを開催します。
今より30分後、魔族軍2000体VSフォルセニア王国の戦闘が開始されます。
20分で所属先を決定し、残り10分で配置に付いて下さい。》
メールには、ポイント表や禁止事項の事が書かれていた。
「いた〜〜〜!やっと、見つけた〜〜!」
「コーヤ君!ここにいたんだ。探したよ!」
ミュウちゃんとシエルちゃん、アカネさん、リンネさんが走って来た。
「2人も、来ていたんだ。」
ミュウちゃんとシエルちゃんに向けて話す。
「うん。主にフリマが目的で良い物が手に入った。」
「まぁ。その話は今度にして、さすがにわたし達だけでは無理だよ?」
「確かに、コーヤ君は強いかも知れないけど、メンバーがいないし、囲まれたら、厳しいよ。」
「私も、戦闘になるとは思わなかったから、回復薬とかの準備していないし。
仮に買いに行くとしても、20分は厳しいよね。」
「うん。リンネさんの言う通りだね。
たぶん、わたし達が王都に行って買おうとしても、売り切れだと思うんだ。
それで、コーヤ君、良い案無い?」
「一時間程前から感知していたから、色々と用意してみたよ。」
4人に必要な装備とアイテムを渡して行く。
「お〜〜!お兄ちゃんありがとう!助かるよ!」
双子の反応とは違って、アカネさんとリンネさんは怒り出す。
「って、コーヤ君。一時間程前から知っていたなら教えてくれても良いのに!」
「そうだよ。知っていれば、もう少し、揃えたのに。」
「ああ。それなんだけど、今って、転移出来るアイテム無い様だから、
たぶん、往復一時間はきついんじゃないかなって思って(苦笑)」
「あ〜〜〜。確かに、わたし達の拠点、第三エリアだから、無理ね(がっくり)」
アカネさんは、自分達の拠点との距離を考えてしゅんとなる。
「ははは(苦笑)私も往復では無理かな。で、水晶(コーヤ)君、
この装備って確か、闘技大会の優勝者用に渡したって言っていなかった?」
「言ったよ。あっちは、初級編最高の装備で、
こっちは初級応用編も含めて改良版の複製。」
4人がハモる様に「応用編?」と揃った。
「コーヤ君。どう違うの?」
「初級編では、変形させるにあたって固定化している方が作りやすいんだ。
改良版の初級応用編では、使用者のイメージによって武器の形態を変化させる事が出来る。」
「すご〜い!早く使ってみたい!」
「他の機能はこれを見てよ。それと、このアクセサリーも付けてね。」
予め纏めた、装備の説明書を渡す。
「へぇ〜。シンプルだね。コーヤ君なら、もう少し凝ったデザインで作れると思うけど。」
「今回は、性能を上げる事に集中したから、デザインは二の次だね。
あと、指輪に羽が付いているでしょ?羽を触りながら〈ウイング〉って唱えて。」
「(一同)ウイング。え!?」
みんなが、〈ウイング〉で魔法陣を発動させると、名前の通り、背中に羽が生えた。
「お兄ちゃん!なにこれ!」
「すごい!羽が生えた!」
「まだ、持続時間が3時間位しか無いんだ。
でも、今回は問題なく持続すると思うから、有効利用してよ。」
「うん!!分かったよ!お兄ちゃん!」
この間にも、時間は刻一刻と過ぎて行く。
「ユヅキは、セリナさんと、ヴィオさんに、袋を渡して来て。」
「はい!(走り去る)」
緊急事態の時には、セリナさんにも見を守ってもらう必要があるので装備を作って、
袋に入れて、ヴィオさん用には、騎士団員全員分+カイトパーティー分の装備を入れている。
ちなみに、カイトには学校で、色々とメンバーの話を聞いたので、
そのイメージで、装備を製作した。
「さて、コーヤ君にここまでお膳立てして貰って、負けるわけには行かないね!」
「本当だよ!頑張らないと!」
「あ!お姉ちゃん!見つけた!探したよ!」
あくあさんが駆け付けて来た。間に合ったようだ。
「ゴメン!詳しい場所伝えるのを忘れてた。」
「お兄ちゃん!今、メンバーから連絡あって間に合いそう!」
「こっちは・・・。ギリギリだけど合流出来そう。」
「じゃあ。メンバー分は預けておくから渡してよ。
あ。今、ソアリスさんが一体型装備を装着したようだ。」
「え?水晶(コーヤ)君?どうして分かるの?」
「通知を来るように設定したからね。
あっちがボスキャラだと思うから、出来るだけ、
短時間で魔族軍を制圧して、援護に回りたいとは思うんだけど。」
各自、メンバーと合流するべく移動を開始する。
「お兄ちゃん。わたし達は、メンバーも来たから前線で数を減らすね。」
「了解。念話が使えるから何か、緊急事態があれば呼んで。」
「は〜い!行こう!シエル!」
ミュウちゃんとシエルちゃんは、走ってメンバーの所に急行した。
横を見ると、アカネさんは、迎撃地点で迷っていた。
「う〜ん。私達はどこで迎撃しようかなぁ。コーヤ君は、真ん中?後ろ?」
「どうだろう?区切ってはいないけど、中心に近いかもね。
とは言っても、フィンテルよりも狭いから、あんまり意味が無いと思うけど。」
「まぁ。そうなんだけどさぁ。リンネさんとあくあちゃんは?」
「お姉ちゃんは後ろを取られるとあたふたするから、
救護室の前を防衛するので良いと思うなぁ。
わたしは、他の施設に行かないか見るよ。」
「じゃあ。私達は、手薄になっている箇所をフォローして回るかな。」
「戻りました!コーヤさん!そろそろ時間です。」
「お疲れ様。よし!みんな、頑張ろう!」
「(一同)おーーー!」
開戦の火蓋が切られ、四方から魔族軍がなだれ込んて来た。