最終更新日 2022/06/05

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124話 足りない何か

3月25日(火曜日)

この日、第五エリアのエリアボス討伐について、カイトとオリエさんから相談をされた。

「相談と言うのは、第五エリアボス討伐する為の武器を作って欲しい。」

「そのエリアボスの強さは?」

「第五エリアボスは、4回変異するし、
最終形態だと攻撃力・防御力・スピードが飛躍的に上がって、太刀打ちできなかったわ。」

オリエさんが補足してくれる。

「なるほど。やはり、魔族再襲来時の装備だと無理という事か。」

ちなみに、第四エリアボス戦で使った武器は回収済み。

「そうなのよ。なんとか、最終形態まで持っていったのだけど、
途中で溜め技を使うんだけど、そこで負けてしまうの。」

黒古龍王変形武器《ウィンドラス》と防具カード、
アクセサリーを5人分、机に置く。

「コーヤ。これは?」

「覚えている?

去年の9月の防衛戦でポイント交換出来る中に、
古龍の装備素材と龍王の装備素材があったから、考えもなく10個ずつ交換したんだ。」

「という事は、イベント素材を使っているのね?性能はどうなの?」

オリエさんが聞いて来た。

「まず、名前はウィンドラスで登録。

剣・槍・弓・杖を古龍・龍王・古龍王のイベント素材を入れて作って合成したのがこれ。

1つの武器で攻撃力は25万、耐久力は30万。

柄にある魔宝石には魔法陣で、攻撃力上昇効果などを付与したよ。

魔宝石を4つ付けたから、4段階上げる事が可能。他にも、隠し玉や切り札も付けた。」

「すげぇ。これがあれば、第五エリアのラスボスも倒せるんじゃないか?」

「さてね。それは、こちらには分からないよ。

天空の島の期間に、考えうる最大値を武器・防具・アクセサリーにつぎ込んだ。

まぁ、これでダメなら、他に考えるしか無いけどね。」

「コーヤ。貸してくれるのか?」

「うん。とりあえず、ここに出したのは、複製機を使って複製した物だから、
好きに使って良いよ。

ただ、テストはしていないから、さっき言った性能が出ないかも知れない。」

「いや。それで十分だ。イベント素材で作った防具はどんな感じだ?」

「今回は、古龍・龍王・古龍王の三種を混ぜて使ったけど、
最上位の古龍王だけなら、もう少し、防御力が高くなるかも知れない。

ただ、魔法陣で強化しているし、ダメージ軽減には役に立つと思うよ。」

「ありがとう。もう一つ、私達の装備を修理して貰えないかしら。

結構、痛い目を見たから、耐久力も減っていて、エリアボスに再戦するには厳しいわ。

やはり、保険が無いと安心出来ないから。」

「了解です。

代金は、お金じゃなくて、珍しい品物や創作のヒントになる物とか持って来てよ。

多くあるんなら、こちらで調べるから、全部持って来て。」

「分かった。修理が終わった時に、拠点から持って来る。」

5人分の装備を修理するのに、4日で終わる事を伝えて帰って貰った。

3月29日(土曜日)

「おお〜!きれいになって戻って来た!」

「コーヤくんありがとうね。すごく助かったわ。」

他のメンバーもありがとうと感謝を口にする。

「まぁ。これは、僕にしか修理出来ないし。それより、持って来てくれた?」

「ああ。最近、整理していなかったから、整理も兼ねて探したら、色々な物が出て来た。」

「へぇー。本当。面白いのもあるね。」

「俺達じゃ必要無くて、捨てる物ばかりだから、コーヤ全部お前にやる。」

鑑定していくと、戦いに役に立つ品が数点あった。

「カイト、良いの?特に、これから必要になりそうなのに。」

「は?どう言う事だ?一応、鑑定はしたが、良い結果は出なかったぞ。」

メンバーも首を傾げている。

「僕の鑑定レベルは31だからね。詳しく教えてくれるんだよ。

例えば、このネックレス。身代わりのネックレスで、
この窪みに魔石か宝石を嵌めると、一回限定だけど、死に戻りを防いでくれる。」

「なに!?そんな、アイテムもあったのか。コーヤ、他には無いか?」

「う〜ん。この腕輪も身代わりだね。しかも、嵌め込み場所が3つあるから、前衛向き。」

「コーヤさん!後衛のは無い!?」

ユニさんが、前のめりに聞いて来た。

「弓持ちなら、ターゲット補正の指輪。あ、でも、魔法使いでも、良いかも。

あと、このメガネは、遠距離を確認出来るから、千里眼の分類かな。

他は、装備系で使えるのはなさそうだね。」

「身代わりが2つに、ターゲット補正、千里眼と4つもあるとは。

鑑定スキル上げないとダメだなぁ。」

「コーヤさん。他にも、指輪とかありますけど、これは?」

「これは、効果が薄い奴だよ。ただ、低級に偽装されたのは、今の僕では分からないな。」

「へぇー。レベル31の鑑定でもだめなんだ。

でも、低級に偽装って意味があるの?」

「場合によりけりかな。でも、そうそうあるわけでないし、
残りの品は、普通に能力が低いんだと思うな。

ただ、初心者や新人さんには、スタートダッシュするには適してそうだね。」

僕とユニさんが話ししていると、カイトが謝って来た。

「コーヤ、すまん!」

「別に構わないよ。僕は前線には、ほとんど行かないし。」

カイトが、先程の装備類を袋に入れる。

「それで、これが、持っていると怖いからと受け取らなかった、
今回の第五エリアボス用の装備品が入った魔法袋(小)だ。」

魔法袋(小)をカイトに手渡す。

「中に説明書を入れておいたから読んで。」

「助かる。回復アイテムも多く買ったし、装備も揃った!

今回で必ず第五エリアボスを倒そう!一番乗りだ!コーヤ、行って来る!」

「いってらっしゃい。」

後に残されたのは、カイトが持って来た物達。

偽装解除の本を見つけて、試して見るが、反応がなかった。

「う〜ん。ユニさんには、ああ言ったけど、鉄製装備はそのまま溶かそう。

付与されている能力は、高くないから、気にしなくて良いか。

次に紙系だけど。普通紙50枚、魔法紙30枚、これは宝箱から出たのかな?

他には、創作のヒントになりそうな装備品くらいか。うん?これは。」

そこにあったのは、文庫本サイズの本で、中には何も書かれていない。

ところが、鑑定すると、深層心理を見る事が出来ると書いてある。

「ふむ。相手の心が読めれば対処し易いかな。要検証だな。」

3月30日(日曜日)

午後3時

装備を貸した翌日、カイトとオリエさんが報告に来た。

「コーヤ。ダメだった。」

「ダメ?何がダメだった?」

カイトは、腕を組みながら考え話し出した。

「第4形態で体力残り10%になってから、ダメージが入りにくくなった。」

「もう少し詳しく話すと、第4形態の体力は1000万近くあったの。

それで、コーヤくんから借りた装備を使って、順調に削って行ったのだけど、
10%を切ると、なぜか、10分の1程度まで減ったの。」

オリエさんが補足してくれた。

「ちなみに、物理と魔法で同じダメージ量?」

「う〜ん。そこまでは気にしていなかった。なぁ、オリエ?」

「そうね。でも、10%切った時のダメージは、魔法の方が高かった気がするわ。」

「なるほど。

魔法のダメージが高いけど、倒すまでには行かなかったという事は、
裏ステータスの魔法関連が低いからかも知れないな。」

「ああ。以前にも話していたな。

仮に、魔法関連を上げるとして、どうすれば良い?」

「例えば、常時、魔法剣状態にするとか、可能な限り物理だけでは戦わないとか。」

「それって、アカネちゃん達がしている事よね?」

「うん。もし、この後に、アカネさんのパーティーに貸して、
撃破出来たら、魔法関連ステータスを上げる事に専念した方が良いかな。」

ここで、オリエさんが考え込んでしまった。

「ここまで、ステータスって見えないから、気にして来なかったけど、
第五エリアボス撃破の条件が、フォルセニア王国編の総集編と言う立場なら、
今後の事も考えて、魔法関連ステータスを上げた方が良さそうね。」

カイトとオリエさんが、話し合いを始めてしまった。

そこへ、アカネさんがログインして来た。

「あれ?カイト君とオリエさんどうしたの?」

「第五エリアボス撃破出来なかったって。

その報告に来たんだけど、対策としては、
物理と同じ位、魔法も底上げをした方が良いよとアドバイスしたら、
2人で話し合いを始めたんだ。」

「なるほどねぇ。

わたし達も、そろそろ学校再開するし、4月から隣国が開放されるから、
第五エリアボスに挑みたいねって話はしているんだけど。」

「良いよ。どの道、みんなに貸し出すつもりだったし。

あと、カイト達は物理重視だから、アカネさん達の魔法重視で、
どの様な結果になるかも検証したいと思っていたんだ。」

「確かに、敵によっては、ダメージ量が異なるだろうし。」

僕達が話ししていると、話が付いたのか、カイトとオリエさんが立ち上がった。

「コーヤ。俺達は、ステータスを上げて、攻撃力を上げる事にした。

今の話し合いで、魔法攻撃が適していても、それを上回る物理攻撃力が無いと、
第五エリアボスを撃破出来ないと考えになった。

だから、装備は返す。自信が付いた頃に借りに来る。」

「分かったよ。頑張って。」

「おう!」

カイトとオリエさんは、装備の入った袋を返して、拠点へと帰って行った。

「アカネさんどうする?すぐに行く?」

「ううん。3月中は揃わないから、4月3日に挑戦するよ。

今までの、努力が通じれば良いんだけど。」

「その時は、また、考えれば良いさ。チャンスは1度じゃないし。」

この後は、各自、作業に入った。

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