最終更新日 2022/06/05

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37話 不正業者摘発

「団長!動きがありました!」

「分かった。出来ればコーヤ君達にも来て欲しいんだが。」

「買う人もいませんし。そろそろ閉めようと話ししていた所なので。」

「ありがとう。行こうか。」

片付けて、ヴィオさんの後を追うと、一軒の店の前で止まった。

「店主、失礼するよ。」

「これはこれは。騎士団長様。良くぞ。来てくれました。それで、何をご要望で?」

ヴィオさんが店に入ると、店主が上機嫌で応対した。

「店主にも、王宮から緊急通知届いただろう?それの確認に来たんだ。

各街の騎士団に連絡が来て、審査をしてくれってね。

一番最初に、騎士団御用達のこの店を審査しようと思って来たんだ。
だから、見せてくれないかな?」

「いや・・あの・・。」

店主は言いよどんでしまう。

「ああ。ごめん。これを出し忘れていたよ。
国王様から各街の騎士団長に発布された調査許可証だ。」

「いや。騎士団長様。我々の営業秘密が・・・。」

ヴィオさんが調査許可証を出してなお、素直に見せない事に僕は怪しいと感じた。

「営業秘密?安心してよ。別に店の秘密を公開するわけじゃないから。

ただ、店が問題無く商売している事が確認出来れば良いんだから。簡単でしょ?

じゃあ。僕は調査させて貰うね。数人付いて来て。それと、店主から話を聞いておいて。」

店側は騎士団員に任せて、僕達は、店の奥へと入って行った。

「コーヤ君達は僕と一緒に、君達は店の実態を各部屋を回って調べて。」

騎士団数人が建物内の部屋を廻る為に散って行った。

「怪しいですけど、何かありますかね。」

僕達は、店の内部を調べたが、チンピラが使っていた2つの部屋以外に
裏帳簿などが見当たらないので、魔法で隠し部屋を開放した。

反応は、チンピラが使っていた2つの部屋の真ん中に1つ、
地下に繋がっている戸の2つ出た。

「ほう。ここは、書類の保管部屋かな。(ぱらぱら)うん。どうやら、裏帳簿類の様だ。」

残すは地下だ。

地下の裏口

「あの店主、汚い事をしていると思っていたけど、奴隷商までしていたとはね。」

地下には、奴隷の証の首輪を付けられた男女30人が、牢屋に入れられていた。

「ヴィオさん。どうやら、ここの扉から外に出ていたようです。」

「なるほどね。」

がちゃ。

調査している時に、地下の出入り口が開いた。

「おい。小僧。ここの店主を呼んで来い。約束の人数を貰いに来たとな。」

「残念でしたね。
ここの店主は強制労働する為に王宮へ連行されたので、もう、帰って来ませんよ?」

「なんだと!あの、店主め!どじったな。そんな事を知っているお前は何者だ!?」

「気にしないで下さい。僕はフィンテル騎士団長の手伝いをしているだけなので。」

「ちっ!くそっ!小僧命拾いしたな!(走って逃げる)」

「これまた残念でしたね。(バインドで男を拘束)逃がすわけないじゃないですか。」

「なんだ・・この蔦・・全然切れねぇ。」

「コーヤ君ありがとう。さて、聞かせてもらおうか?君達の事をね?」

この後、裏家業で奴隷商をしている武器・防具の店の店主と繋がりのある、
この男の仲間を発見して拘束。

仲間が持っていた馬車には未成年の女の子6人がいて、奴隷の首輪がされていた。

「これは、今までにも相当汚い事をして来ているね。」

「ヴィオさん。奴隷の首輪って解除出来ないんですか?」

「うん。確かね。だから、司祭様に見て貰おうと思っている。」

「そうですね。セリナさんなら、有効な方法を知っているかも知れませんね」

「と言うわけで、ここからはまだまだ、出て来ると思うから僕達騎士団は調査続行する。
コーヤ君達は、司祭様にお願いして解除出来ないか、聞いておいて欲しいんだ。」

「分かりました。解除方法を探しておきますね。」

僕達は、奴隷の首輪を付けられた36人を連れて神殿へと向かった。

女神アーシェシュトラ神殿

「え?首輪の解除ですか?」

「はい。知りませんか?」

「う〜ん。奴隷制度廃止して100年以上経ちますし、
神殿でも必要ないからなのか、教えて貰っていません。なので、私も解除出来ないんです。」

「そうですか。では、方法を知っている人とか知りませんか?」

「今まで考えた事が無いので・・・。
あ!遺産の中に、もしかしたら、解除の方法があるかも知れません。」

遺産を調べると中に、奴隷の首輪を解除する方法が書かれていたので、
早速、セリナさんが試したところ、スムーズに全ての奴隷の首輪を解除する事が出来た。

ところが、今度は戻る場所が無いという問題が起きた。

聞いて見ると、数人は拉致されたのだが、その他は口減らしで売られた人だったようだ。

とりあえず、暗くなったので、神殿で泊まって貰う事になった。

「コーヤ君助かったよ。ありがとう。」

「それは良いんですが、この国の農業は口減らししなければならない程、苦しいのですか?」

「そうか。口減らしで売られたのか。確かに、この国の農業は危機的状況だ。」

「危機的状況って、具体的にどのような?」

「ここ数年、気候の変動も少ないし、いつもと同じ方法で作物を植えているのに、
年々収穫量が減ってしまっていてね。皆、困っているんだ。」

これは、連作障害になっていそうなので、ヴィオさんに聞いてみた。

「まさか、同じ土地に同じ作物を植えていませんよね?」

「う〜ん。状況は色々な所から情報が入って来るから、知っているけど、
詳しい内容までは分からないんだよ(苦笑)」

「そうですか。王宮に行けば、詳しい話を聞けますか?」

「ああ。大丈夫だと思うよ。何か、現状を変える事が出来るのかい?」

「話を聞いて見ないと分からないですけど、
多分、予想通りの状況なら、なんとかなると思います。」

「そうか。この件はコーヤ君に任せよう。
奴隷から開放された人達を、そこで働いて貰えばちょうどいいだろうし。」

「上手く行くかは分かりませんよ?知識としてあるだけで、実践している訳ではないですし。」

「そうなったら、また、他の方法を探せば良いさ。」

ちなみに、不正業者に関しては、騎士団御用達の店にあった裏帳簿に、
わざと品質を低下させ利益を上げる店が全てあり、騎士団を総動員して捕縛したようだ。

しかし、あくどい商売をしていた店はフィンテルにある商店の8割あったが、
その中の2割は脅しなどでせざるを得ない状況だったと聞いた。

結局、フィンテルに残ったまともな商店は、全体の2割だった。

その後、国王様による裁きを、8割中7割が受けたという。

残り1割は、現状を変えるべく、水面下で活動していたため、商売を続ける許可がおりた。

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