最終更新日 2022/06/05

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30話 複製機

8月11日(木曜日)

「さて。魔獣退治も終わったし、今後の事を考えよう。」

現在頼まれている仕事は、ユヅキちゃんの家の整理、王宮図書室の整理。

ちなみに、土砂撤去は現在、全体の半分近くまでに到達。

「どちらを先に片付けるか。」

「図書室の方で良いと思いますよ?」

「う〜ん。そうだね。とりあえず、王宮の図書室を見てから考えよう。」

出迎えてくれたソアリスさんの案内で、図書室に到着した。

王宮図書室

「ここが、図書室になります。」

小ぢんまりした部屋をイメージしていたけど、
中に入ると、読書スペースや書くスペースも充実していた。

「この図書室は、私達の誇りの1つです。

防犯、防火、防水などの魔法がかけられていて、建国時に作られたと云われています。」

「はい。すごく立派な図書室だと思います。それで、僕達が見る図書は?」

「コーヤさん達にお願いしたいのは、一般の場所ではありません。」

図書室の管理人が、ソアリスさんに鍵を渡す。

「ソアリス王女様。こちらが、書庫の鍵です。」

「ありがとう。では、入りましょう。」

書庫に入ると、先程の一般向けとは違って、
古さや図書以外の物があるなど大きく異なっていた。

「ここには、建国当時の本など、貴重な資料が多く保管されているので、
お父様に認められた人物以外入れないようになっています。」

「なるほど。それで、僕達に整理して欲しいとの事でしたけど。」

「そうです。でも、厳密には少々異なっていて、この本を見て下さい。」

「あれ?これって、現在使われている言語ではないですよね?」

そう。近くにある本のタイトルを見ると、読む事が出来ない別の言語で書かれていた。

「はい。どうやら、過去には他にも言語が存在し、交流もあったようです。

しかし、現在は多言語を知る術がありません。それをどうするか?と言う事と、
特別室の品物を調べる事が出来ないか?の2点です。」

特別室と言う部屋に入ると、古めかしい品物がところ狭しと置かれている。

「多いですね。王家で見つけた物ですか?」

「そのようです。話によれば、建国時に見つけた品もあるらしいですが。
使える状態にしようと、色々な方法を、使ったけれどダメだったと聞いています。」

そこで、ふと、思う・・・。

「あれ?でも、これらの事って、神殿の遺産を使えば解決しませんか?」

「(苦笑)ところがそう上手くは行かないようです。

どうも、派遣された人達は、鑑定に携わった人間が少なく、
中身を知る事が出来ず、時間をかけてしまっているようです。」

「あ〜〜。解読する事が多かったから重心をそちらにしていた弊害ですね。」

「はい。まぁ、いきなり有益な資料が出て来たので、致し方ないとは思いますが。」

「でも、今後の事を考えると困りますよね?」

「そうなんです。今後、他の街でも過去の遺産が見つかるかも知れない。
その時に、すぐに内容を知る事が出来ないと。」

「難しいですよね。アイテム作ったりしても、向上心のある人間じゃないと、意味ないですし。
1番は有能な人材を募集して、今、働いている人を配置転換するとかが良さそうですが。」

「その件は、議論にはなっているんですが、スパイ等の可能性を考えると、なかなか。」

僕はある事を思いつく。

「いや。公開する範囲を明確にして、非公開の資料などは盗まれる前提で対応すれば、
なんとかなりそうです。」

「でも、あまり、お金をかけるのは・・・。」

「簡単ですよ。図書室全体の品物を全て複製する。

その後、公開範囲の品に、悪意を感知する魔法とかを付与する。

重要な品は、魔法の袋に入れて保管すれば良いんですよ。」

「ちょっと、待って下さい!複製するには、それなりに技術力がないと無理です。」

「その点は大丈夫です。(複製機を出す)これがあれば問題ないです。」

「それは、なんですか?」

「これは、複製機です。

拠点を買って、今後の事を考えると、量産したい素材をどうするか?を考えた時に、
複製すれば?と思い付いたんです。

ただ、質の低下が起きてしまいます。

しかし、本であれば、問題では無いと思います。微調整は必要だと思いますが。」

「あの!でしたら、お父様と話し合った方が良さそうなので、一緒に来て貰えますか?」

「分かりました。」

国王私室

国王様のいる部屋に移動。

「国王様。こんにちは。」

「ああ。良く来た。それで、図書室の事で話があると聞いたが?」

「話があると言う訳ではなくて、
ソアリスさんの質問に答えていたら、連れて来られたと言うか。」

「ソアリス?話が見えんぞ?」

「先程、コーヤ様と図書室でのお願い事について話ししていたんです。

その中で、図書室に保管している品物を複製して、魔法の袋に保管すれば?と言う案を、
頂いたので、お父様とすぐにでも、話しをした方がいいと思ったんです。」

「ふむ。確かに、複製に何か問題が起きても、本物さえ存在していれば安心出来る。
しかし、複製するには、高い能力を必要すると聞く。そこは、どうするのじゃ?」

「コーヤ様。お願いします。」

複製機を取り出す。

「これはなんじゃ?」

「これは、僕が必要になったので作った複製機です。書物であれば問題なく出来ると思います。
ただ、現存しない魔法とかがあった場合は、分かりませんけど。」

「ほー。何で使ったのだ?」

国王様は興味を持ったようだ。

「素材の量産化を考えていて、試しに作ってみた物です。
合成した魔法袋や植物の種なども、複製機で問題無く稼働出来ました。」

「え!?コーヤ様?魔法袋って合成出来るんですか?お父様は知っていましたか?」

魔法袋の合成について、知らなかったようで、2人はびっくりしている。

「あれ?王家であれば知っていて、有効利用しているのだと。」

「いや。わしも初めて聞いた。コーヤよ。どこの情報か?」

「僕は、神殿の遺産の中にあったレシピです。
慣れるまでが大変でしたけど、空間系に得意な人だとスムーズに出来ると思いますよ。」

「それは、そのレシピには、合成での作り方が書かれていたのか?」

魔法袋(無限)のレシピを見せる。

「ええ。これがレシピです。」

「お父様!すごいですよ!魔法の袋(大)も発掘された品を使っていますが、
これがあれば、遠征などで困りません!」

「コーヤよ。良くぞ、見つけた!他に有用なものは無かったか?」

「すみません。最近まで、魔獣の事で色々と忙しかったので、まだ、確認していません。

でも、王家にとって有用なものも、まだ、あると思うので、とりあえず、複製して、
王宮で調べて見た方が良いと思いますよ。」

「確かにな。ところで、この複製機はもう1つ無いのか?」

「自分以外に必要とする人もいないだろうと考えていたので、これだけです。
複製機に関しては、僕が操作するので、国王様には素材の用意をお願いします。」

「分かった。ソアリスよ。
コーヤと一緒に神殿の遺物と王宮図書室の複製品を作り、解析準備をしてくれ。
必要な素材は国庫から出して構わん。」

「分かりました!」

僕達は、王家の馬車でフィンテルに戻り、神殿の部屋を借りて、複製作業を開始。

8月12日(金曜日)

神殿に遺されていた過去の遺産の複製を始めて、
2日目で全ての複製を完了する事が出来た。

複製の過程で、解読や鑑定に必要な知識が書かれた本も見つかり、
今後、研究が捗ると思われる。

「ふぅ。やっと、終わりました。
コーヤ様のおかげで、他国に負けない国作りが出来そうです。」

「僕は、見つけるのを手助けしただけですよ。
お礼なら、これらを残してくれた人々にしましょう。」

「もちろんです。コーヤ様は、今後、どうするんですか?」

「ユヅキちゃんの家の整理と家の土砂撤去と設備の再建を、頑張って行くつもりです。
あ!?でも、図書室の件はどうしますか?」

そう。複製はしたけど、根本的な解決には至っていない。

「そうですね。とりあえず、神殿での複製品を調査します。
今後、また、アイデアを出して貰うかも知れません。
その時は、時間を作って訪問させて貰いますね。では。」

「はい。お待ちしています。」

ソアリスさんは、馬車で王宮へと向かった。

神殿の分は1日で完了したが、王宮図書室の複製分に1日を費やした。

王宮図書室の特別室には莫大な量があり、流石に複製機1台では時間がかかると思ったので、
複製機を5台作製し、同時に稼働させた結果、1日で終了できた。

ただ、結局、2日目も夕方近くまで時間がかかってしまい、ログアウトする事にした。

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