9月2日(金曜日)
ログインし、今後の資料探しに、フィンテルの街をぶらついていると、
通りがかった雑貨屋で、掘り出し物を見つけた。
「え?魔法陣?あの〜!」
「はい。いらっしゃいませ。」
「すみません。ここにある本なのですが、他には無いですか?」
店の端に、他の古書と一緒に積まれていた、魔法陣の本を指して聞いてみた。
「え?ああ。その本なら、売れないので、廃棄にしようか考えているところなんですよ。」
「あの。それじゃあ。
同じ様な本があれば、全て買いたいんですけど、値段を教えてくれますか?」
店主が驚いている。
「良いんですか?
実は、先月亡くなった祖母が大事にしていた物だったらしいんですよ。
それで、売れるかな?って思っていたんですけど、なかなか売れなくて。
自分には内容がちんぷんかんぷんでした。
お客さんがそれでも良いなら、お売りします。
値段は、そうですねぇ。銀貨2枚でどうですか?」
「ありがとうございます!僕は、こう言う古い物を集めるのが趣味なので大丈夫です。」
「なるほど。分かりました。では、他のを持って来ますので、少々お待ち下さい。」
店主が店の中に入ってから、10分後、25冊の本を持って出て来た。
「お待たせしました。合計30冊になります。代金の銀貨2枚いただきます。
それと、こちらはおまけで差し上げます。」
「はい。(代金を渡す)えーと、こちらは?」
「倉庫に行ったら、この袋を見つけまして。
これも、祖母の物で売ろうとしたんですが、開かなかったんですよ。
そのまま、倉庫に置いておいたのですが、
価値の分からない本を買ってくれたお礼に、この袋も貰って下さい。」
「ありがとうございます。有り難くいただいて行きますね。」
「ありがとうございました!」
こうして、僕は意気揚々と拠点に帰って来た。
「ただいま〜。」
「あ。お帰りなさい。すごく、上機嫌ですね。」
「うん♪面白い物や、製作の参考になる物が無いか、街をぶらついていたら、
魔法陣の詳細が書かれた本を見つけてね。しかも、銀貨2枚だったんだよ。」
「へぇ〜。で、魔法陣って普通の魔法と違うんですか?」
「大地震前の技術図鑑にも載っているんだ。
魔法はパーツに分かれていて、組み合わせで大きな力を行使するよね?」
「はい。以前、教えて貰いました。
同じ組み合わせでも順番を変えるだけで、効果が変化する事があるとも。」
「魔法を前衛と考えると、魔法陣は後衛で支援職に相当するって、僕は考えている。」
「支援職って事は、あまり、直接ダメージを与えるようなパーツが少ないんですか?」
「だと思うんだけど、実際に見て見ないと分からないね。
ただ、魔法陣には変形パーツがあるらしいから、研究している事が全て叶うかも知れない。」
「変形出来るようになるんですね!面白そうです!」
「うん。これから複製を作るね。そうすれば、自由に読めるしね。
それと、古い袋をオマケで貰ったんだけど、何が入っているのか。」
「これは、また、古いですね。」
ユヅキちゃんは、古い袋を眺めている。
「なんでも、店主の祖母が大事にしていた物らしい。
でも、開けられなくて困ったから、廃棄するつもりだったんだって。」
鍵がかかっていないかを確認する。
「うん。やっぱり、鍵がかかっているね。おばあさん以外に解除出来なかったんだろうね。」
「どうするんですか?」
「以前に買った魔法大全集に、解除の魔法無かったかな。(ぺらぺら)あった。これなら。」
袋に向かって、解除の魔法を発動させる。
「うん。開けられるようになった。」
入っていたのは、日常品がほとんどだったが、白紙の紙が4枚出て来た。
「なんでしょうか?この白紙は?」
「これも、解除っと。えーと、これは。
どうやら、各地に魔法陣の本を持っている人がいるようだ。」
「と言う事は、連絡取り合っていたんでしょうか?」
「ここに書いてあると言う事は、そうなのかも知れない。
でも、これらを手に入れるには、エリアボスを倒しさなきゃならないんだよね。」
「強いんですか?」
「さぁ?多くの人が他の街に拠点を持っているようだから、
ケルベロスほどではないと思うけどね。まぁ、機会があれば行って見よう。
ユヅキちゃんは、この辺りしか知らないだろから、新鮮だと思うし。」
「はい!その時が楽しみです!」
この日は、大きな収穫を上げる事が出来た。
僕は早速、魔法陣の本30冊を複製し、ユヅキちゃんに渡した。
次に自分の分の複製を完成させて、原本は無限袋に保管した。
その後は、二人で魔法陣の本を読みながら、アイディアを出し、
時間いっぱいまで、この作業をしてログアウトした。