故爾(ゆえに)各(おのおの)天安河の中而(に)置いて、宇氣布(うけふ)の時、
天照大御神が先に度するを乞う。
建速須佐之男命、十拳劒を佩(お)びる所で三段而(に)折り、
奴那登母母由良邇(此の八字、音を以ってす。此れ下も效(なら)う。ぬなとももゆらに)
振って打ち、天之眞名井而(に)滌(あら)う。
佐賀美邇迦美(佐自(より)下六字、音を以ってす。
此れ下も效(なら)う。さがみにかみ)而(に)、
吹いて棄て、気を吹く狹霧(さぎり)で成る所の神の御名、多紀理毘賣命。
亦、御名を奧津嶋比賣命と謂う。
次に市寸嶋比賣命。亦、御名を狹依毘賣命と謂う。
次に多岐都比賣命。(此の神の名、音を以ってす。)
多岐都比賣命
「三柱、此神名以音」とあり、「音読み」指定となっています。
「多」:呉音・漢音:タ
「岐」:呉音:ギ(表外)、漢音:キ
「都」:呉音:ツ、漢音:ト
「比」:呉音:ヒ、ビ(表外)、漢音:ヒ
「賣」:呉音:メ、漢音:バイ、慣用音:マイ
上記により、呉音「たぎつひめ」、漢音「たきとひばい」となりそうです。
「多」:「 多紀理毘賣命」参照
「岐」:
甲骨文や金文の表記を探しましたが見つかりませんでした。
現在の意味で考えると、
「分かれ道」=「道を作る」ではないかと思いました。
「都」:
この「都」の字源を探したら、参照38のサイトに「金文」が載っていました。
しかし、統一感が無く、本当に同じ漢字なのだろうか?と感じました。
現在の意味で考えると「都」=「多くの人が集まる場所」となるでしょうが、
今後、字源辞典で検証をしたいと思います。
参照38: 字源查询-都
上記から、「多岐都比賣命」の仕事は、「道路の整備」だったと考えています。
以前までの道路は、問題があったが、
この人の指示の下、整備し、人や物の流れをスムーズにしたのでは?
と解釈しました。
次多岐都比賣命【三柱、此神名以音】と記載されています。
なぜ、「三柱」が前にあるのでしょうか?
「多紀理毘賣命」、「市寸嶋比賣命」、「多岐都比賣命」を指すとしても、
「此神名以音」「并せて三柱」とでも書けば良いと考えています。
ところがそうではなく、中途半端な位置に記載するのには、
それなりの理由があると思っていますが、
情報も無く、今後、関連のある情報があれば、改めて考えたいと思います。