最終更新日 2022/06/05

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Infinite Alternative World(インフィニティ・オルタナティブ・ワールド)
〜探索は食から(仮)〜


1話 懸賞に当選

4月4日(土曜日)

今、僕の前には賞品がある。

現在は、どうしようか?と思案中。

今年1月にネットで開催していたキャンペーンに当選したのだ。

梱包されたダンボールを開けると、
キャンペーンへの応募のお礼と当選した事へのお祝いの言葉が書かれた一枚の紙が入っている。

賞品は下記の二点。

・「VR機」本体(アクアレストコーポレーション製、Ultimate版)
・「VRMMORPGIAW2」(Ultimate版)

世界各国で「VR」の研究が進み、
脳波によるセキュリティ技術などを医療方面で、主に利用されていた。

その技術が、後にゲーム技術に応用された事により、
仮想現実の世界をある程度安全・安心に旅を楽しめる事になったと言われている。

今回、当選したハードは、現時点で最高品質と言われている程で、
手元の「Ultimate」バージョンは最低でも30万円する商品となっている。

また、ゲームパッケージは豪華な仕様になっていて、
中には、キーホルダーなどの現物と、ゲーム内で使えるアイテムが同梱されている。

他に、「VR機」に差し込んで使うチップ(SSとアイテムの保存・制限なし)が、
同梱されていて、通常版よりも少々特別仕様のようだ。

ちなみに、このチップに保存されたSSとアイテムは、高遮断技術により、
不具合等での消失を防ぐ。

と、これだけすごい製品が懸賞で当選すれば、普通なら大喜びするのだけれども、
僕は違っていて、逆に不安になってしまっている。

幸運と不運の関係は、天秤の重りと考えていて、不幸により不運に傾いた天秤には、
後に、同じだけの幸運が舞い込み、最終的には、天秤は釣り合う事になる。

であれば、過去において今回の幸運に見合うだけの不運があったのかと言うと、
両親の事故死があるが、どちらが重いのか判断が付かない。

でも、悲しい出来事だったけど、周りの人のフォローや色々な出会いもあり、
帳尻は合っていると思っている。

と言うことは、今回の幸運は「未来」からの借りではないかと、
恐れている為に配達されて1時間程経った今も、賞品をどうしようか?と思案しているのだ。

遅くなったけど、ここで、自己紹介。

名前は水晶光矢、年齢は15歳で
2日後の4月6日に高校の入学式があって高校生となる。

そして、6歳の時、両親の事故死により、親戚に預けられて育ち、高校入学を機に
親戚宅から独立し、高校まで歩いて20分の位置にあるアパートを借りて一人暮らしを開始。

そんな時に投下された爆弾である。

「うーん、お金には困っていないけど、嫌な感じしかしないし売ろうかなぁ。」

今までにも「嫌な感じ」の時は、だいたい、その後に問題が起きた。

「とりあえず、放置しておこう。」

そう決意し、ダンボールを部屋の隅に移動させた。

4月6日(月曜日)

今日は高校の入学式。

「橘学園」の高等部に入学する。

この学園は小学〜大学・大学院まで運営する、国内でも大きな教育機関の一つになっている。

8時20分頃学校に到着すると、校舎の玄関先では、掲示板にクラス分けの紙があった。

紙を見るとA組のようだ。

ちなみに、僕達の世代は少子化の影響で人数が少ない為、
全国平均で2クラス(60〜80人)となるが、橘学園は様々な努力の結果、
1年〜3年まで各4クラス(120〜160人)と平均の2倍の人数を集める事に成功している。

1-Aの教室

がらがらがら

教室の扉を開けると半数近くの人が居て、喋っていたり、携帯端末をいじっていたりしていた。

あとで、席替えがあるので後ろの扉側に空いていた席に座る事にした。

「よう、光矢!ここでも、一緒のクラスみたいだな。」

「ああ。おはよう。よろしく。」

声をかけてきたのは、中学校3年間一緒のクラスだった、陸原海人だ。

「光矢は、1月1日に販売開始になったゲームをしたか?」

「TVCMだけでなく、ネットCMも多く出しているゲームね。

そう言えば、中学の頃も言っていたよね。

僕も興味があるけど、まだ、した事無いよ。」

「そうか。確か、近くのゲームセンターでも開放した様だったから、聞いてみたんだが。」

「う〜ん。そもそも、僕はその辺りを通らないし。」

「それもそうか。」

席替え後

朝礼後、体育館に移動し、入学式を行った後、クラスに戻り、席替えをした。

「初めまして。牧ノ原鈴音よ。よろしくね。」

「うん。僕は水晶光矢。よろしく。」

「そう言えば、朝、楽しげに話していたけど、知り合い?」

「そうだね。中学校3年間一緒のクラスだった人がいたんだ。
まぁ、ほとんど、ゲームに誘うつもりだったみたいだけど(苦笑)」

「ゲーム?」

「ほら。IAW2と言う略称で販売しているゲームあるでしょ?」

「ああ。CMがすごいゲームね。水晶君はしているの?」

「僕はまだしていないよ。そもそも、VR機やソフトが高いからね。」

この後、プリントを配ったり、注意事項を聞いたりして、
入学式のみなので解散。

帰宅後

昼食を摂った後に、明日の授業の復習と予習をする。

午後3時頃には、予習復習も終わる。

「さて、この後、何しようか?」

夕食を作るのは、午後6時頃だから、まだ、3時間もある。

そこで、まだ、設置していなかった、VR機のセッティングをする事にした。

嫌な気がしないわけではないけど、やはり、高額商品を眠らせておくのは勿体無い。

全てが完了したのは、1時間半後の午後4時半。

「よし。冒険者登録だけしておくか。」

こうして、僕はゲームの世界に旅立った。

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