8月15日(月曜日・祝)
「なんじゃと!それは、本当か?」
「ええ。僕達も見つけた時はびっくりしましたよ。」
「はい。生まれ育った家に、あの様な施設が隠されていたなんて。」
「カルスと言う男が、言っていたのは本当だったと言う事か。」
「当時の領主が意図的に隠したのか。当時の国王の命令なのか。
このどちらかな気がしますけど、今になっては分からないですね。」
「コーヤが話した通り、
元から地下への階段が開いた状態だったなら、後者のように思えるのう。」
「そうですね。当時の国の状況が分からないですけど、
わざわざ、邸宅にしたのには意味がありそうです。」
ソアリスさんは、その意味を考えているようだ。
「それで、僕達は開放するつもりではいるんですが、
あの場所は国有地で国王様の許可が必要になります。どうしますか?」
「コーヤよ。その施設は誰でも使えるのか?」
「管理者に聞いたら、
隠される前は国王や騎士団、冒険者、一般人に至るまで、使っていたようです。」
「そうか。今後の国の発展を考えるなら、開放以外になさそうじゃな。
それにしても、神殿の封印された魔獣に、北区の閑静な住宅街に修練の間か。
連続して変化がおこるのう。」
「わたしが住んでいた時は、
周りの皆さんが良い人ばかりだったので、大丈夫だと思います。」
国王様は、数分間、考える時間があり決断する。
「分かった。許可しよう。ちなみに、野ざらしにしているのか?」
「ありがとうございます。平屋建ての建物を設置しました。
見て貰った方が良いですね。ディスプレイOPEN、リアルタイム映像出力開始。」
僕はディスプレイの魔法で、フィンテルの元1代男爵邸宅跡地を映し出した。
「な・な・なんじゃ!!!これは!!!」
「コーヤ様!素晴らしいですね!この場所は、先程、言われた場所ですか?」
国王様は驚いているだけだが、ソアリスさんは、当然だとでも言うように喜んでいる。
「はい。わざわざ、現地に行くのは大変だと思ったので用意しました。」
「なんと。そのような魔法があるとは。オリジナルか?」
国王様は落ち着いたようだ。
「そうです。元々は、きれいな風景を見たり残したりしたいと思って考えたんです。」
「なるほどな。しかし、あの小さな建物だけだと、寂しい気がするのう。」
国王様は、ディスプレイに映る、修練の間がある平屋を見て、意見を言う。
「本当ですね。お父様。あの辺りに宿屋、休憩施設、飲食店とかがあれば、
人を呼ぶ事が出来そうですよ。」
ソアリスさんは、さすが、王位継承権一位だけあって、今後の青写真を意識しているようだ。
「コーヤよ。近隣との距離とか分かるようにならんか?」
「でしたら、もう少し、調整しますね。(周辺1キロ圏内を見えるように調整)」
「良い感じです。この土地も比較的、周りの建物と土地からも離れているので、
色々な施設を作っても苦情は出なさそうですね。」
「僕達も周りを確認しましたけど、問題は少ないと思いましたね。
まぁ、近隣に迷惑料として、施設の割引券とかを渡して置けば良いと思います。」
「確かにな。よし。ソアリスよ。関係者と話し合いをするから集めてくれ。
あ〜、あと、コーヤ。これらの魔法を売ってくれんか?」
「売る為に作ったわけでは無いんですけど。(苦笑)
でも、これは、僕以外に操作出来ないと思うので、今度、新しいのを作って来ます。
ちなみに、1個で良いですか?」
「ソアリス。どうする?」
「そうですね。王宮には死角が多くありますから、出来れば100個程あれば、
近隣の見廻りも含めてなんとかなると思います。」
「100個ですか。時間かかりますけど?」
「ああ。問題ない。自分のペースで作ってくれ。」
この後、国王様とソアリスさんは、執務室へと移動したので、
僕達もフィンテルに戻りヴィオさんとルクウェルさんに報告して、拠点に帰って来た。