10月10日(月曜日)
8月14日に稲を見つけて、2か月かけて、今日、稲刈り出来るまでに育った。
ちなみに1反(300坪)が2面あるから、2反(600坪)ある計算になる。
「これが、コーヤさん達が食べている食べ物なんですか?」
「うん。そうだよ。僕達はお米と呼んでいるんだ。」
「そうなんですね。それで、どうやって収穫するんですか?」
「この鎌を使う。とは言っても、僕も稲刈りをした事が無いから、手探りでするんだけどね。」
「2面あるから時間掛かりそうですし。早速、稲刈りをしましょう。」
2時間程で稲刈りは終わり、乾燥させ、予め製作して置いた脱穀機で脱穀した。
「魔法使って脱穀まで、意外と楽に出来たなぁ。」
「(脱穀機の作業を見ながら)面白いですね。初めて見ます。」
「だろうね。食事する所に行っても、稲に似たのは無かったから、
他でも見つかっていないだろうしね。これでよしっと。次は精米だ。」
製作した精米機を使い、精米を終わらせると、
2反からの収穫量は750kgで、ネットで調べた量よりも多かった。
ネットでは、600kgになるとあったが、
土壌が特別良かったのか、他に理由があるのかは分からない。
でも、次回も同じ量が収穫出来るか分からないので、検証は保留。
そして、昔ながらの炊飯釜で、火を調節しながら、白米ではなく胚芽米として炊いた。
「お〜〜!こんな美味しそうな食べ物になるんですね!」
「うん。多くの家では、胚芽と言う部分を取り除いた白米と言う物を食べるんだけど、
今回はせっかくだし、胚芽米の方が栄養分が多いから、こっちにして見たよ。」
「色々な食べ方があるんですね。」
「いただきます。(手を合わせる)」
「いただきます!(あむあむ・・・ごくん)美味しいです!」
「気に入って貰えて良かったよ。」
「匂いも良いですし、甘みもあって、初めて食べました。(あむあむ)」
「最終的には、たくさんの人に食べて欲しいけど、
育つ土地と育たない土地が簡単に分かれば良いんだけど。」
「そうですね。わたしも多くの人に食べて欲しいです。」
10月11日(火曜日)
稲刈りした翌日、炊飯を持って王宮に来た。
「忙しいのに、すみません。」
「いや。構わんさ。それで?」
「まず、これを食べて見て下さい。」
炊いた胚芽米を盛ったご飯茶碗を2つ出す。
「なんじゃこれは?」
「これは、ご飯茶碗と言う物で、僕の故郷で使っていた食器です。
今回、畑にあった土砂を撤去すると、故郷にもあった稲を発見しました。
食べられる様になるまで、合計2ヶ月を要すので放置していましたら、
数日前に収穫可能になったので、収穫した米を炊いたのが、それです。」
「ソアリスは見た事あるか?」
国王様は、ご飯茶碗と炊いた胚芽米を珍しそうに見ている。
「いえ。色々な地方を見て来ましたが、初めて見る食べ物です。」
ソアリスさんは、他の地方の事を考えている様だ。
「冷める前に食べて見て下さい。」
「では、一口(あむあむ)!?これは!?」
「なんと!?こんなに美味しい食べ物が存在するとは。」
「どうですか?気に入って貰えましたか?」
「ああ。素晴らしい。しかし、今回の訪問と、どんな関係があるのじゃ?」
「はい。最終的には誰でも食べれる様にしたいと思っています。
たぶん、僕の買った土地には栄養分が豊富だったんでしょう。これだけ美味しく出来ました。」
「なるほど。コーヤ様は普及させるにあたり、
どのような土地で育つか、育ったらどれだけ収穫出来るかを調べて欲しいと?」
「はい。僕が個人的に作業するよりも捗ると思いますし・・・。」
「仕事が無い人への施しにもなると。」
「その通りです。」
国王様が、現状を教えてくれた。
「以前教えて貰った、土の栄養分や肥料の事は研究が進んでいるし、
最近の調査で、連作障害は深刻な状態だと分かった。
多くの農家では、収入を大きく減らしているとの報告も受けておる。
この新たな調査が、助けになってくれれば、わしも嬉しい。」
「コーヤ様?それで、その稲という植物の種を戴けませんか?」
「こちらを土に植えると稲に育ちます。(米を渡す)」
ソアリスさんは、炊いた胚芽米と、手にある米を見比べている。
「あれ?でも、私達が食べている物と同じような・・・。」
「当然ですよ。稲を収穫せずに放置しておくと、
この米のみ残り、土に根付き準備段階になります。」
「と言う事は、なにか?
収穫物を少し残して置けば、困ることが無いというのじゃな?」
「考え方としては間違っていないと思います。
ただ、検証していないので、確実なのか、それとも、ダメな時もあるのかは不明です。
あ、あと、鑑定スキルを取得させた方が良いですよ。」
「なぜじゃ?」
「僕も最初びっくりしたんですが、最初の状態が雑草扱いなんです。
目視だと、認識出来ないと思います。
それと、もしかすると、雑草の中に、
稲と同じように食用や薬用に出来る植物があるかも知れませんので。」
「ふむ。分かった。それらは、わし等でなんとかしよう。
これが、成功すれば、我が国の食料事情を変えれるやもしれん。
コーヤよ。大いに感謝する。」
「役に立ちそうで良かったです。」
これにより、食料改革の一歩を踏み出す。