11月3日(日曜日)
「これより!第2回闘技大会を開催します!」
「(会場中)うぉーーーーー!」
「今回は、前回とは違い、飲食店の出店スペース、一般の人が自由に売り買い出来るスペース、
救護スペース、娯楽スペースなどをご用意致しました!
是非是非、楽しんでいただきたいと思っております!
これからは、場外担当と場内担当に分かれて、
大会を盛り上げますので、よろしくお願いします!」
ひゅ〜〜〜〜、どん!どん!どん!
開催を告げる花火が打ち上がりスタートした。
「始まったようだね。」
「はい。どこから見ましょう?」
「う〜ん。フリースペースにでも・・・。」
どこを見て回るかを考えていると、前からアカネさんとリンネさんが歩いて来た。
「あ。コーヤ君おはよう♪」
「水晶(コーヤ)君、おはよう。」
「おはよう。あれ?メンバーは?」
「私達は予選で敗退しちゃって(苦笑)今日は、観戦だけだから、自由行動。」
「私は、妹がリアルで用事があるから、その間、見物しようかなって。
それと、あくあも良いところまで、勝ち進んだけど、ダメだったわ。」
どうやら、アカネさんのパーティーとあくあさんはダメだったようだ。
「残念だったね。僕達は、フリマで面白い物が売っていないか見に行くよ。」
「あ〜。私も行くわ。可愛い物とかあるかも知れないし。リンネさんはどうする?」
「私も行こうかな。すごく広いからどこから回って良いか分からないし。」
「そうしよう♪そうしよう♪」
フリースペースまで移動して、順番にわいわいガヤガヤしながら見て行った。
「う〜ん(伸び)全部見ていないけど、特徴的な物もあって、面白かった〜♪」
「ほんとう。かわいい物も結構あったし。」
「僕達は、昼食休憩するけど、アカネさんとリンネさんは?」
「そうだね。午後は闘技場の観戦もあるから、早めに昼食しておこうかな。」
「私も一緒に行くわ。中央付近で屋台があるから、そっちに行かない?」
4人で屋台で昼食をして、見に行きたい場所に各々行くので解散。
僕達は、装備部門のフリースペースに来ていた。
「結構、装備品売りたい人多いんですね。」
「だね。店で売るより高くなるかも知れないからじゃない?」
「なるほど。」
売っている装備品を鑑定しながら、掘り出し物は無いかと見ていくと、一本の剣に目が行く。
「ん?これは。すみません。この剣はあなたが作ったんですか?」
「え!?あ・あの・はい・・・そうです。」
僕は、鑑定から解析に変更して、剣を見ると、
まだまだ、荒削りだけど、基礎を学べば、能力を伸ばす事が出来そうだ。
「コーヤさん。この人、経験積んだら良い職人になりそうですね。」
ユヅキちゃんも同じ考えのようだ。
「僕もそう思うよ。今、有能な鍛冶職人少ないからね。これって、独学ですか?」
「はい!そうです。わたしの村は、古いしきたりが強い村で、
女性が鍛冶職人するなんて!って言う程なんです。
でも、父が鍛冶職人していたので、小さい頃からずっと見て育って、大きくなったら、
父と同じ鍛冶職人をしたいと思っていたんです。
しかし、両親から猛反対されて。でも諦められずに、自分で少しずつ、
手作りの鍛冶場を完成させて、そこで、見様見真似で、
やっと、最近、その剣を作る事が出来ましたので、出品して見たんです。」
「独学でここまで技術力を高めれる人は、なかなかいないと思うよ。自信を持ってよ。」
「ありがとうございます。(お辞儀)」
今の話を聞いて、独学でここまで出来るなら、才能もあるのだろう。
「名を聞いて良いかな?僕はコーヤ、そして、隣はユヅキだ。
僕達も装備を作ったりしているんだ。」
「!?」
なぜか、ユヅキがびっくりした顔をしている。
「私はアスハと言います。」
「ありがとう。アスハさんは、自分の工房を持ちたい?
それとも、他の鍛冶職人の下で働きたい?」
「そうですね。出来れば工房を持ちたいと考えています。
でも、まだまだだと思うので、最初は鍛冶職人の下で修業をしたいです。」
「うんうん。良いと思うよ。」
そんな事を話ししていると、見回りらしいヴィオさんが通りかかる。
「お〜。コーヤ君もここに来ていたんだ。」
「ヴィオさん。こんにちは。呼ばれたんですか?」
「そう。闘技場専属部隊が無いから、
数カ所の街の騎士団から20人前後、招集がかかったんだよ。」
「確かに、防衛部隊いませんからね。ちょっと、こちらの剣を見て下さい。」
ヴィオさんにも、アスハさんの剣を見て貰う。
「へぇ〜。なかなかに技術力が高いねぇ。なるほど。
最近、フィンテルも発展して、人材不足だから良いかも知れない。」
「僕よりも、ヴィオさんの方が話がスムーズに行きそうなので、お願い出来ますか?」
「了解した。え〜と、アスハさんだっけ?僕はフィンテル騎士団で団長をしているヴィオだ。
君さえ良ければ、鍛冶職人へ紹介するし、サポートもしよう。どうかな?」
「え!?そんな。本当に良いんですか?」
アスハさんは、突然の話にびっくりしている。
「ああ。僕達もアスハさんのような有望な人材が来てくれると助かる。」
「あの!お願いします!」
立ち上がって、深々と頭を下げた。
「よろしく。闘技場の中に各街の騎士団員がいる詰め所があるから、
用事が終わったら、そこに来て欲しい。
フィンテル騎士団団長ヴィオの紹介と言えば通してくれるから。」
「分かりました。ありがとうございます。(頭を下げる)」
「じゃあ、僕は見廻りに戻る・・・。」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁー!!!」
悲鳴がフリースペースにも近い、闘技場外壁出入り口付近で聞こえた。