次に国が稚(おさな)く脂(あぶら)が浮く如く而(に)
久羅下那洲多陀用幣琉(琉の字以上の十字は、音を以ってす。くらげなすただよえる)。
之(この)時、葦牙(あしかび)の如く萌え騰がり而(に)因って之(この)物、
宇摩志阿斯訶備比古遲神
(此の神の名、音を以ってす。うましあしかびひこじのかみ)の神名に成る。
次、天之常立神。(常の訓を登許(とこ)と云う。立の訓を多知(たち)と云う。)
此の二柱神、亦、獨り神(ひとりがみ)而(に)成りて坐り隱れる身也。
上の件(くだん)の五柱神者(は:短語)別天神。(わけあまかみ)
如葦牙因萌騰之物
「葦牙(あしかび)の如く萌え騰がり而(に)因って之(この)物」と解読しましたが、
一番最後の「物」とは何でしょう?
「葦」:
「並び生えた草」の象形(「草」の意味)と
OK辞典
「ある場所を示す文字とステップの方向が違う足の象形」
(ある場所から別方向に進むさまから、「そむく、群を抜いて優れている」の意味)から、
穂が出て他の草とは違って飛びぬけて高い
「あし(水辺に生じる多年草)」を意味する「葦」という漢字が成り立ちました。
「牙」:
「きばの上下が交わる」象形から、
OK辞典
「きば」を意味する「牙」という漢字が成り立ちました。
「萌」:
「並び生えた草」の象形(「草」の意味)と
OK辞典
「太陽の象形と欠けた月の象形」(「明るい、夜明け」の意味)から、
「草・木の芽がもえる(草・木の芽が出る)」、
「芽生え」を意味する「萌」という漢字が成り立ちました。
「騰」:
「渡し舟の象形と上に向かって両手で物を押し上げる象形」
OK辞典
(「上に向かって押し上げる」の意味)と「馬」の象形から、
馬がおどり上がる事を意味し、
そこから、「あがる」を意味する「騰」という漢字が成り立ちました。
参照18:漢字・漢和辞典-OK辞典⇒⇒⇒「牙(牙󠄀)」という漢字
参照19:漢字・漢和辞典-OK辞典⇒⇒⇒「萌/萠」という漢字
「葦牙(あしかび)」とは、
川の水が温む頃に川面に顔を出す葦の新芽のこと。春の季語。
名前の由来は、
水面に現れた葦の新芽の鋭く尖った姿を牙や角と見立て
「葦の角(つの)」とも呼ばれます
この様に考えると、
「葦の新芽」が「芽生え」「騰がる」様な「物」と解釈出来、
「葦牙」・「萌」・「騰」を例えに使っているので、
もしかしたら、「土筆(つくし)」の事を指しているのではないかと思っています。
「土筆(つくし)」は、「春」ですし、「葦の新芽」が「芽生え」「騰がる」様に、
どんどんと上がって行きます。
それに、食べる事が可能です。
紀元前1000年当時、「土筆(つくし)」の名は無かったのでしょうか?
それとも、古代中国では名が付いていたけど、
列島では、まだ、知らなかったのでしょうか。
参照21:花のチカラ★緑のココロ