最終更新日 2022/06/05

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52話 オークションの成果

9月11日(日曜日)

僕達は約束していたユカリさんのいる道具屋へとやって来た。

からんころん

「おう。いらっしゃい。待ってたぜ。お〜い!ユカリ!」

「は〜い!(階段を降りて来る)来たわね。2階で話すから入ってちょうだい。」

2階へと移動した。

「どうぞ。座って下さい。」

ユカリさんの正面に座る。

「まず、コーヤさんから預かった魔法袋(中)を返すわね。」

そう言うと、机に袋を置いて、話を続ける。

「オークションに出品したのは、預けてくれた1500個から206個よ。

前にも話ししたけど、コーヤさんとユヅキさんの研磨技術は、国の中でトップクラスなの。

だから、全て売りに出すと、値崩れして大変になるから、
極大・大の206個に絞らせて貰ったわ。」

確かに、1500個のきれいな宝石が、市場に出回れば、値崩れするだろう。

「分かりました。確かに、多すぎかなって思っていましたし、
最近になって、小さい宝石の使い道が出て来たので、僕達としても問題ありません。」

隣でユヅキちゃんも頷く。

「ありがとう。そう言って貰えて助かるわ。
それで、売上金額は袋に入れてあるから見て貰える?」

言われた通りに、宝石は小から中にかけて1294個あった。

金額を見ると、信じられない数字が目に飛び込んで来て、
隣を見るとユヅキちゃんも、びっくりしていた。

「え!?ちょっ!?何ですか!この金額!」

「うん。うん。分かるわ。その気持ち。私もオークション会場で、
どんどんと釣り上がって行く金額に、似たような気持ちになったもの。
乾いた笑いにしかならなかったわ。」

当時を思い出したのか、ユカリさんは頷きながら苦笑いした。

「それにしたって、おかしくないですか?」

「特に凄かったのは、やはり極大ね。最初に売り主が最低金額を決めるんだけど、
黒金貨1枚からってしたの。あれだけの大きさだからね。買取金額も、小刻みに動いて、
最終的には、黒金貨7枚程度で落ち着くかと予想してたんだけど、ぶっ飛んでいたわね。」

「なるほど。あるところにはあるんですね。」

「本当、全くよね。それで、1番大きな宝石は黒金貨200枚。

ひと回り小さい5個は、合計で黒金貨750枚。

大の大きさの200個は、合計で黒金貨2000枚。

総合計で黒金貨2950枚となるわ。

ここから、参加費用として売上金の1%で黒金貨29枚、
私への報酬と手数料で黒金貨1枚の計黒金貨30枚を引いた黒金貨2920枚が、
コーヤさんの取り分となります。袋の金額を確かめて貰える?」

この代金の内訳を聞いて、改めて、あるところにはあるんだなと思った。

ただ、分からない事があったので聞いてみた。

「え〜と、質問良いですか?普通、参加費用って、売上金の5%とかじゃないんですか?
それと、ユカリさんの取り分少なくないですか?」

「コーヤさんの言い分も分かるわ。確かに、通常なら、参加費用で取られるわ。
私の報酬も、依頼を受けたのはコーヤさんが初めてだけど、
今後、同じように、仕事にするなら、売上金の1%は最低になると思うわ。」

「でしたら、あと、黒金貨28枚足りないですよね?」

僕は、袋から黒金貨を取り出そうとするが、ユカリさんは全力で止めに入る。

「出さなくて良いから!はぁ。はぁ。はぁ。

黒金貨1枚あれば、私達父娘のように、普通に暮らして行くだけなら、
上手く使えば一生のお金を手に入れたのも同じなの。

だから、コーヤさんの知り合いに店の紹介してくれるだけで、すごく助かるのよ。」

袋からお金を出そうと考えていたが、思い留まった。

「分かりました。無理に押し付けるのも違うでしょうし。
僕達で力になれる事があれば、教えて下さい。頑張りますので!」

「ええ。その時は頼らせて貰うわ。」

こうして、コーヤは思いがけず、大金を手に入れてしまうのだった。

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