最終更新日 2022/06/05

※Social Postage Stamps

    ライトノベル へようこそ Welcome to novel

Infinite Alternative World(インフィニティ・オルタナティブ・ワールド)
〜探索は食から(仮)〜


6話 魔族討伐

王宮

ざっしゅっ、ざっしゅっ

「はぁ。はぁ。はぁ。斬っても斬っても切りがないわ!」

王女であるソアリスは、王宮内にいる魔族を倒すべく、
お付きのウェンディと共に、奮闘していた。

「姫様はお逃げ下さい!」

「出来るわけ無いでしょ!(ざっしゅっ)」

「しかし、このままでは、物量で押され、王家が滅亡してしまいます。(ざっしゅっ)」

その時、国王を殺害した魔族が、近付いて来た。

「くくく。ここにいたか。生きがいい。俺の研究にもってこいだな。」

「あなたね。お父様を殺したのは!」

「そうだ。魔王様から、先遣隊を命じられたからな。
期間は一ヶ月だったが、1日で目的が達せられそうだ。はぁーはっは(大笑い)」

魔族は高笑いをする。

「私としても、わざわざ、探す必要が無くなったわ。覚悟しなさい!」

ソアリス王女は魔族へ攻撃を仕掛けるが・・・。

「む。あの老いぼれ。まだ、生きていたか。生きの目の止めておこう(消える)」

「なっ!(攻撃が空を斬る)」

「姫様!まだ、国王様は生きているようです!謁見の間に急ぎましょう!」

「そうね!ウェンディ、行きましょう!」

ソアリス王女とお付きのウェンディは、急ぎ、謁見の間に向かった。

謁見の間


コーヤSIDE:

僕はルクウェルさんの準備が整う10分程前に、
王都に来て、王宮内の謁見の間に向かった。

最初の早馬では、国王様は殺害されたとあったが、
僕は、仮死の可能性も考えて急ぎ向かう事にしたのだ。

「到着っと。」

謁見の間に到着し、辺りを見渡すと、報告の通り、親衛隊は一撃で倒された跡が見える。

国王の座には、女性が国王様と思われる人物を、抱きしめながら泣いていた。

「すみません。抱きしめている人が国王様ですか?」

近づいて、話しかけてやっと、女性は僕の存在に気が付いた。

「(泣いている)あなたは・・・。」

「僕は冒険者でコーヤと言います。
詳しい話は後にして、もしかしたら、国王様はまだ生きているかも知れません。」

「それは本当なの!?」

女性は急に元気を取り戻した。

「はい。仮死の可能性があります。確認して良いですか?」

女性に確認すると、こくんと頷いたので、すぐに鑑定で確認すると、仮死状態とあった。

そこで、ダンジョンで見つけた本の中を出して、仮死状態を回復させる魔法のページを出す。

「確認すると、仮死状態と分かりました。

それで、これから、状態を回復させる魔法を使います。

なので、申し訳ないですが、国王様の体を、床に置いて貰えますか?」

女性は、僕の指示の通り、抱きしめていた国王様の体を、
床に置き、場所が狭いので、自分は国王様の横の席に座った。

「では!仮死状態解除!」

魔法を発動させると、国王様の体が光出し、全身に光が吸収されて行く。

そして、3分程待つと、国王様が動き出した。

「う・・・、(体を起こす)わしは、確か・・・。」

「(目に涙を溜めて)あなた!(抱きしめる)」

その状態に、国王様が目を白黒させる。

「王妃よ。どうなっているのだ?わしは、死んだのではないのか?」

「(ぐすっ)ええ。私も死んだと思っていたわ。

その時に、こちらのコーヤさんが、仮死状態と教えてくれたの。

そして、先程、仮死状態を解除する魔法で、あなたが回復したのよ。」

「そうか。コーヤよ。ありがとう。
今はまだ、体を上手く動かせんが、後ほど、礼をさせてくれ。」

そんなタイミングで、襲撃した張本人の魔族が、謁見の間に入って来た。

「くくく。老いぼれは死んでおれば良いものを。今度は確実に死を与えてやろう。」

「貴様は!あの時の魔族!」

魔族は、国王の座の前の階段まで近づいて来て消えた。

「なんじゃと!」

しかし、僕が予測して設置していた罠に引っかかる。

「ほう。俺の隠密を解除したのはお前か?」

魔族は、僕の方を向いて話して来た

「え。あれで隠密ですか?気配がダダ漏れですけど。」

煽ってみると、予想通り、魔族は怒った。

「なんだと!俺の気配がダダ漏れだと!」

「ええ。本当に隠密行動するなら、これほどしないと。」

僕は、現実世界でも使っている様に、気配を消しながら、
魔族の背中に、スキル吸収札・魔力吸収札・体力吸収札の3枚を貼る。

「なんだと!?気配が見えない!?」

札を貼り付けると、魔族の後ろから現れる。

「どうです?自分の気配がダダ漏れだと気づきました?」

「くっ!(攻撃して来る)」

魔族は振り向き様に、攻撃を仕掛けて来るが、当たらない。

「ちっ!」

この様な状況の中に、女性二人が、謁見の間に飛び込んで来た。

「お父様!!」

「おお!ソアリス!無事だったか!」

「もちろんです!魔族を倒すので、待っていて下さい。」

ソアリスと呼ばれた女性が、魔族へ攻撃を仕掛けるが躱される。

「俺はこの程度の剣技では死なん。それに、まだまだ、切り札はある。」

魔族は、攻撃を躱しながら、そんな事を話すが、
徐々に札の効果が出て来て、躱す事が出来なくなる。

「ちっ!なぜだ!体が重いだと!貴様!何をした!」

魔族は、僕に向かって叫んで来た。

「なぜ、敵である、あなたに教えなければ行けないんですか?」

「はぁ。はぁ。はぁ。くっ!」

魔族は、動く事もままならず両膝を付く。

「これで終わりです!」

ソアリスさんが、魔族の頸を刎ねると、
何かを企んでいる様な顔で、消えてしまう。

ちなみに、魔族に貼った札は回収済み。

「はぁ。はぁ。はぁ。やっと、終わった?うっ!」

ソアリスは、一瞬苦しむも、その後に憑依されてしまう。

「くくく。これで、手を出せまい!後は、好き放題させてもらおう。」

「ソアリス!!!」

「残念ですが、あなたの思惑通りには行きませんよ?」

「くくく。なんだ?苦し紛れか?」

「まさか。そもそも、魔族なら憑依のスキルを持っていても、
なんら不思議では無いので、十分に予測圏内です。

なので、当然、それに対処する方法は、既に設置済みです。」

「ほう。見せて貰おうか。」

魔族は勝ったつもりで、周りを確認していなかった。

魔族とソアリスさんの戦闘中に、細工をしていて、
憑依した霊を感知し、自動で回収するアイテムを使っていた。

徐々に、アイテムが出すベールが、ソアリスさんを取り囲んでいく。

「うん?なんだ、このベールみたいのは。」

その言葉を最後に、魔族の霊体は”光の牢獄”に収納される。

「なっ!なんだ、これは!?」

「姫様!大丈夫ですか!」

お付きの女性が、倒れるソアリスさんを支える。

「う・・・うん・・・。(はっ!)私はなにを!?」

「姫様、無事で良かったです。」

「ええ。それで、どうなったの?」

「姫様、こちらを見て下さい。」

お付きの人が、指差す所には、魔族の霊体が”光の牢獄”に捕まっていた。

「ふん。良いだろう。今回はお前達の勝ちだ。しかし、俺は必ず、転生し、お前達を潰す!」

「そんな事はさせないわ!」

「え〜と、姫様が良いですか?それとも、王女様が良いですか?」

「え〜と、あなたは?」

「僕はコーヤと言います。詳細は後にして、この”光の牢獄”を設置した者です。」

「ありがとうございます。(お辞儀)」

「そこで、こちらを使って下さい.(小剣を渡す)
霊体ですので、普通の剣で滅ぼすのは無理だと思います。」

「確かにそうね。この小剣は効果があるのね?」

「ダンジョンで見つけたんですが、鑑定したら、霊体へのダメージが2倍とありました。」

「それは良いわね。では、お借りします。」

ソアリスさんは、小剣を受け取り、呼吸を落ち着かせると、
一撃で霊体に大ダメージを与えて、魔族は絶叫しながら消滅した。

「ふうう。これで本当に首謀者を退治出来たわね。(小剣を渡す)
コーヤさん。この様な小剣を使わせていただき、ありがとうございます。」

僕は小剣を受け取り、外で戦っている人の援護に行く準備をする。

「では、僕は、王宮内と王都で戦っている人達の援護に入ります。
まだまだ、魔族が入り込んでいるかも知れないので、2人はここの防衛をお願いします。」

「すみません。本来であれば、私がしなければ行けないのに。」

ソアリスさんは、申し訳ない顔をしている。

「大丈夫ですよ。気配を辿ると、冒険者と騎士団で9割近く倒せているようですから。」

「よろしくお願いします(深々と頭を下げる。)」

王都

王宮内は、騎士団などが入り込んだ魔族を倒した様で、ほぼ沈静化していた。

その後、王宮から王都に出ると、後片付けをしている場所や、
その場所の警固をしている人がいて、こちらも時間の問題の様だ。

僕は、状況を知る為に、ルクウェルさんを探して移動した。

「ルクウェルさん。お疲れ様です。あと、どれだけ残っていますか?」

「おー!コーヤ!俺達が援軍に来た事で、逃げた魔族も多くいたから、
短時間で沈静化出来そうだ。

それで、国王様はどうだ?」

「安心して下さい。予想通り、仮死状態で止まっていました。

あと、首謀者も倒しておいたので、ここに残っている魔族を倒せば終わりです。」

「そうか!それは良かった。国王様が亡くなれば、荒れるかもしれん。
それを阻止出来たのは大きい。」

僕達が話していると、1人の男性が近付いて来た。

「ルクウェル。お前達の援軍で、王都の防衛を出来た。感謝する(頭を下げる)」

「俺達も、王都が陥落すると、次は自分達だからな。他人事ではない。

それに、ここにいるコーヤがダンジョンで、レシピなどを見つけて来なければ、
援軍に行けても、時間がかかり陥落していた恐れがある。

コーヤに感謝だな。」

「そうか。お前がコーヤか?俺は王都騎士団の団長をしているソレイエルだ。
今回は助かった。礼を言う(深々と頭を下げる)」

「僕もこのタイミングになったのはびっくりですが、上手く行って良かったです。」

「それでだ。コーヤ。魔族の気配を辿れないか?」

ルクウェルさんから、お願いをされたので索敵範囲を広げた。

「ちょっと待って下さい。(索敵範囲を拡大する)見つけました。」

この後、僕が指示した場所で、隠れていた魔族を倒し、後片付けに入った。

謁見の間

僕とルクウェルさんとソレイエルさんの3人で、謁見の間に行き報告する事になった。

「国王様、良くご無事で!しかし、王都騎士団でありながら、
国王様を守れなかったのは、申し訳ありません。(深々と頭を下げる)」

「それは、騎士団だけの問題ではない。わしも対策を考えておくべきだったのじゃ。
だから、王都に住む者みんなが、今回の事を教訓としなければなるまい。」

「はっ!ありがとうございます!」

「そちらは確か、フィンテルの冒険者ギルドのギルドマスターだったか。
今回は、そなた達の援軍が無ければ、もっと多くの死者が出ていただろうと思う。感謝する。」

「ありがとうございます!」

「最後に、コーヤは今回の一番貢献してくれた。感謝する。
本来であれば、ある程度復旧したあとで、功労者には褒美を出すのじゃが。

今後の事を考えると、申し訳ないが、落ち着いた後になるだろう。」

「僕は構いませんよ。そもそも、僕は冒険者ですし、ダンジョン探索で大金を手にしました。
それに、お礼の言葉も貰えましたし、復旧を最優先して下さい。」

「ありがとう。そうさせてもらう。」

「さて、では僕達は、フィンテルに戻りましょうか。ルクウェルさん。」

「そうだな。」

「待って下さい!」

ソアリスさんから待ったがかかった。

「この後、祝賀会を開きます。皆さんも出て貰いたいのです。」

「う〜ん。それは、王都の騎士団や冒険者ギルドの人達の、
頑張りに報いる方向でお願いします。一番頑張ったのは、その方達です。」

「そうだな。ソアリス王女。俺達が来るまでの時間を稼いでくれたから、
今回の様に、上手く行ったのだ。

俺達は、フィンテルで亡くなった者達を追悼しなければ行けない。」

「そうじゃな。ソアリスよ。皆を招いてする祝賀会は、皆が笑いあえる状況を作ってからじゃ。
そうでなければ、心から楽しめまい。」

「分かりました。あの!その時には、是非、参加して下さい!」

「もちろんだ。なぁ、コーヤ。」

「その時を楽しみにしていますね。」

こうして、王都陥落は免れたが、課題は山積みになった。

Copyright © 水晶光矢 All Rights Reserved.