最終更新日 2022/06/05

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106話 新素材

12月16日(月曜日)

「おはよう。」

「おはよう。おい!光矢!あの武器はなんだ!」

朝の挨拶をするなり、海人が怒り出した。

「あはは(苦笑)光矢君、おはよう。
ほら、わたし達が倒した映像が、編集されて昨日、公開されたの。
で、それを見た陸原君が、暴れてしまって。」

道下さんが、苦笑しながら話してくれた。

「まぁ。ある意味、予定通りかな。

海人。あれは、道下さん達の隠れステータスが高いから、
あれほどの威力になったのであって、誰でも、あの威力にはならないよ。」

「隠れステータスってなんだ?」

海人も知らないようだ。

「不思議に思わない?攻撃の成功失敗判定はなんでしている?」

「む。なるほど。確かに、参考にする数値が無ければ難しいか。」

海人は腕を組んで考えている。

「そう。攻撃に限らず、生産系もそう。

まあ、通常意識はしていないから、しょうがないと思う。

けど、他の人の様に出来ないとかがあれば、関係していると思う。」

周りの聞き耳を立てている人達は、メモを取り始めた。

「本題に戻るけど、魔力系の練習を多くして、関連ステータスが高かった、
道下さんのパーティーだからこそ、出す事が出来たと思っているよ。」

「という事は、俺達の様に物理重視のパーティーには、
別な武器が必要なわけか。

光矢、市場に出回っている素材で、なんとかならないか?」

「う〜ん。今まで手に入れた本とかを見て、物理重視で高出力出す為に、
色々と試行錯誤しているけど、なかなかに難しい。」

「おはよう。拠点でも、水晶君、本を読みながら難しい顔をしているよね。」

「牧ノ原さんおはよう。僕、そんな顔している?」

「うん。本の内容を、色々とイメージに当てはめているけど、うまく行かないって感じ。」

「なぁ。物理重視は難しいか?」

海人が心配そうな声を出して来た。

「魔力重視だと、魔力を1つに纏めて、高出力として出すという流れが決まっているから、
そこに、アイディアを付け加えれば、完成しやすい。

しかし、物理重視だと、武器一つ一つの攻撃力を上げるより、現時点で方法が無い。

これは、バランス型でも同じで、色々と模索しているけど、なかなか上手く行かない。」

「そうか。確かに、物理だとそうなるか。う〜ん。」

海人も唸ってしまった。

「そこで、今、考えているのは、ボス領域の弱点属性エネルギーを吸収と、
ボスから魔力を吸収し、それを利用するの2つ。

現在、試作品を作っているけど、やはり、耐久力を高く出来る素材が見つからない。」

「やっぱり、素材の問題に戻るんだね。

陸原君は、使えそうな素材って持っていないの?」

道下さんが海人に質問した。

「どうだったかな。なにぶん、金が必要だから、金策で無いかも知れないな。

まぁ。今日にでも、調べてみる。もし、使えそうな素材があれば、光矢に連絡する。」

午後8時

ログインし、作業していると、来客が来た。

「来客?」

リンネさんが来客を知らせてくれた。

「うん。イベントで一緒だった、ドラグさんだって。」

「ああ。という事は、アカネさんの件か。」

「だろうね。衝撃だったと思うし。」

「分かった。後は、僕が対応するよ。」

その後、ドラグさんを拠点に入れて、イスに座って話をした。

「当然、ボスの件ですよね?」

「そうだ。あれはどうしたんだ?お前が作ったんだろ?」

「ええ。試作品のテストで貸したんですけど、思った以上の威力でしたね。」

「なんだと!あれで、試作品だと!」

ドラグさんは、すごくびっくりしている。

「はい。アカネさん達は魔力重視のパーティーなので、
あれ程の威力になったのだと思います。」

「なるほど。裏のステータスがそこまで高いという事か。」

「ドラグさんは、ステータスの事、知っていたんですか?」

「ああ。最初は気にしていなかったが、
拠点持って安定して研究できる様になってからだな。

物理重視はどうするつもりだ?」

「まだ、模索中ですね。」

「次の質問だが、公表されているパーツでは、ステータスが高くても、
あれ程の威力が出るとは思えん。自作したのか?」

「残念ながら、違います。9月頃にフィンテルのお店を見ていたら、
面白い物を見つけまして。」

「なんだ?その面白い物とは?」

「魔法陣と言う技術です。」

「なに!?新技術だと!?」

「ええ。なかなかに扱いが難しいので、試行錯誤しながら使っていました。

あの銃もそのパーツを使用しています。

他にも、使っていますが、現時点では秘密です。」

「いつ見つけた?掲示板とか見ても、その様な技術の話は出ていないぞ?」

「僕の場合、9月2日ですね。これです。」

複製した本を袋から取り出し、机に置く。

「む。表紙がほとんど見えない。(ぱらぱら)おい、中が読めんぞ。」

「あれ?そうですか?(ぱらぱら)僕は普通に読めますよ?」

「なに?どういう事だ?まさか、前提があるのか?」

「イオさんは、最初から普通に見えていましたけど。一通りの知識が要求されますから、
それで判断している可能性がありますね。」

「イオと言うのは、翠の泉のクランマスターの事か?」

「はい。イオさんから、色々とヒントが欲しいと言われたので、
魔法陣の初級編を複製して渡しました。

確か、魔族再襲撃の後なので、11月初旬頃ですね。」

「ちっ!俺は、まだ、この技術を使うラインまで到達していないと言う事か!
しかし、絶対に超えてみせる。」

「頑張って下さい。正月の一周年イベントで公開するつもりですから。」

ドラグさんは、水を飲んで落ち着くと、何かを思い出したような顔をした。

「そうだ。思い出した。この拠点は、土砂で倒壊していただろ。
魔法袋(大)でも見つけたのか?」

「そうですねぇ。今なら、言っても良いかも知れませんね。

僕の場合、縁あって、魔獣ケルベロスの開放場面に立ち会えました。

部屋の中には、状態保存の魔法が付与されて、過去の遺物が置かれていて、
発見者特典で、偶然、その中にあった無限袋のレシピを入手出来たんです。」

「無限袋は存在したのか。対価は払う。レシピを教えてくれ。」

「作り方は至って簡単。合成スキルの手動で、魔法袋を合成して行くだけです。
対価はお金ではなくて、情報や珍しいアイテムでお願いします。」

「了解した。後で、クランメンバーに聞いたり、アイテムを探して持って来よう。
それにしても、自動ではダメなのか?」

「僕も、それで出来れば楽だなと思ったんですが、成功率が50%。
しかも、失敗するとプラスの数値が下がってしまいました。」

「そうか。そうであるなら、手動しか無いか。良い話を聞けた。」

ドラグさんは、意気揚々と帰って行った。

「そう言えば、合成スキル、無限袋で使っただけで、使っていなかったなぁ。
・・・合成か。もしかして、使えるのかな?」

僕は、ふいに気になった事を実験するべく、準備に入った。

新素材

「さて、実験してみるか。僕の予想があっていれば、成功するはず」

周りでは、アカネさん達が見学している。

「コーヤ君、何の実験?」

「見ていれば分かるよ。合成。」

僕は、鉄のインゴットが2つ置かれている机を見て、合成スキルを発動し、
魔法袋と同じ要領で、合成して行く。

二分ほどで、鉄のインゴット+2が完成していた。

「よし!上手く行った!」

「え!?インゴットも合成できるの?」

鑑定したアカネさんが驚いている。

「僕も、まさかと思って実験したんだけど、インゴットが合成できるという事は、
他の物質を混ぜると、違う素材になるかも知れない。」

「おー!水晶(コーヤ)君!それって、新発見じゃない!?」

「かもね。とりあえず、試行錯誤していこう。」

一時間ほど、試行錯誤した結果、鉄インゴット×ニッケル300gで、新素材へ進化した。

「名は、フェルムケルか。耐久力を50%引き上げてくれるのは嬉しいね。」

「うん。あと、鋼インゴットとマンガン200gで、耐久力80%増も良いよね。」

リンネさんが、鋼インゴットとマンガン200gで進化した
シュタールネシアを手に持って感想を言う。

ニッケルとマンガンの量は、合成する段階で最低使用量が決められていているようだが、

グラム単位の事もあり、作業に慣れるまで悪戦苦闘した。

逆に、多く入れすぎると、素材の特殊性能が無くなったりするので要注意だ。

「これって、まだまだ、掛け合わせによっては、新素材が完成するよね。」

「うん。アカネさんが言った通り、まだまだ、可能性がありそうだ。
上手く行けば、機械と魔法の融合も、近い内に出来るかも知れない。」

「コーヤ君!それって面白そう♪」

僕達は、この後、色々なアイディアをを出しては、実験して1日を終えた。

ちなみに、今まで、クラン対抗戦のポイントの交換していなかったけど、
新素材を見つけた事で、交換する事にした。

1000ptの古龍の装備素材20個、5000ptの龍王の装備素材20個、
7000ptの古龍王の装備素材10個、50ptの魔法木の種20個、100ptの木材(テアミン)30個、
3万ptの弓(魔法木テアミン使用、攻撃力5万、耐久力8万)、
3万ptの杖(魔法木テアミン使用、攻撃力5万、耐久力8万)

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