最終更新日 2025/07/01

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 第五章 邇邇藝命

於是 天津日高日子番能邇邇藝能命 於笠紗御前 遇麗美人 爾問 誰女 答白之 大山津見神之女
名神阿多都比賣【此神名以音】亦名謂木花之佐久夜毘賣【此五字以音】又問
有汝之兄弟乎 答白我姉石長比賣在也 爾詔 吾欲目合汝奈何 答白 僕不得白、
僕父大山津見神將白故乞遣其父大山津見神之時 大歡喜而 副其姉石長比賣
令持百取机代之物 奉出 故爾其姉者因甚凶醜 見畏而返送 唯留其弟木花之佐久夜毘賣
以一宿爲婚

爾大山津見神 因返石長比賣而 大恥 白送言 我之女二並立奉由者 使石長比賣者 天神御子之命
雖雨零風吹 恒如石而 常堅不動坐 亦使木花之佐久夜毘賣者 如木花之榮榮坐
宇氣比弖【自宇下四字以音】貢進 此令返石長比賣而 獨留木花之佐久夜毘賣 故
天神御子之御壽者 木花之阿摩比能微【此五字以音】坐 故是以至于今 天皇命等之御命不長也
解読

是於(これにおいて)、天津日高日子番能邇邇藝能命、
笠紗御前に於いて、麗しく美人なので遇(もてなす)

爾(なんじ)の問いに、誰の女かと答えて之(これ)白(もう)す

大山津見神之女名 神阿多都比賣【此神名以音】
亦名、木花之佐久夜毘賣【此五字以音】と謂う

又、問う

汝之兄弟有り乎(お)答えて白(もう)す

我れの姉石長比賣の在也、爾(なんじ)詔(みことのり)す

吾、汝、欲目で合い奈何(いかん)答えて白(もう)す

僕(やつがれ、使用人)不得(えず)と白(もう)す

僕(やつがれ、使用人)の父大山津見神は將(まさに)白(もう)す

故、其の父大山津見神之(これ)乞われて遣わす時、大歡喜而(に)、
其の姉石長比賣を副えて、
机代之物から百を取るを令(うながして)持って奉(たてまつる)に出る

故爾(ゆえに)、其の姉者(は:短語)、甚だ凶(悪く)醜いに因って、見て畏れられて、
而(すなわち)送り返される

唯(ただ)其の弟木花之佐久夜毘賣は留めるを以って一宿で婚すると爲す


爾(なんじ)大山津見神 石長比賣返す而(に)因って、大恥と送りて言い白(もう)す

我之女二(人)並び立ち由(よし)者(は:短語)奉(たてまつる)

石長比賣者(は:短語)天神御子之命が使うと雖(いえど)も、雨は零(こぼ)れ風が吹く

恒(つね)に石の如く而(に)常に堅く不動(うごかず)に坐す

亦、木花之佐久夜毘賣者(は:短語)、木花之榮榮の如くに使い坐す

宇氣比弖【自宇下四字以音】進んで貢ぐ

此の石長比賣を返すを令(うながす)

而(すなわち)、木花之佐久夜毘賣を獨(ひとり)を留(とど)めた

故、天神御子之御壽(ことぶき)者(は:短語)、木花之阿摩比能微【此五字以音】に坐す

故、是を以って今于(に)至り、天皇命等之御命不長(ながくならず)也

解説

07

神阿多都比賣


神阿多都比賣

「此神名以音」と注記があり、「音読み」指定となります。

「神」:呉音:ジン、漢音: シン

「阿」:呉音・漢音:ア

「多」:呉音・漢音:タ

「都」:呉音:ツ、漢音:ト

「比」:呉音:ヒ、ビ、漢音:ヒ

「賣」:呉音:メ、漢音:バイ、慣用音:マイ

じょうきに、呉音「じんあたつひめ」、漢音「しんあたとひばい」となりそうです。

神社
神阿多津姫命

加多神社(合祀)

神吾田津姫命

阿良須神社

神吾田鹿葦津姫命

鳴神社 境内 紀伊國名草郡 堅眞音神社(合祀)

吾田鹿葦津姫尊

日長神社

鹿葦津姫命

吉御子神社

鹿葦津姫

朝峯神社(式社考)

まとめ

「神阿多都比賣」が正規な表記ですが、「神阿多津姫命」と「神吾田津姫命」は、
問題ないと思いますが、「神吾田鹿葦津姫命」と日本書紀の「神吾田鹿葦津姬」は、
どこから来たんでしょうか?

特に「鹿葦」は全く必要ない情報です。

「阿多」→「吾田」に変化したのは分かりますが、意味が異なります。

どこかで、変化した時代があると思いますが、情報が無く良く分かりません。

亦の名

「木花之佐久夜毘賣」を「亦の名」としていますが、
他の文では、「神阿多都比賣」を使わずに「木花之佐久夜毘賣」を使っています。

「亦の名」を、使うのは違うでしょう。

なぜなら、「神阿多都比賣」と「木花之佐久夜毘賣」が同一人物か不明ですし、
なにより、文としては「神阿多都比賣」を使うべきだと思います。

これにより、「木花之佐久夜毘賣」を継承した「神阿多都比賣」が必要なのであって、
「神阿多都比賣」は必要なかったのだと思われます。

木花之佐久夜毘賣

「此五字以音」と注記があり、「佐久夜毘賣」が「音読み」指定となります。

「佐」:呉音・漢音:サ

「久」:呉音:ク、漢音:キュウ、キウ

「夜」:呉音・漢音:ヤ

「毘」:呉音:ビ、漢音:ヒ

「賣」:呉音:メ、漢音:バイ、慣用音:マイ

上記により、呉音「さくやびめ」、漢音「さきゅうやひばい」となりそうです。

神社
木花之佐久夜毘賣命

浅殿神社 境内 富士神社(合祀)、伊曽乃神社 境内 古茂理神社、大山神社、
富士山本宮浅間大社 奥宮、富士山本宮浅間大社

木花佐久夜毘賣命

加須夜神社(合祀)、辛科神社(合祀)、白澤神社(合祀)

木之花佐久夜毘賣命

前橋東照宮

木花之佐久夜比賣命

磐椅神社、相生神社、豊積神社、富知六所浅間神社

木花佐久夜比賣命

小石神社、賣豆紀神社、椿大神社(合祀)、都美恵神社(合祀)、猪田神社(合祀)、
比自岐神社(合祀)、穴石神社

木之花佐久夜比賣命

足高神社

木花佐久夜比咩命

勝手神社

木花佐久夜毘咩命

榆山神社 境内 天満天神社

許乃波奈佐久夜比賣命

宇留破神社

木花之佐久夜姫神

宇爾櫻神社

木花佐久夜姫命

吉備津彦神社 境内 子安神社

木花開耶比賣命

宇氣比神社、穂高神社本宮 境内 子安社

木花開耶毘賣命

村山神社

木花開耶姫命

波氐神社(合祀)、須原大社(合祀)、志布比神社、豊由氣神社、池田神社、大神神社、
高椅神社(合祀)、淡海國玉神社 境内 遠江國磐田郡 御子神神社(合祀)、國府神社、
比都佐神社、久集比奈神社、配志和神社、芝大神宮、守山八幡宮、御熊神社

木花開耶姫

吉姫神社、南宮大社 境内 高山神社

木花之開耶姫命

國廳裏神社 境内 村社国府神社(合祀)、伊勢寺神社(掘坂神社祭神合祀)

木花開耶媛命

蓼科神社 里宮、常陸國總社宮 境内 十二末社

木花開耶媛

城輪神社 境内 玉池神社

木之花開耶姫命

浅間神社

木華開耶姫神

大山祗神社 境内 皇大神宮所管社 子安神社

木華開耶姫命

駒形神社 境内 山神社

木花開耶姫尊

益救神社

木花咲夜比賣命

服織田神社(合祀)、鸕宮神社、淺井神社、健男霜凝日子神社 下宮、
榊山神社 境内 夏宮、稲毛神社 境内 浅間神社

木花咲夜姫命

赤城神社(合祀)、大江神社(合祀)、花垣神社(合祀)、
篠座神社 境内 越前國大野郡 椛神社 樺神社(合祀)

木花咲夜比女命

春日神社(合祀)

木花咲耶比賣神

四方神社、津秦天満宮

木花咲耶姫命

川添神社(合祀)、木花咲耶姫命(合祀)、呉津彦神社、桃澤神社 下社、温泉神社、
三和神社、三輪神社、若宮八幡神社、駒形根神社、奈良神社、倭文神社、宇留布神社、
大胡神社(合祀)、黒嶋神宮、佐毘賣山神社、鳥坂神社(合祀)、槻田神社(合祀)

木花咲耶姫之命

佐香神社

木花咲屋姫命

中山神社(吾妻郡)、横山神社、中山神社(三条市)、青島神社 境内 石神社

木花咲耶媛命

田守神社、中川神社

木花咲久耶姫命

三宅神社 境内 伊勢國鈴鹿郡 江神社(合祀)

木之花咲耶姫命

朝峯神社

木華咲耶姫命

礒部稲村神社

咲夜比女命

高屋神社

まとめ

派生した表記が34個あります。

なぜ、こんなに派生した表記があるんでしょうか。

分類すると「比賣系」と「毘賣系」があり、他の「開耶系」、「咲耶系」にも、
「比賣系」と「毘賣系」とがあり、だいぶ混雑している印象です。

特に「木花」を「木華」や「許乃波奈」としているのは、びっくりしました。

問題は、これらの血縁関係ですが、今のままだと全く分かりません。

多分に、「木花之佐久夜毘賣」を継承した人物は、
基本的に血縁関係ではなく、能力主義で継承されたのだと思います。

なので、この派生した34個の表記は、時代や繋がりが分からないという事になります。

僕父大山津見神將白

「僕(やつがれ、使用人)の父大山津見神は將(まさに)白(もう)す」と
解読できますが、「僕(やつがれ、使用人)の父大山津見神」が問題となる場所です。

この「僕(やつがれ、使用人)」が誰を指しているのかは不明ですが、
「木花之佐久夜毘賣」か、
もしくは、「木花之佐久夜毘賣」の兄弟姉妹の可能性がありそうです。

ただ、「大山津見神之女名 神阿多都比賣〜」の「大山津見神」と、
「僕父大山津見神將白」の「大山津見神」が同一人物である事が条件です。

しかし、これが同一人物であると証明出来ませんので、不明です。

弟木花之佐久夜毘賣

「唯留其弟木花之佐久夜毘賣 以一宿爲婚」の「弟木花之佐久夜毘賣」は、
「伊邪那美命」と「妹伊邪那美命」の関係と同じだと思いますが、
それでは、なぜ、「弟」なんでしょうか?

これって、つまり、「弟(自分より年齢が下の男性)」が「木花之佐久夜毘賣」を
継承した事になりますが、どうなんでしょうか?

阿摩比能微

「此五字以音」と注記があり、「音読み」指定となります。

「阿」:呉音・漢音:ア

「摩」:呉音:マ、漢音:バ

「比」:呉音:ヒ 、ビ、漢音:ヒ

「能」:呉音:ノウ (ノゥ)、ノ、ナイ、漢音:ドウ(ドゥ)、ダイ、慣用音:タイ

「微」:呉音:ミ、漢音:ビ

上記により、呉音「あまひのみ」、漢音「あばひどうび」となりそうです。

意味

「木花之阿摩比能微【此五字以音】に坐す」とあるので、地名だと思いますが、
情報が無いので、不明です。

ただ、「阿」=「良い」、「摩」=「磨く、とぐ」、「比」=「比べる」、
「微」=「細かい」と考えると、「木の花」で「良い場所」で「磨き」、「細かく比べる」という意味になりそうです。

しかし、これが正しいかは分かりません。

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