「あぁぁぁぁぁぁ〜〜(落胆)」
全てが終わり、神殿から拠点に帰ろうとした時、
噴水広場で落胆した声がしたので行って見た。
「大丈夫ですか?」
「え?ああ。すみません。大丈夫です。(落胆している)」
「どうやら、わたし達、間に合わなかったようね。」
声をかけた人の後ろから5人の姿が現れた。
「しょうがないよ。今の時間でもギリギリだったんだし。」
「そうそう。ここで悔やんでいても、どうしようもないから、宿に行こうよ。」
「え〜と、話が見えないんだけど?」
1人が事情説明してくれた。
「ごめんなさい。えーとですね。わたし達は親戚同士でプレイしているんです。
で、6人みんながゲームに熱中しすぎて、夏休みの宿題を疎かにしてしまって。」
「そしたら、このリコの母親が中学の教師をしているんですけど、
夏休みの宿題と自分の出す問題を終わらせないと、ゲームはさせないってなっちゃったの。」
「それで、みんなリコちゃんの家に集まって宿題を片付けて、おばさんの問題も終わって、
さぁ、ゲームに戻ろう!ってしようとしたら、イベントは終わってるし、
知り合いはほくほく顔だしで、どよ〜んってなってたんですよぉ。」
「そんな時に、フィンテル噴水広場で、在庫一掃セール?見たいなのをしているって聞いて、
最大限の早さで着いたのが、さっき、だったと言うわけです。」
結局最後には、6人の内4人が、話を引き継いで事情を教えてくれた。
「なるほどね。まぁ。それならね?」
「そうですね。(こくん)」
事情を理解した僕達は、ダンジョン産装備を売る事を決断する。
「え?え?え?」
「あ〜。ごめんごめん。装備品売っていたのは僕達だったんだよ。
午後3時くらいに人も来なくなったし、他の用事が出来たから閉めたんだ。
でも、まだ、70点あるし、眠らせて置くのはもったいないから、
君達が良ければ売るけど?どうする?」
「是非!売って下さい!」
フィンテル騎士団詰め所に移動して来た。
「それで、この場所を貸して欲しいと?」
「ええ。ここなら、明るいし、暴漢などが出た時の対応も出来ますし。」
「別に構わないよ。コーヤ君には助けられて来たからね。」
「ありがとうございます。」
敷物を敷いて、残った装備品を置いて行く。
「おー!これなんか良いと思わない?」
「えー?こっちの方が良さそうな・・・。」
次々に、欲しい商品を選んで行く。
1時間程で満足したのか、晴れ晴れとした顔をしていた。
「さて。選んだは良いけど。みんな、お金どれだけある?」
自己資金を見せ合い計算している。
「これだと、一人あたり2〜3点くらいかしら。」
「うん。でも、それでも、今までよりは全然違うよ!」
6人で何を買うかを相談している所に、僕は話しかけた。
「ちょっと良いかな?僕の望む物を持っていたりすれば、相殺してあげるよ?」
「望む物ってなんですか?(身体を隠すしぐさをする。)」
「身構えなくていいから!僕が欲しいのは、情報と他の地域で手に入れた物だよ!」
「他の地域でってなんかあったっけ?」
思い付かないようで、顔を見合わせて考えている。
「とりあえず、開けた場所に出して見てよ?僕が見て判断するから。」
6人は袋から、今までに手に入れた物を置いて行く。
「お金になりそうなのは、ランダムBOXよね。」
「うん。高額になりそうな物を手に入れる機会なかったし。」
みんなで話をしている横で、僕は1つずつ鑑定して行く。
「コーヤ君。面白そうな品はありそうかい?」
ヴィオさんが面白そうな品があるか、覗き込んで来た。
「ヴィオさん。この羽見て下さい。」
「普通の鳥の羽じゃないのかい?」
「鑑定して見たら、どうやら、普通の鳥の羽に偽装しているようです。
天使の羽と言うアイテムで、神族のいる神界への入り口を開く鍵らしいですよ。」
「なんだって!神界なんて夢物語だと思っていたのに。」
「え!?ウソ!?そんな風には見えないのに。」
「これをどこで手に入れたか分かる?」
「ごめんなさい。たぶん、軽いしかさ張らないから入れて置いただけだと思います。」
「まぁ。そうだろうね。もう、少しで終わるから。ごめんね。」
「いいえ!そんな。わたし達では分かりませんから、鑑定お願いします。」
その後、鑑定を続けて30分程で終了した。
天使の羽以外には、他の街で開発された種族識別球(試作品)、蜂の針、
琥珀(中5個)、儀式剣と儀式杖、簡易魔法札の欠片、大地震前の技術図鑑を貰った。
「あの。良いんですか?そんな物で。天使の羽はすごいですけど。」
「武器とか作る時の参考になるし、流用出来るかも知れないしね。
あと、使っている装備品も下取りするけどどうする?」
「はい。お願いします。」
「他には、出来ればこの街以外の情報が欲しいんだけど、無いかな?」
「う〜ん。そうですねぇ。乗り合い馬車で移動している時に、西に行って4つ目の町で、
山崩れがあって、そこから、魔物が出て来て農作物を荒らしていると聞きました。」
「あと、噂話だと思うんですけど、フィンテルの西にある山脈に、ミスリルの鉱脈があると。」
「護衛依頼で寄った南の村で、数年前、村の近くでドラゴンかワイバーンか分からないけど、
似た生物が飛んでいるのを見たという人がいました。」
「ほう。なかなか、面白い情報だね。」
「わたし達が興味を持った情報はこんなところです。」
「分かった。それじゃあ。精算しようか。有意義のある情報を貰えたし、
天使の羽なんてアイテムも手に入ったから、一人あたり金貨1枚で良いよ。」
「本当ですか!?」
「うん。予備の武器1つをオマケで付けよう。」
「ありがとうございます!」
6人はほくほく顔で帰って行った。
「いや〜。びっくりする事だらけだよ。飛行系の魔物は絶滅したと思っていたんだけどね。
それに、神界か。やっぱり、地上よりは強いのかな?」
「さぁ、どうでしょうね。最低でも、今のままでは太刀打ち出来ないとは思いますね。」
「だよね。なんとかしたいものだね。」
今日の売上は、露天で売れた600点が金貨1800枚と
先ほどのパーティーに売った40点が金貨6枚、計金貨1806枚だった。