最終更新日 2022/06/05

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134話 生産ギルドマスター

6月1日(日曜日)

午後2時

今日は、拠点で生産ギルドマスターと会談する日で、
僕、アキホお姉ちゃん、イオさん、生産ギルドマスターの4人が集まった。

「この度は、会見の場を作ってくれて感謝します(深々とお辞儀)」

生産ギルトマスターの挨拶から始まった。

「私は、生産ギルドマスターをしているキョウカと言うわ。今後ともよろしくね。」

その後、各自がキョウカさんに自己紹介して本題に移った。

「本題に入る前に、ここでは盗聴や盗撮は出来ないので、日常通りで良いですよ。

そろそろ、限界の様ですし(苦笑)」

挨拶が終わった辺りから、雰囲気的に堅苦しいのは無理そうに思ったし、
アキホお姉ちゃんが、キョウカさんの方をハラハラしながら見ていたので察した。

「はぁぁぁ〜!ありがとうぅぅ!

わたし、あまり、堅苦しいのは苦手なのよね。
にしても、あの時にあった人が、こんなにすごい人だったとはね。」

「あれ?キョウカ。コウちゃんと合っていたの?」

アキホお姉ちゃんが不思議そうに、キョウカさんの方を見る。

「うん。市場に来た時に声をかけた事があってね。

なんか、声をかけないと今後、後悔する!みたいな感覚があって。」

「なるほど。あの時のお姉さんでしたか。それで、本題なんですけど。」

「本題なんだけど、コーヤさんの活躍は、アキホから聞いているわ。

そこで、聞いていて思ったの、連携すれば、衣食住のランクを上げれるって。」

「コウちゃんは、自分で調理出来るから、街の食堂とか行かないでしょ?

今でこそ、発展してバリエーションも増えたけど、
それは、フィンテルとかの大都市圏のみなの。

ほとんどの街は、石器時代か!ってくらい、
「焼く」か「煮る」の調理法しか使っていないのが現状よ。

かと言って、その人達に無理やり教えるのも違うと思うの。

そこで、生産ギルドの支店を大都市はもちろん、”町”くらいの大きさであれば出店し、
その場所で、流行りの料理などを宣伝して、地域に根付く事が出来れば、
一般人の経験値が多く入って、生活をより良いものに出来ると考えているわ。」

「う〜ん。生活を豊かにかぁ。」

ここで、今まで聞いていたイオさんが、話に加わる。

「コーヤさん。別に悪い話では無いわ。

コーヤさんのおかげで、お米が、少しずつ流通するようになって来たし、
フィンテルの発展で2階建ての建物が作れるようになった。

でも、それは、前国王様を通してだったからで、民が自ら関与した部分が少なかったわ。」

キョウカさんが話を引き継ぐ。

「そこで、わたし達のギルドが、コーヤさんの技術や品を色々な方法で提供すれば、
目の届かない所で、苦しんでいる人達に、選択肢を与える事が出来る。

他にも、全国各地にいる生産職の人の道標を提供する事が出来る。」

言っている事は理解できるが、不安も大きい。

「う〜〜ん。魔法陣を使用していないアイテムであれば、
需要があるのなら自由にしても良いかな。」

アキホお姉ちゃんが、残念そうな顔で聞いて来た。

「コウちゃん。魔法陣はまだ難しい?」

「イオさんも知っていると思うけど、扱い方を間違えると、
現段階でもゲームバランスを崩す可能性がありそうなんだよね。」

イオさんも頷いて、話を引き継ぐ。

「そうね。コーヤさんは、要領良く扱えている。

でも、私達もそうだけど、それが出来ない人は、扱うのは厳しいと思うわ。」

僕としても、魔法陣の存在を公開したからには、いつまでも、
危険だと言う事は出来ない。

「ただ、イオさんは上手く扱えているので、
魔法陣なしなら、希望者には制限なしに情報を与える。

魔法陣ありでも、使う側であれば制限なしにして、
製作者には、ランク分けするなど、ある程度の制限をかける。

これなら、製作者となりたい人は、切磋琢磨すると思う。

現段階では、僕が譲歩出来るラインだね。」

「そうね。私もギリギリだと思うわ。

後は、刑罰を作る事くらいかしら。」

僕とイオさんの話を聞いて、アキホお姉ちゃんとキョウカさんの顔が明るくなった。

「ありがとう。もちろん、コーヤさんに迷惑はかけないわ。

魔法陣を利用するとして、初級編は全て良いの?」

「う〜〜ん、その線引きが難しいですね。イオさんは、どう思います?」

「例えば、コーヤさんにランク分けして貰って、
生産ギルドの許可があれば、難しいのにチャレンジするとか。」

「そうだね。生産ギルドの認可が無くて、問題起こしても自己責任になるだろうし。

ただ、気を付けて欲しいのは、正月元旦に既に公開しているので、
イオさんの店で、見える様になった人は、実際に利用しているかも知れません。

その扱いだけは注意して下さい。」

「大丈夫よ。安心して。選択する権利はあるわ。

わたし達がしたいのは、迷っている人に道標を出す事。

自分でしたい事があるなら、当然、自己責任なのは理解できているでしょうし。」

こんな感じに話は進んで行き、交渉は無事に終了し、
詳しい事は、今後、詰める事になった

「ねぇねぇ、コーヤさん。アキホに聞いたけど、魔法カード?があるって聞いたんだけど、
それも、他人が作るのは難しい?」

「ああ。あのカードですね。

(カードを取り出す)これは元々、目的の物を作る為に、実験した物です。

魔族再襲来の時は、切り札になるかもと渡したんですけどね。

作り方は難しくなくて、カード本体はテミアンの紙を作って、
中に置いた宝石や魔石に魔法を流し込んで、テミアンの紙で挟んで、形を整えたら完成です。

宝石や魔石には〈増幅〉付与しています。」

キョウカさんは、実物を観察しながら、色々とメモを取っている。

「増幅で良いなら、付与スキルにもあったはずだし、
魔法陣使わなくてもなんとかなりそう・・・。」

その後も、ブツブツと独り言を話していた。

「ねえ、コウちゃん。目的の物ってなに?完成したの?」

「それは、私も気になります。」

アキホお姉ちゃんとイオさんが気になると言うので、
1枚のカードを取り出し、装着を唱えると、服装が変化する。

「なるほど。装備の指輪のカードバージョンですか。」

「イオさん。正解だよ。」

解除を唱えて、もとの服装に戻った。

「コウちゃん。装備の指輪で事足りるよね?」

「僕も最初は、指輪に装備を収納で良いと思ったから、
研究していなかったんだけど、後で、ふと思ったんだ。

属性毎に装備変えるとかにすれば、戦闘効率も上がるかなってね。

その研究の過程で、魔法を収納出来れば面白いなぁと思って作ったのが魔法札。

一応、その後も改良して、カード表面に収納している装備が見えるようにしたから、
色々と使い道はあると思うけど、
残念ながら、新素材は、全属性対応しているから、倉庫に眠っているよ。」

「でも、それは、コウちゃんだからでしょ?

物理が効かない相手に、魔法で対抗しようとすると、
アクセサリーは対応出来ても、魔法攻撃に適した装備に変える必要が出て来る。

その場合、物理の装備から魔法の装備に変える為に、戦列を抜ける必要がある。

でも、このカードがあれば、予め、両方の装備を登録しておけば、
そういう事態に対応できると思うの。

コウちゃん、何枚作れそう?」

「(素材を確認して)テミアンが少ないかな。

天空の島でも入手したけど、色々と使いたいから、
なかなか、大量に使えないし、コストも高くなるし。

だから、みんなにはコスト下がった時になってしまうね。

でも、魔力紙やテアミンの木、もしくは代替品があれば作るよ。」

「そっかぁ。残念。

私達でも、テミアンの代わりになる素材が無いか調べて見るね。」

「うん。お願い。」

その後は、とりあえず、
初期に作った品を製作から販売までを委託する事になった。

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