最終更新日 2022/06/05

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27話 困惑

コーヤに前衛強化魔法のテストに選ばれたのは、
プレイヤーのシエルだった。

そのシエルは、宿屋に戻っても浮かない顔をしていた。

「なぁ〜に?シエル、難しい顔をして?」

「そうそう。大金星を上げたんだから喜んだら?」

メンバーから喜べと言われるけど、私は素直に喜べなかった。

「むぅ。だって。あれはおかしい。
今まで、同じ武器で攻撃しても、あんな簡単に、斬れなかったのに。」

「そうは言っても、実際に斬って、たくさんのポイントゲット出来たんだし。」

「そうなんだけど、首に剣を刺すタイミングで、
後ろから支援魔法が飛んで来たように思うんだけど。」

「私も、シエルの話している通りだと思うんだけど、
最深部の一番後ろから支援魔法が来たように感じたんだよね。
シエルの動きに集中していたから、正しいかは分からないけど。」

ミスリが気が付いていたようだけど、人物を特定できる情報を持っていなかった。

「でもさ。確か補助や支援魔法は有効距離短くなかった?
最深部の部屋の後ろから、前線のシエルまで相当距離あるよね?」

シルファが疑問を口にする。

「とりあえず、みんな。ログアウトしようよ?疲れているし、
現実の世界でお風呂に入れば、良い考えも出て来るんじゃない?」

コトハによる提案で、ログアウトする事にする。

「うん。ごめん。ログアウトしよう。」

ログアウトし、シエルはお風呂でも、部屋でも、1人で考えていた。

「(かちゃ)羽衣〜。ご飯だって。まだ、考えていたの?」

「うん。別に、支援して貰ったからじゃなくて、あの魔法があれば、
今のギリギリの状態から脱却出来るんじゃないかって。」

「ああ。確かにね。ダメージ量を増やす魔法があれば、もう少し、ダメージ入りそうだしね。
でも、ネットでもそんな魔法発見されていないから、誰かが創ったのかな?」

「そうかも知れない。魔法をかけてくれた人は、相当、敏捷な動きが出来ないと、
あのタイミングで、魔法をかけるのは出来ないと思うし。」

「まぁ。とりあえずは魔獣退治の期間はあと3日しかないんだから、集中して行こうよ!」

レイドイベントも、あと、3日となっていた。

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