3月25日(火曜日)
この日、第五エリアのエリアボス討伐について、カイトとオリエさんから相談をされた。
「相談と言うのは、第五エリアボス討伐する為の武器を作って欲しい。」
「そのエリアボスの強さは?」
「第五エリアボスは、4回変異するし、
最終形態だと攻撃力・防御力・スピードが飛躍的に上がって、太刀打ちできなかったわ。」
オリエさんが補足してくれる。
「なるほど。やはり、魔族再襲来時の装備だと無理という事か。」
ちなみに、第四エリアボス戦で使った武器は回収済み。
「そうなのよ。なんとか、最終形態まで持っていったのだけど、
途中で溜め技を使うんだけど、そこで負けてしまうの。」
黒古龍王変形武器《ウィンドラス》と防具カード、
アクセサリーを5人分、机に置く。
「コーヤ。これは?」
「覚えている?
去年の9月の防衛戦でポイント交換出来る中に、
古龍の装備素材と龍王の装備素材があったから、考えもなく10個ずつ交換したんだ。」
「という事は、イベント素材を使っているのね?性能はどうなの?」
オリエさんが聞いて来た。
「まず、名前はウィンドラスで登録。
剣・槍・弓・杖を古龍・龍王・古龍王のイベント素材を入れて作って合成したのがこれ。
1つの武器で攻撃力は25万、耐久力は30万。
柄にある魔宝石には魔法陣で、攻撃力上昇効果などを付与したよ。
魔宝石を4つ付けたから、4段階上げる事が可能。他にも、隠し玉や切り札も付けた。」
「すげぇ。これがあれば、第五エリアのラスボスも倒せるんじゃないか?」
「さてね。それは、こちらには分からないよ。
天空の島の期間に、考えうる最大値を武器・防具・アクセサリーにつぎ込んだ。
まぁ、これでダメなら、他に考えるしか無いけどね。」
「コーヤ。貸してくれるのか?」
「うん。とりあえず、ここに出したのは、複製機を使って複製した物だから、
好きに使って良いよ。
ただ、テストはしていないから、さっき言った性能が出ないかも知れない。」
「いや。それで十分だ。イベント素材で作った防具はどんな感じだ?」
「今回は、古龍・龍王・古龍王の三種を混ぜて使ったけど、
最上位の古龍王だけなら、もう少し、防御力が高くなるかも知れない。
ただ、魔法陣で強化しているし、ダメージ軽減には役に立つと思うよ。」
「ありがとう。もう一つ、私達の装備を修理して貰えないかしら。
結構、痛い目を見たから、耐久力も減っていて、エリアボスに再戦するには厳しいわ。
やはり、保険が無いと安心出来ないから。」
「了解です。
代金は、お金じゃなくて、珍しい品物や創作のヒントになる物とか持って来てよ。
多くあるんなら、こちらで調べるから、全部持って来て。」
「分かった。修理が終わった時に、拠点から持って来る。」
5人分の装備を修理するのに、4日で終わる事を伝えて帰って貰った。
3月29日(土曜日)
「おお〜!きれいになって戻って来た!」
「コーヤくんありがとうね。すごく助かったわ。」
他のメンバーもありがとうと感謝を口にする。
「まぁ。これは、僕にしか修理出来ないし。それより、持って来てくれた?」
「ああ。最近、整理していなかったから、整理も兼ねて探したら、色々な物が出て来た。」
「へぇー。本当。面白いのもあるね。」
「俺達じゃ必要無くて、捨てる物ばかりだから、コーヤ全部お前にやる。」
鑑定していくと、戦いに役に立つ品が数点あった。
「カイト、良いの?特に、これから必要になりそうなのに。」
「は?どう言う事だ?一応、鑑定はしたが、良い結果は出なかったぞ。」
メンバーも首を傾げている。
「僕の鑑定レベルは31だからね。詳しく教えてくれるんだよ。
例えば、このネックレス。身代わりのネックレスで、
この窪みに魔石か宝石を嵌めると、一回限定だけど、死に戻りを防いでくれる。」
「なに!?そんな、アイテムもあったのか。コーヤ、他には無いか?」
「う〜ん。この腕輪も身代わりだね。しかも、嵌め込み場所が3つあるから、前衛向き。」
「コーヤさん!後衛のは無い!?」
ユニさんが、前のめりに聞いて来た。
「弓持ちなら、ターゲット補正の指輪。あ、でも、魔法使いでも、良いかも。
あと、このメガネは、遠距離を確認出来るから、千里眼の分類かな。
他は、装備系で使えるのはなさそうだね。」
「身代わりが2つに、ターゲット補正、千里眼と4つもあるとは。
鑑定スキル上げないとダメだなぁ。」
「コーヤさん。他にも、指輪とかありますけど、これは?」
「これは、効果が薄い奴だよ。ただ、低級に偽装されたのは、今の僕では分からないな。」
「へぇー。レベル31の鑑定でもだめなんだ。
でも、低級に偽装って意味があるの?」
「場合によりけりかな。でも、そうそうあるわけでないし、
残りの品は、普通に能力が低いんだと思うな。
ただ、初心者や新人さんには、スタートダッシュするには適してそうだね。」
僕とユニさんが話ししていると、カイトが謝って来た。
「コーヤ、すまん!」
「別に構わないよ。僕は前線には、ほとんど行かないし。」
カイトが、先程の装備類を袋に入れる。
「それで、これが、持っていると怖いからと受け取らなかった、
今回の第五エリアボス用の装備品が入った魔法袋(小)だ。」
魔法袋(小)をカイトに手渡す。
「中に説明書を入れておいたから読んで。」
「助かる。回復アイテムも多く買ったし、装備も揃った!
今回で必ず第五エリアボスを倒そう!一番乗りだ!コーヤ、行って来る!」
「いってらっしゃい。」
後に残されたのは、カイトが持って来た物達。
偽装解除の本を見つけて、試して見るが、反応がなかった。
「う〜ん。ユニさんには、ああ言ったけど、鉄製装備はそのまま溶かそう。
付与されている能力は、高くないから、気にしなくて良いか。
次に紙系だけど。普通紙50枚、魔法紙30枚、これは宝箱から出たのかな?
他には、創作のヒントになりそうな装備品くらいか。うん?これは。」
そこにあったのは、文庫本サイズの本で、中には何も書かれていない。
ところが、鑑定すると、深層心理を見る事が出来ると書いてある。
「ふむ。相手の心が読めれば対処し易いかな。要検証だな。」
3月30日(日曜日)
装備を貸した翌日、カイトとオリエさんが報告に来た。
「コーヤ。ダメだった。」
「ダメ?何がダメだった?」
カイトは、腕を組みながら考え話し出した。
「第4形態で体力残り10%になってから、ダメージが入りにくくなった。」
「もう少し詳しく話すと、第4形態の体力は1000万近くあったの。
それで、コーヤくんから借りた装備を使って、順調に削って行ったのだけど、
10%を切ると、なぜか、10分の1程度まで減ったの。」
オリエさんが補足してくれた。
「ちなみに、物理と魔法で同じダメージ量?」
「う〜ん。そこまでは気にしていなかった。なぁ、オリエ?」
「そうね。でも、10%切った時のダメージは、魔法の方が高かった気がするわ。」
「なるほど。
魔法のダメージが高いけど、倒すまでには行かなかったという事は、
裏ステータスの魔法関連が低いからかも知れないな。」
「ああ。以前にも話していたな。
仮に、魔法関連を上げるとして、どうすれば良い?」
「例えば、常時、魔法剣状態にするとか、可能な限り物理だけでは戦わないとか。」
「それって、アカネちゃん達がしている事よね?」
「うん。もし、この後に、アカネさんのパーティーに貸して、
撃破出来たら、魔法関連ステータスを上げる事に専念した方が良いかな。」
ここで、オリエさんが考え込んでしまった。
「ここまで、ステータスって見えないから、気にして来なかったけど、
第五エリアボス撃破の条件が、フォルセニア王国編の総集編と言う立場なら、
今後の事も考えて、魔法関連ステータスを上げた方が良さそうね。」
カイトとオリエさんが、話し合いを始めてしまった。
そこへ、アカネさんがログインして来た。
「あれ?カイト君とオリエさんどうしたの?」
「第五エリアボス撃破出来なかったって。
その報告に来たんだけど、対策としては、
物理と同じ位、魔法も底上げをした方が良いよとアドバイスしたら、
2人で話し合いを始めたんだ。」
「なるほどねぇ。
わたし達も、そろそろ学校再開するし、4月から隣国が開放されるから、
第五エリアボスに挑みたいねって話はしているんだけど。」
「良いよ。どの道、みんなに貸し出すつもりだったし。
あと、カイト達は物理重視だから、アカネさん達の魔法重視で、
どの様な結果になるかも検証したいと思っていたんだ。」
「確かに、敵によっては、ダメージ量が異なるだろうし。」
僕達が話ししていると、話が付いたのか、カイトとオリエさんが立ち上がった。
「コーヤ。俺達は、ステータスを上げて、攻撃力を上げる事にした。
今の話し合いで、魔法攻撃が適していても、それを上回る物理攻撃力が無いと、
第五エリアボスを撃破出来ないと考えになった。
だから、装備は返す。自信が付いた頃に借りに来る。」
「分かったよ。頑張って。」
「おう!」
カイトとオリエさんは、装備の入った袋を返して、拠点へと帰って行った。
「アカネさんどうする?すぐに行く?」
「ううん。3月中は揃わないから、4月3日に挑戦するよ。
今までの、努力が通じれば良いんだけど。」
「その時は、また、考えれば良いさ。チャンスは1度じゃないし。」
この後は、各自、作業に入った。