12月13日(金曜日)
今日は、日中に王宮で稲刈りを実施された。
土地の見定めも兼ねていたので、肥沃、乾燥、赤茶けた、水分の多い、
石が多いの5種を再現した土地を各2反用意し、10月13日に植えた。
2か月後の今日に稲刈りしたわけだが、収穫量は、
肥沃な土700キロ、乾燥した土500キロ、赤茶けた土550キロ、水分の多い土200キロ、
石が多い土570キロと言う結果になり、このゲームでは栄養分に依存しているようだ。
今後は、これが基本データとなり、来年行われる、米配布事業で情報が加わって行く。
また、今回の結果により、国王様が全国へ通知し、可能な限り人減らしをしない様に伝えたが、
この判断が実を結ぶとしても、まだ、少しの時間が必要だろうと思う。
ちなみに、色々な土を使って稲を栽培し、稲刈りした後に鑑定で確認すると、
5つの品種に変異して分かれていた。
今後、稲の品種改良がされるのかも知れない。
「ふう。なんとか、形になったかな。」
僕は、持ち物整理した時に見つけた、銃作製レシピを使って、
最近思い浮かんだアイディアを形とするべく、午後8時から鍛冶室に籠もっていた。
「あ。コーヤ君、やっと、出て来たわね。」
「アカネさん?何かあった?」
「相談したい事があったの。このゲームも20日弱で来年でしょ?
でも、まだ、第四エリアボスを倒していないのが悔しいから、
何か良いアイディア無いかなって。」
「なるほど。アカネさん達は、何回戦った?」
「う〜ん。魔族襲撃以降でも4回は行ったかな。
どうしても、後一歩足りないのよ。」
「と言うと?」
「うん。序盤中盤は、普通に攻撃躱して、攻撃して、大体6割削れるの。
問題は終盤で、徐々に大技を出していって、9割削れて、
もう少しで勝てる!って思う頃に、敵の溜め込み技が出て来て、
躱した後には体力・魔力も限界で、有効打を出せずに終わるのが流れよ。」
「う〜ん。なるほど。じゃぁ。ちょっと、試作品のテストして貰おうかな。」
僕は、先程作った魔力銃を机に出す。
「これって、ゲームとかアニメとかに出て来そうな形だよね?」
「うん。基本は魔王襲撃時に、
ソアリスさんに使って貰った高出力砲を銃に置き換えた武器だ。
ただ、今回は魔法陣と今まで入手した本類で、
使えそうな機能を入れたから、魔王襲撃よりは威力も上がっているよ。」
「(銃を持ちながら)どんな風に?」
「〈魔力吸収〉、〈自動修復〉、〈攻撃力上昇(5000)〉、〈耐久力上昇(7000)〉の
4つのパーツを付与したよ。
使い方は簡単で、自分達が使った魔力を吸収し充填すると魔石が光るから、
引き金を引くだけ。
あと、本体にあるメモリを回す事で、最大5回撃つ事が出来るから、状況を見ながらだね。
今後は、属性攻撃も出来たり、変形出来たりする様に出来ないか、研究中。」
「なるほどね。これって、借りても良い?データも取って来るし。」
「良いけど、今から?」
「ううん。明日かな。休みだし。他に作ったのは無いの?」
「構想はあるんだけど、今日はこれだけ。近日中には、数点作りたいなとは思っているけど。」
「その時も、わたし達でテストするよ!」
12月14日(土曜日)
「みんな!良い?今日こそ、第四エリアボスを倒して、第五エリアに行くよ!」
「(メンバー)おー!」
終盤まで、いつも通りに進み、ダメージを与えて行く。
「ミリス!溜め込み技来るわ!」
「了解!風の壁!発動!」
ミリスは、今まで練習して来た魔法”風の壁”を発動させる。
第四エリアのボスは、そんな事はお構いなしに、
最大威力の攻撃を繰り出す。
ぎし・・・・、ぎし・・・・、ぱりーん。
「くっ!これでも、受け止めきれないなんて!」
「でも、ミリス。これで、相手の攻撃をダメージ無しで防げたわ。
後は、コーヤ君から借りた銃で、決着を付ける!」
そう言うと、アカネは敵へと肉薄し、高出力砲の準備が整った銃を、
敵の顔面へと向けて、引き金を引く。
「行っけぇぇぇぇ〜〜〜〜〜!!!」
自分達が使った魔力が貯まり、多く貯まる事により凝縮し、
威力が上昇した高出力な魔力が敵に放たれ、
第四エリアのボスは、耐えきれずに、顔全体が吹き飛んでしまう。
「すごい威力ね。逆に言うと、私達はこれ程の魔力を使っていたのね。」
「本当よね。ミリスも私達もみんな、あの修行を頑張ったから、
こんなにすごい魔力を生み出す事が出来たんだろうね。」
「確かにね(苦笑)」
ミリス達が話をしていると、アカネが戻って来た。
「勝ったよ!」
みんなでハイタッチして、勝利を祝う。
「それにしても、すごい威力だよね。今まで、苦労していたのがおかしいくらい。
でも、流石に最高出力はやりすぎたみたいね。壊れちゃったし。」
「アカネ。どういう事?」
シェーラが分からないと言った顔をする。
「言っていなかった?借りた時に、言われたんだけど、充填終了すると、
5回分攻撃できるんだって。一気に使うか、それとも、こまめに使うか。」
「それで、アカネは一気に使うを選択したのね?」
「うん。もし、中途半端な事して、倒せなかったから嫌だったし。」
「まぁ。そこは仕方ないわ。さて、帰りましょ。」
こうして、アカネパーティーによって、第四エリアボスは倒され、
アカネ達は一番最初の討伐者となった。
「ただいまぁ!」
「おかえり。その感じだと、勝てたみたいだね。」
「コーヤさんの銃のおかげで勝てたわ。ありがとう。でも、すごい威力だったわ。」
「ミリスさん、どんな感じに?」
「敵の頭を吹き飛ばしたの。」
「それは、すごい。隠れステータスが高いんだろうね。」
「なに?隠れステータスって。」
ハヅキさんが聞いて来た。
「あれ?知りません?色々と行動していれば、気がつくはずなんだけど。
ステータスが無ければ、瞬動や生産時の成功判定が出来ないと思いません?」
「あ〜。言われてみれば、確かに。魔法の威力もステータスが無ければ、
判断基準が無いから、成立しないわね。」
「うん。クラン対抗戦で瞬動講習したけど、素早さの数値が高い人は成功しやすい。
対して低い人は失敗しやすい。だから、イメージしていても失敗する。」
「なるほどねぇ。そして、ごめん、壊れちゃった。(壊れた銃を渡す)」
アカネさんが申し訳ない顔で、壊れた銃を渡して来た。
「お〜。これは、銃身が吹き飛んでいるね。耐久度を上げないと、使え無さそうだ。」
「ごめんね!」
「大丈夫、大丈夫。その為のテストなんだし。
う〜んと、龍の鱗使えば、耐久力上がるかなぁ。」
この後、銃の強化と他の試作品作りに、時間を費やした。