「はい!はーーい!わたし行きまーす!だから、お金ちょうだい!」
コノミさんは、素材の買い出しに立候補した。
「はぁ。コノミだけだと心配だから、私も付いて行くわ。」
シェーラさんが、コノミさんに付いて行った。
「いってらっしゃーい!」
「さて、コーヤ君、あの素材をどうするの?」
「簡単だよ。魔法袋(小)を作って、それを複製するんだ。」
「複製?そんな事が出来るの?自分で作ったの?」
アカネさんが、不思議そうに聞いて来た。
「うん。拠点買って、畑もあると言うから心躍らせたんだけど。
種がランダムBOXでは出るんだけど、その他だと、なかなか手に入らなくてね。
そこで、コピー出来ればって思って作って見たんだけど、品質は元の8割だったよ。
とは言え、元の品の能力を最大限使わなければ、良い感じに使えそうだね。
ちなみに、コピー品の袋は無限にならなかったよ。」
「そっかぁ。やっぱり、偽物は偽物ってわけか。
それに、そう都合良くは行かないんだね。容量は?」
「調べていないけど、大と無限の中間かな?」
「それだけあれば、問題無いわね。コーヤさん。今、白金貨持っていないから、今度で良い?」
「うん。僕は構わないよ。ただ、出来るなら、今まで手に入れた物で、
アイテム作りに参考になる物や、各地の情報があると嬉しいんだけど。」
「ハヅキ。何かあったかな?」
「う〜ん。覚えていないから、拠点に帰らないと分からないよ。」
アカネさんが、拠点の言葉で何かを思い出したみたいだ。
「そうだ!コーヤ君は、この建築物どうやって再生したの?気になっていたんだよね。」
「これは、拠点の設定画面で、解体して新しいのを作るか、
それとも、復元するかを問われたから、復元にしたら、1週間で復元されたよ。」
「その時、建築士の設定ってなかった?」
「(思い出しながら)あったかも知れないけど、気にしなかったなぁ。」
「もしかして、コーヤ君は建築士のスキル持っているの?」
「うん。フィンテルの修練の間でレベルが5まで上げれたよ。現在は、レベル7だね。」
「すごい!じゃぁさ!わたし達の拠点のランクアップをして欲しいの!」
「ランクアップ?」
聞き慣れない言葉が出て来た。
「うん。わたし達がその拠点を買った時には、ボロ屋だったの。
調べたら、お金と素材と建築士が必要らしくてね。
知り合いにも、建築士のスキル取得している人いなかったから、
第三エリアの街の建築士に頼んだら、1年以上先になるって、ずっと待っているのよ。」
「まぁ。別に僕達は構わないよ。でも、エリアボス倒す必要あったんだっけ?」
「そうだね。コーヤ君達がどれだけの強さを持っているか分からないけど、
たぶん、大丈夫だよ。危なくなったら、支援するからさ。」
「ユヅキちゃんも大丈夫?」
「はい!新しい場所を見るのは楽しみです!」
この時に、買い出し組が戻って来た。
「たっだいま〜!」
「帰って来た。素材あった?」
「あったよ。はい。(素材を渡す)」
「ありがとう。ユヅキちゃん。複製機持って来て。」
「はい、分かりました。」
ユヅキちゃんが複製機を持って来る間に、説明をする。
「その間に説明するね。まずは、魔法袋(小)を作って貰って、必要分、複製したら、
次に、魔法袋(小)を重ねて合成する作業をしてもらう。」
「合成?どんな風に?」
「じゃあ、お手本見せるね?」
残っていた魔法袋(小)の複製品2枚を手に取り合成する。
「出来たよ。」
「え!?もう?」
「鑑定して見るとすぐに分かるよ。」
「ほんとだ。ちゃんとプラス2になっている。」
「でもさ。合成って自動でも出来るよね?」
アカネさんが不思議そうな顔で聞いて来た。
「うん。出来るよ。でもね。調べてみると、魔法袋の場合、成功確率が半分なんだって。」
「半分の成功確率しか無いのか。それじゃぁ。使えないね。」
シェーラさんが聞いて来た。
「自動ではなくて、手動で地道に100回合成をするのね?」
「うん。最初は大変なんだけど、慣れてくると短時間で、小から中、中から大にと、
ランクアップする事が出来るよ。まずは、複製品作りをしてちょうだい。」
「はーい。」
みんなで、魔法袋(小)複製品100個を完成させた。
「魔法袋を合成するコツなんだけど、僕の場合は、油揚げを広げて、その中に油揚げを入れて、
1枚の油揚げにするイメージで作業して出来たから、色々と試してみると良いかも。
簡単に言えば、2枚を1枚にする事が出来れば、どんな方法でも問題ないと思うよ。
僕達は、他にもする事あるから。」
「え〜!手伝ってくれないの?」
アカネさんが、パーティーを代表して抗議して来た。
「だって、自分達用に欲しいんだよね?だったら、自分達で頑張らなきゃ。
それに、デメリットだけじゃなくて、メリットもあるんだし。」
「メリット?どんな?」
「僕は、スキルが生えて来たよ。みんなも頑張ればレアスキル取得出来るかもよ?」
「ちなみに、コーヤ君はどんなスキルが生えて来たの?」
「僕の場合は〈空間〉スキルを取得する事が出来たよ。」
「空間スキル?ミリス知ってる?」
「(考えながら)もしかしたら、レアスキルの1種じゃないかしら。
レアスキルは公式でも発表していないし、今でも、分からない事ばかりだから。」
「なるほど。じゃぁ!みんなで頑張ろう!(みんなで)お〜!」
僕達が、今まで作った試作品を、魔法陣バージョンに切り替え終わって、
アカネさんパーティーのところに行くと、芝生に寝転がってバテテいた。
「アカネさんどんな感じ?」
「ダメ!無理!精神力が続かない!」
「でも、出来たんじゃない?」
近くには、魔法袋(小)+6が落ちていた。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ。それは、交代交代でなんとか作ったんです・・・。」
ミリスさんは息も絶え絶えだ。
「めちゃめちゃキツイじゃないですか!」
ハヅキさんは、すごく怒っている。
「僕達もすごくきつかったよ?〈合成〉スキルは、色々な場面で有効活用出来るから、
取得して損は無いんだし。って、あれ?シェーラさんは?(辺りを見回す)」
アカネさんが中庭の芝生に、仰向けになって答えてくれた。
「ああ。なんか、コツが掴めて来て面白くなったからって、袋の生地を買いに行ったわ。」
「たっだいま〜♪あれ?コーヤさん、仕事終わったんですか?」
「みんなは死屍累々なのに、シェーラさんは元気そうだね。」
「はい!なんか、相性が良いみたいで。あと、私も〈空間〉スキル手に入れました♪」
「へぇ〜。おめでとう。楽になったんじゃない?」
「はい!だんだんとパズルのように思えて、面白くなっちゃって♪」
「空間スキルを手に入れたんなら、裁縫スキルを取って、袋を作って、
その袋に空間スキルで魔法袋に変化させる事が出来るから、今後は、正規品を作れるよ。」
「なるほどぉ。ねぇねぇミリス。裁縫お願いして良い?」
「はぁ。そうね。スキルのレベル上げにもなるし、たまになら良いわよ。」
「ほんとう!ありがとう♪じゃあ。買って来た分だけ作ってしまうね♪」
シェーラさんは、作業に入って行った。
「これで、合成はシェーラに決定ね。」
アカネさんは、起き上がって話しかけて来た。
「さて、コーヤ君、この授業料は何が良い?」
「授業料?なに、それ。別に僕は何も教えていないよ?」
「そういうわけには行かないでしょ。
だって、魔法袋を合成するなんて誰も知らないのよ?
それに、合成スキル取得出来たし。
逆に、私達の方が、要求してくれないと落ち着かないのよ。」
ミリスさんにそう言われたけど、思い浮かばないから、ランクアップで・・・。
「ちなみに、拠点のランクアップの件とは別ですよ?」
ハヅキさんに先手を打たれた。
「と言われてもねぇ。お金は、ダンジョン産売却益が残っているし、
そうだ。鉱脈の情報は無いかな?」
「鉱脈ねぇ。ハヅキ。そう言うのに詳しいのいたよね?」
「うん。サーシャね。今は確か、第4エリアだったかと思う。
でも、コーヤさんが欲しいのは、この地域のでしょ?知っているかなぁ。
とりあえず連絡するね。よし、送信完了。あとで、返信来たらアカネに渡すわ。」
「了解。それで?何か作るの?」
「うん。新しい技術を手に入れたから、色々な鉱石が欲しくてね。」
「新しい技術?そんなの聞いた事無いけど。」
「まだ、やっと、形になったばかりだからね。秘密にしておくよ。
ただ、2週間後にある防衛戦までには、その技術で色々と作っておくつもりだけどね。」
「じゃあ。コーヤ君は参加するの?やっぱり、1番近いフィンテル?」
「まぁ。準備が間に合えばの話だけど。」
「みんなぁ。そろそろ、日が傾いて来たから暗くなるよ?」
「本当ね。じゃあ。明日の午後9時頃に来るから、建築の件はよろしくね。」
「了解。また、明日。」