8月3日(水曜日)
次の日、イベント開始から4日目。
冒険者ギルドの空き部屋を借りて、宝箱の開封作業を行った。
ただ、残念なのは、自分達より先に宝箱を手に入れて、誰かが、
冒険者ギルドに報告されていた為に、宝箱入手したと言っても、全然驚かれなかった事。
誰なんだろうか?
レイドボス有効装備品箱と消耗品箱の個数は、全員のを合わせると283個あった。
消耗品は、体力回復・魔力回復・各種状態異常回復・生産加速がランダムで手に入り、
足りないのもあったから大助かり。
装備品の方は、想像を超えていた。
「ねぇ。こんな装備品でないと、あの魔獣倒せないの?」
「のようね。うちらが持っている装備品でダメージ入らないのは納得。」
「うん。店とかで買おうとしたら、どれだけかかるんだろうね。」
「でも。これって、わたし達の袋に入らないよね?」
「あ〜〜〜!これだけの量だもんね。売る?」
「それしかなさそう。区分けして、1番効果のある物を装備しよう。
そして、予備も分けて、本当に使わない物から売りに出そう。
上手く行けば、魔法袋(中)を買えるかも。」
「うん!そうしよう!」
受け付けのお姉さんに相談すると、ギルドで使っている魔法袋(大)を貸してくれた。
「え!?良いんですか?こんな、貴重な物借りて。」
「ギルマスとも相談してね、誰にでも貸すわけではないけど、
あなた達なら問題ないと思うから。」
「ありがとうございます!!すぐに返しに来るので、少しの間お借りします!」
私達は、運良く袋を借りる事が出来たので、全て袋に入れて、まずは武器屋に来た。
「すみません!!武器売りたいんですけど、良いですか?」
「お〜、いらっしゃい。何を売ってくれるんだ?」
「多いので、まずは、これだけを。」
受け付けカウンターに置けるだけ、とりあえず置いて、査定して貰った。
「(鑑定しながら)おい。お前達。これをどこで手に入れた?」
「これは、ダンジョン産ですよ♪」
「ダンジョンって。神殿の地下のだろ?確か、誰も見た事がないって筈だが・・・。」
「ええ。私達も最初はそう思っていたんですが、探して見るとあったんです。
それで、まだ、あるんですけど、金額はどれくらいになりそうですか?」
「ちょっと、待て!こんな高価な物はこの店じゃ買い取れねぇ。」
「ええぇ〜!嘘でしょ。」
「本当だ。嘘じゃない。これだけの特殊能力が付与されているんだ、
最低でも金貨3枚以上になっちまう。そんな金は無いんだよ。」
「はぁぁぁ。そんなぁ。」
私達の話を聞いたからなのか、冒険者の女性パーティーが近付いて来た。
「ねぇねぇ。じゃあさ。私達に売ってくれない?ダメ?かな。」
この人達が買ってくれるみたいだけど・・・。
「え?別に構いませんけど。ただ、こちらは正規の値段が分からないので。」
「それじゃあ。武器屋の親父さんに査定して貰った金額を払うのでどう?」
「良いんですか?わたし達はそれで別に構わないですけど。」
「ありがとう!!ふっふっふっ!これで、イベントも前に進めそう!」
「おいおい!独占するつもりか!俺達にも買わせてくれ!!」
近くにいた、冒険者達が押し寄せて来た。
「分かった!分かった!俺が査定するから。で、嬢ちゃん達、売る品はどれだけあるんだ?」
「え〜と、約200個かな?ねぇ?」
「うん。確か、そのくらい。」
「ようし!約200個程装備品があるらしい!嬢ちゃん達に迷惑かけずに買うんだ!いいな!」
「お〜〜〜〜〜!!!!!」
最初は、少ない人数だった売却も、話を聞きつけて来た冒険者で店があふれ、
人数が多いという事で、噴水広場に場所を移し、オークション形式での落札に変更された。
最終的に、私達の売上は金貨で800枚にもなった。
「ははは(苦笑)すごかったね。こんなになるなんて。」
「本当。でも、これで、活動しやすくなった。」
「ねぇねぇ。早く、ダンジョン産装備品の効果確かめに行こうよ!」
ダンジョン産装備品の効力は凄まじく、今まで、ダメージが100程度しか出なかったのが、
平均1万を超える値を出す事が出来た。
「行ける!行けるよ!この装備があれば、今までの遅れを取り戻せるよ!」
「確かにね。後は、宝箱回収しながら。足りない装備を見つける事だね。」
「うん。敵の体力は4日目後半になったのに、まだ、1割しか削れていない。
期限までに倒せるかは微妙かも。」
「シエル!大丈夫だよ!だって、まだまだ、夏休み中なんだから!!」
「ははは(笑)ミュウらしい。少々の無茶は出来るから、なんとか、挽回しないとね。」
この後、ダンジョン産装備品の話はどんどん広がり、ダメージが入らないと
魔獣討伐をリタイアした人達が、戻って来た事によって、魔獣の体力は削られて行った。
その中で、私達も装備を揃えつつ、ポイントを着実に加算して行った。